二人目
無事に入学式も終わり、帰宅中。
……なのだが。
後ろから人の気配がする。
こっちの地域初めてきたんだけど……初日からストーカーとか、私美人すぎなんですけど……
……いや、そんなわけあるか!
流石に初日からストーカーはキツイ!ないだろ流石に!
でも私が歩くと後ろの人も歩いて、私が止まると後ろの人も止まる。私が走ると後ろの人も走る、という感じで、あきらかに私をつけてきている!
……意を決して振り返ってみよう…
運動だって前まで中途半端でもやってたんだ、人並みにはできる!
…今だ!
「誰!?」
「キャァ!」
そこにいたのは…
朝の茶髪美人と…
見慣れぬ黒髪赤メッシュだった。
「アンタさっきの……通報するよ!?」
「ち、ちが!違うんです!」
「何が違うっていうんだよ!私の事つけてただろ!?それに朝も……」
その朝という単語に、黒髪赤メッシュが反応した。
「……朝って、どういう事?夏野さん。」
「あ……それは…」
この人は……なんなんだ?
とりあえず、言っておく事に損はないだろう。
「朝!この人が塩をいきなり投げつけてきたんです!」
「え、塩を?」
「は、はい………すいません……………」
「うーん……」
黒髪赤メッシュさんは考えるような素振りを見せた後、茶髪美人の方を見て言った。
「いきなり塩を投げつけるのはいくらなんでもダメ……それに、塩投げつけときゃいいってもんじゃないんだよ?」
「ご、ごめんなさい…」
黒髪赤メッシュさんの方が身長は低いのに、なんだか上に立っている。
……大学内に入ってきてたし……大学の先輩?
「ごめんね、急にこの子が。私の名前は九十九桜。キミは?」
「た、滝里由紀です…」
「そっか、滝里さん……よろしくね、一年?」
「あ、はい…星彩学園の一年生です。」
「じゃあ私と夏野さんと一緒だね。」
「一緒って……え、同い年なの⁉︎」
「うん、そうだね。」
「と、歳上だと思ってた……」
「そりゃどうも、それじゃあ担当直入に言わせてもらうけど……」
え、何?
「キミには、霊がついてるみたいなんだ。」
………は?
れい?
れいって……霊!?
「霊って、幽霊の事?」
「うん、私神社の巫女なんだ………って言っても………私……才能ないから。そこにいる夏野さんに見つけてもらってるんだ。」
どうやら茶髪の美人は夏野というらしい。
「……さっきはすいません。何やればいいかわかんなくて…」
「いや………私の事守ろうとしてくれたんだよね、逃げたり、強く言っちゃったりして……ごめん。」
「そんな!私が悪いですから!」
埒が開かないな……どうしよう。
「喧嘩両成敗。私がついてなかったのが悪いんだし、どうしても責めたいんだったら私を責めて。」
この人……いい人だ。
「そんな!九十九さんにはお世話になってますし…」
「あ、アンタは悪くないでしょ…」
でも、納得はできない。
悪くないのに責めてなんて言うなんて…
「うーん……じゃあ、二人共この後予定ある?」
「「え?」」
なんだろう…
「私の家に来てよ、ちょっと手伝ってほしい事があるから。それが互いにしたことの償いってことで。」
「い、行きます!」
「償い……じゃあいくよ。」
そんなこんなで、九十九の家に行く事になった。