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おはよう

連載始めました。

拙い作品ですが、どうぞ温かい目で見守ってください(>人<;)

 どうしよう、制服がおかしい。


 朝起きて登校の準備をしていた私はどうしようもなく混乱していた。セーラー服の吊りスカート(ワンピースのようなスカートで、ベストとスカートがセットになってる。上下をボタンでつなげて着る)のボタンが止まらない。いつもは朝繋げる必要がないように準備して寝るのに昨日はうっかり忘れていたみたいだ。


 …ピ…


 ボタンをつけたはずなのに一周すると最初に戻っている。つけてもつけても外れていって埒があかない。


 …ピッピ…


 これじゃ遅刻必須、と言うより制服が着れなくて学校に行けない。焦ってつけようとするものだから手が滑って余計に作業が進まない。


 …ピピッピ…


 あーもうどうしようもこうしようもない、今日はテストがあるんだよ。今日受けないと追試で面倒くさいことになっちゃう。


 …ピピッピピッピピ…


 あれ、何のテストだっけ。単語、漢字、古単語、数学、他にはえっと…。思いつかない、えっと…。無いじゃない!何でテストがあるなんて思ってたの?


 ピピッピピッピピッピピ……


 …そーだよ、今日はテストの日じゃありません。それは昨日。

 手を閉じたまま手を伸ばすと指先が何かにぶつかる感覚がした、取ろうと思って指先を動かすとそれが離れる感覚。一瞬遅れてゴトっという鈍い音が聞こえた。


 ピピッピピッピピッピピ……


 諦めて目を開ける、まだ絶妙に暗い。朝日で目を覚ますなんてこの季節無理だとつくづく思う。布団の中に潜り込んで、横から顔を出す。ヘロー、私は芋虫です。こんな寒い日にわざわざ布団から出て行動するなんて考えられない。

 ぼやけた視界でベッドの下を見ると、非情なスマホが自己主張を続けていた。


 ピピッピピッピピッピピ……


 わざわざ布団から手を出してあれを止める必要があるのかしら、モコモコの布団は私をいっつも誘惑する。まだ起きなくていいよ、もうちょっとあったまらないの?ほら二度寝しなよ、って言われてるみたい。そりゃ二度寝したいよ、まだ眠いよ…誰が二度寝するか。私はしっかり計算して毎日登校してるんだ。布団君、君の誘惑には乗らない……今日は。


 ピピッピピッピプチっ


 スマホを拾い上げて主張を黙らせる。6時ぴったり、いつもの時間、と思ったら一瞬で1分に変わった。なんか悔しい。

 枕元からメガネをとってかけると、やっと視界が明瞭になった。目の前にかかった制服、ちゃんとスカートは繋がってた。



 制服は着つつもスカーフは咥えてる、そんな半端な格好で髪を溶かしながらキッチンに顔を出す。


「もひゃひょふ」

「おはよう、ねえじゃがいもコロッケとカボチャのコロッケどっちがいい?」


 ママが朝の挨拶のついでとばかりに聞いてくる。冷凍庫を開けて吟味してるけど、早く閉めてよ、寒いし冷凍庫が温くなる。カボチャがいいな。


「ももひゃ、はひゃふふぃひぇめ。」

「はいはい。」


 髪が引っかからなくなったからもういいだろうと髪を離す。スカーフを首に引っかけてパン置き場を見ると、食パンが残り2枚だった。


「ねえ、パパとママ食パン食べるよね。」

「多分ね、もうないの?」

「ないけど平気、ロールパン貰うね。」

「ロールパンはだめ、お兄ちゃんが食べるから。」

「大丈夫、まだ3つあるから。一個もらうよ」


 あーあ、買い置きのシリアルがないからこんな面倒なことになるのよ。買ってきてもらわないと。ヨーグルトを器にもってキッチンを物色、目ぼしい物を探して朝食を食べる。時間食っちゃってやだな。テレビからは気象情報が流れる、一応折り畳みの傘があったほうがいいぽい。


「はいお弁当、いってらっしゃい」

「ありがと、行ってきます。」


 食べ終わって、支度、登校の最終チェックをしているとお弁当のバッグが渡される、最後の仕上げに詰め込むといい時間になっていた。玄関に向かうとパパとすれ違う、ママは私の後ろを歩いてる。


「おはよ、行ってきますね」

「おはよ、気をつけてね。」

 コンコン「ちょっと、そろそろ起きて。ほら朝ごはん。」


 私が出る時間にパパが起きて、兄貴が布団の中で朝食を始める。これが私の日常。

 ローファーに足を入れてドアを開ける。冷たい風が喉に入って、一気に脳が覚醒する。

 学生鞄を肩にかけ直して、私は一度振り返った。


「行ってきます」


 1日が始まる。

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