プロローグ アルミナダンジョン国ダンジョン管理事務局ダンジョン攻略部ダンジョン攻略課冒険者相談窓口
プロローグです。設定に興味ない方は一話からどうぞ。
ちなみに勢いで書き始めた為、整合性を保つためにちょくちょく編集してるので、編集したものは長くなってたりしますが、それもweb小説独自の味かと思っていただけると幸いです。
6月15日更新しています。
アルミナダンジョン国。
太陽系と異なる惑星系に存在する、地球ほどの面積と環境がある惑星カリステ。地球で言う所の北アメリカ大陸程の面積のある中央大陸。丁度その大地のど真ん中に位置するアルミナダンジョン国は、周囲を6つの国に囲まれ、特に北に聖カムルジア公国、東にサイテカ連合国、西にランドール共和国、南にナランシェ連邦の4つの大国の中央に位置していた。
中央大陸に出来たアルミナダンジョン国の成り立ちは、4つの大国の十時の大きな交易路であった事と、5つの巨大なダンジョンが周囲を取り囲む10キロ四方の台地の中央にオアシスがあった事に由来すると後に言われている。
人々が交易路として来るようになった最初の内、このオアシスはそれぞれのダンジョンを攻略する冒険者達と行き交う商人達のただの憩いの場であったが、その場所の有用性に気付いた、時の商人達がオアシスを中心にして町を徐々に築き上げていった。
そして5つの巨大なダンジョンが姿を変えずにその場に鎮座する(ダンジョン内はどんどん拡張していったようだが、誰も確認していないため不明)のをしり目に、オアシスは4つの大国に知られる隙も、介入させる間も無いように、比較的短い年月で一番最初に町を築き上げていった商人達の意向を十分に取り入れた国を作り上げた。
特にこのオアシスの発展に初期から力を入れ、欲に塗れた何十人もの商人達を纏め上げ、周囲の国々に介入を許さなかった初代の王「ゲーリー・アルミナ」の名をとり、アルミナダンジョン国はカリステの世界では、世にも珍しい初めて商人達が築いた国としてその産声を上げた。
もちろん、そのアルミナダンジョン国の主な産業はダンジョンからの恩恵である。ダンジョンにいつの間にか存在したモンスターからとれる、革や肉、そして地球で言う電力の代替エネルギー資源となる魔石。またアルミナダンジョン国の各ダンジョンの中にある特殊な草や花、木、鉱石等の素材類はいくらでも交易路を使った商売のネタになった。
その為、この商人の国では各ダンジョンを利益を生み続ける金のガチョウでいてもらうように、破壊し過ぎて、ダンジョンが滅びない為に適切に管理する事を最初に決めた。
それと同時に当然、非常に豊富な資源国であるアルミナダンジョン国を属国にしようと各国が蠢いているのを、武力という分かりやすい力の行使で介入を防いでいくという2つの目的を果たす為に、この商人の国で出来た最初の公的機関がダンジョン管理事務局である。
建国当初は各ダンジョンに行く冒険者達の安否確認と素材の買い取り程度がほとんどであったダンジョン管理事務局の仕事も、アルミナダンジョン国の建国から300年以上が経ち、5大ダンジョンの攻略情報の収集と情報提供、冒険者達の管理・育成、素材の買い取りと販売・流通など、網羅的に確立されたダンジョンの運営システムから、その権力を国の内外に存分に発揮できるようになった。
その中でも5大ダンジョンの攻略に関する全てを統括する花形の一部署であるダンジョン攻略部には500人を超える職員が勤め、それぞれがこの国のエリートとして選び抜かれた存在である自負を持ち、勤勉に働いていた。
ダンジョン攻略課の冒険者相談窓口は、そのダンジョン攻略部の中でも更に選り抜かれた常時20人程度のトップエリートがその後の出世街道を走る為に、必ず何処かのタイミングで勤める場として認知されていた。
この冒険者相談窓口の平均年齢は27才、平均在任期間は4年で、ここを無事に乗り越えれば、三十前でもいきなり課長クラスへのステップアップへの道が開けると言われ、逆にここで躓くとエリートとしてのルートからはあっけなく外されると陰で囁かれていた。
その為、この部署に選ばれる栄誉と外されるプレッシャーが交錯する、毎年4月と10月にあるダンジョン管理事務局の表玄関の掲示板への人事異動発表の張り出しは事務局内のみならず、この国のエリート達の恒例の一大イベントと言えた。
そんなトップエリートが蠢く冒険者相談窓口には、ただ一人、10年以上在籍するベテランがいる。彼には色々な噂が付きまとうが、一番分かりやすいものは「能力はあるのだろうが、一言多い」というものである。
アルミナダンジョン国の建国以来、300年以上のダンジョン管理事務局の歴史上最年少、王立アカデミー卒後すぐの15歳で時の人事部部長に抜擢され、冒険者相談窓口に着任。
その未来は燦然と輝くであろうと、史上最年少の40代での局長昇進も夢ではないと言われて早12年。在任平均年齢の27歳まで冒険者相談窓口にのんびり縛り付けられ、時にダンジョン攻略課課長に怒られ縮こまり、時に担当冒険者にブチ切れられて出ていかれる彼を見て、15才で在籍した当初の未来の希望が溢れる彼から恩恵を得ようとしていた人間達は次第に目をそらし、彼が二十歳を越える頃には離れていった。
彼の名はエナミ・ストーリー。ラストネームもあるらしいが、彼に極近しい人間しか知らず、彼も特に周りに伝える必要も考えてないためか、王立アカデミーでは登録されていたはずのラストネームは外され、エナミ・ストーリーがダンジョン管理事務局に登録されている名前として広まり、心ないダンジョン管理事務局の同僚職員達は彼の事を「末成りの物語」と嘲っていた。
そんな彼は今日も痩せ型の猫背でいつも着ている襟の曲がったワイシャツと、皺でよれよれの黒のスラックス、ぼさぼさの頭に無精ひげとダメ社員を絵にかいたような風体で、冒険者相談窓口で担当冒険者の女性神官に半目で胡散臭そうに質問し、相も変わらず相手を怒らせていた。
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