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第34話 愛人は?

コンコン


執務室で仕事をしていると、ノックの音が聞こえた。


「はーい、誰かしら?」


「私です、セイラです」


「ああ、セイラ?中へ入って?」


「はい、失礼致します」


カチャリと扉が開かれセイラがワゴンを押して入ってきた。


「まぁ…セイラ。それは?」


「はい、リディア様にお茶とお茶菓子をお持ちしました。ソファ席にご用意しますのでどうぞこちらへいらして下さい」


「ありがとう」


立ち上がり、ソファ席に移動するとそこにはティーカップに入ったお茶にクッキーやケーキ、マフィン等がトレーの上に乗っていた。


「美味しそう…ありがとう、セイラ。まだお昼も食べていなかったからお腹がすいていたのよ。うん…。いい香りね」


セイラが淹れてくれた紅茶の香りを嗅ぐと、早速一口飲んだ。


「あ〜…身体に染みるわ…ふふ。美味しい」


そして早速ケーキに手を伸ばした。


「あら、これはお芋のタルトね?」


「ええ、そうです。『ビスタ』の村で栽培されたお芋です。リディア様のお陰だと領民達が喜んでいたそうです。まさかあの様に痩せた土地でも育つ野菜があったのですね」


「ええ、そうね。色々専門家を呼んで調べてもらったから。それに栽培するだけでなく、こんな風に加工販売して、『ビスタ』の名産品として売り出すことも可能よね?うん、美味しい」


サツマイモのタルトを食べながら美味しさに舌鼓を打った。


「ところでお茶の最中に申し訳ありませんが…あの男、リディア様に何かご迷惑なことしでかしませんでしたか?」


「ええ、あったわ。聞いてちょうだいよ。ジルベールったらね…『シェロ』の村で養鶏場に行ったら、『臭い!』と言って何処かへ逃げてしまったのよ」


「な、何ですって…?」


「それだけじゃないわ。その後『カヤ』村に連れて行こうとしたのにいなくなってしまったからやむを得ず村に置いていったのよ。そして用事を済ませて再び『シェロ』に戻ってみれば…」


「戻ってみれば?」


「何と、無銭飲食をしてロープで縛り上げられていたのよ」


「まぁ!な、何て男なんでしょう…」


バリンッ!!


セイラはもっていた木製のお盆を足の上で真っ二つに割ってしまった。そして私に言った。


「リディア様…あいつ、やってしまっても良いでしょうか…?」


セイラの目が座っている。


「落ち着いてちょうだい、セイラ。あまり手荒な真似をしては駄目よ。フレデリックが戻ってくるまでは我慢しなくちゃ」


「え、ええ…確かに言われてみればそうですね」


そう言えば…。


「ねぇ、どうしてジルベールは私についてきたのかしら?イザベラと一緒にいればいいのに」


するとセイラが言った。


「え?リディア様。ご存じなかったのですか?」


「何のこと?」


「あの女なら、あの人物が追い出したのですよ」


「え?追い出した?!何故っ!2人でこの屋敷の財産を奪って手と手を取り合って逃げたのにっ?!」


「ええ、そうなんですよ。これは2人の様子を伺っていたメイドから聞いた話なのですが、あの2人…身だしなみを整えた後、激しい口論をしていたそうなのです。どうもあの男が女を追い出したそうです。お前がいるとリディアが俺を許してくれない。だからさっさと出ていけーっと言う感じだったそうです。女は激しく罵りながら出て行ったそうですよ」


「そ、そんな…信じられないわ…あのジルベールが…」


私は声を震わせた。


「リディア様…」


セイラが神妙な面持ちで私を見ている。


「愛人を追い出しただけで…この私が許すとでも思っているのーっ?!」


私は天井を向いて叫んでいた―。





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