表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/8

第六話 ザビーネは決意した

ブックマーク100超えました!感謝です!

いいねもありがとうございます!嬉しいですm(__)m

そんなエルンストの様子を、遠くからザビーネは見ていた。無感動に。無表情に。


そして、入学式には参加することなく、くるりと背を向けた。


「これで大丈夫かしら……ね」


人の流れに逆らい、学園の通用門の方へと足早に向かう。待たせていた馬車に乗る。


「帰るわ。馬車を出して頂戴」


もともと、ザビーネはこの学園に通うつもりはなかった。今日この場にやってきたのは、レナとエルンストの出会いがどうなるか、自分の目で見て確かめるのが目的だった。


エルンストが見ていた『悪夢』。

それはザビーネが見せていたものだった。正確に言うのならば、ザビーネの依頼を受けた魔族が、であるが。


「ふふ……。わたくしの一回目と二回目と三回目の人生は……今のエルンスト様にはどのように感じられたのでしょうね……」


一度目の人生では、エルンストから婚約を破棄され国外追放された。そして森を彷徨っている時に魔物に食われ死んだ。


二度目の人生では、エルンストに娼館に売られた。辱めを受けるのが嫌で、隙を見て逃げたが、結局捕まった。


三度目の人生では、レナとエルンストの真実の愛のために、断頭台で首を切られた。


そう、ザビーネは同じ人生を三度繰り返し、三度とも死んだ。四度目の人生は、もうエルンストの愛など求めようとは思わなかった。


「同じことを三度も繰り返せばもう十分だわ。四度目の今こそ、わたくしは幸せな人生を掴んでみせる」


自分を幸福にするために、他者を不幸にすること。


それが許されるかどうかなど、ザビーネにはわからない。


だけど、迷うザビーネに、とある魔族の男が言ったのだ。


「真面目な人間に多いのだが。負のループに捕まって、そこから出られなくなるのだよ。何故こんなことになったのだろう……とな。悩み、悪いのは自分なのだから、自分が頑張ればいつか相手が自分を認めてくれるはずだ……と自分を責める。だが、方向性の違う努力などしても無駄だろう。相手は、どう頑張ろうとも変えられない。自分が変えられるのは自分だけ。相手など自分の思うように変わってくれるはずはない」と。


一度目の人生も、二度目の人生も、そして三度目の人生も。エルンストがレナとの真実の愛を貫くために、何もしていないザビーネは『悪役令嬢』として断罪されてきたのだ。


魔族の男の言う通り、どんなにザビーネが努力をしても、エルンストが変わらないというのならば、ザビーネがこれまでの三度の人生と同じように、エルンストに愛を求めてもそれは無駄ということなのだ。


ザビーネが変えられるのは相手ではなく自分のみ。自分が変わらなければ、四度目の人生もエルンストによって虐げられた後に、死ぬのだろう。


そんな人生はごめんだった。ザビーネは決意した。


「一度くらい、わたくしがわたくしのためにエルンスト様を陥れたところで……神様は許してくださるのではないかしら……ね?まあ、仮に神という存在が実在して、その神がわたくしをお許しにならなくとも……別に構いませんけれど、ね……」


もはやザビーネは神には縋らない。祈らない。


一度目の人生も、二度目の人生も、そして三度目の人生においてもザビーネは神に祈った。


どうかどうかどうか、わたくしはレナという男爵令嬢を虐げなどしていない。全てエルンスト様の誤解なのに。どうしてどうしてどうして、わたくしがエルンスト様に嫌悪の目を向けられ、エルンスト様に殺されねばならないの……?神様、もしあなた様がいらっしゃるのであれば、わたくしは何の罪をも犯してはいないと、エルンスト様にお伝えください。


繰り返し、血を吐くような思いで願った祈りは、神には通じなかった。


一度目も二度目も三度目も、ザビーネは絶望のまま死んだ。


「もう二度とあんなふうに死にたくない。だから……」


神ではないが、人ではない、魔族。

ザビーネは、その魔族の手を取ることに決めたのだ。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ