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プロローグ.ニート殺しても猫は殺すな

「本当に申し訳ございませんでしたああああああ」

 トラックに轢かれた結果、女神っぽいのがうちの飼い猫に土下座していた。

 完全に俺の存在は眼中にないようで、何もわかっていない顔をしている虎丸とらまるが助けを求めるようにこっちを向く。

「あの……異世界転生できるってことでいんですか?」

 引きニートやっている間に散々アニメで見てきた転生前謎空間であったので、直球な質問をぶつけてみた。

 女神?は顔を上げてから一言。

「は?クソ雑魚ニートの分際で高望みしてんじゃねえ」

 めっっちゃ辛辣だった、少し正気度が減った。

「本来お前だけ死ぬはずだったんだよお……俗世に未練ないやつを救済してやろうと思ってたんだよお」

「いや未練たらたらなんですけど??」

「未練あんならその年までニートやってねえだろカス」

 下手に突っ込むとメンタルがやられそうだ。俺は対応を変えることにした。

「じゃあなんでこんな風に対応してくれてるんですか?」

「みりゃ分かるだろお猫様のためだ」

「なぜ人間より猫……」

「上司がいるんだよ、統一神っている私の上位存在がな。そいつが無類の猫好きでな、猫は私の宇宙にしかいないから私は10女神のなかでもかなり評価されてるほうだ」

 しかし……と彼女は続ける。

「猫は天罰で殺していい対象じゃねえんだよ、矮小な人間どもは適当に間引いても問題ないけどな。たまたまニートが外を散歩してっから一発ぶち殺しとくかーと気軽に天罰つかったら事故が起きたんだよ」

「そんな感覚で人殺してるんすか……」

「当然だろ無駄人類、話さえぎるんじゃねえ」

 無意識に感想を挟んでしまった。

 続けるぞ、と彼女は言う。

「猫を殺してしまった。それも天罰でだ。これはかなりの問題になると考えた私は猫を他の宇宙に隠匿して誤魔化すことにした。最初は猫だけ持っていこうとしたんだが猫がお前と一緒に行くことを希望してな」

 虎丸のおかげで俺は生きているのか……と思ったが。無味無臭で耐えがたいこれまでの人生を考えると、あまり変わらないような気がしてきた。

 自殺するか何度だって考えた。でも虎丸のことを思うとそうそう簡単にはできなかった。もとから俺の命は虎丸のものだった。

「10女神の持つ宇宙のうちお前が耐えられそうなのは土のとこだけだな。そんでほかの女神が管理してる宇宙には基本干渉できないものと思ってくれ。お前が想像するような特殊な能力は与えられない。多少歳は若返らせてやるがその程度だ」

 ふと手を見ると確かに、ニートを始める前後あたりまで若返っている様子であった。

「もし嫌なら断ってくれてもいい。かなり過酷な世界になる。それにお前が死んだら猫も死ぬと思ってくれ」

 虎丸が大ジャンプして俺の肩に乗り、顔を覗き込んでくる。虎丸も子猫時代まで若返っている様子であった。

「行きます。元々虎丸がくれた命なんだ。虎丸が許すまでは死ねない」

 こう言うと虎丸は納得した様子でどや顔を決めた。

「なら話は早い、軽く確認を行った後すぎに転生させてやる。今からいう文言は大事だから復唱してくれ」

 女神は一枚の巻き紙を取り出しながら言った。

「ひとつ、猫は猫のままかわいい!!人間化は論外だし獣人化もしない!」

 猫は獣人化もしない!

「ひとつ、猫は最高の動物だ!!お前らの言語ごときに合わせて喋らない!!」

 猫は喋らない!!

「ひとつ、猫が主人公の物語だ!!猫を放置して進行しない!!」

 猫が主人公!!

「以上!全体的なルールとしてこの転生に挑むこととする。健闘を祈る!!」

 女神がそう言うとまばゆい光につつまれ、意識が解けていくように感じた。

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