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第2話 私の置かれた境遇

「もう今日こそはジルベールに言いに行こうかしら…愛人を堂々とこの屋敷に入れないで下さいと。あなた達はどう思う?」


ハーブティーを飲みながら私は2人に尋ねた。


「私は、はっきり言うべきだと思います。ジルベール様がいつまでもリディア様をないがしろにして愛人の方を優先するので、この屋敷の使用人たちはいつまでたってもリディア様を尊重しないのですよ」


セイラが憤りながら言う。


「確かにそうよね…。ジルベールはこの屋敷で堂々と自分の愛人を大切にしているから使用人達も愛人の方を尊重しているのよね。用事があってベルで呼んでも誰も来てくれないし…。だからフレデリックがセイラを私の専属メイドとして実家に連絡を入れてくれて本当に助かったわ」


実はセイラは私の実家であるライザー家のメイドとして働いており、私とは仲の良い友達のような関係だった。

フレデリックは私がクレメンス家の使用人達からないがしろにされているのを見かね、再三に渡って彼らに誠心誠意を持って仕えるようにと注意したものの、一向に私に対する態度が改まらなかった。

そこで業を煮やした彼がライザー家に手紙を送り、私と仲の良かったセイラが呼ばれて私の専属メイドになってくれたのだ。


「ええ。私はこのお屋敷の執事ですから。リディア様が快適に過ごせるようにお世話するのも私の役目ですので」


「本当にフレデリックには感謝しているわ。貴方のお陰で私の生活環境が大分改善されたから」


フレデリックは恐らく気付いていたのだろう。私がただ使用人達に無視されていただけではないことを。お茶を頼めば、出がらしの生ぬるいお茶しか持ってきてくれない。部屋の掃除もシーツカバーやピローケースの交換も無い。洗濯はしてくれるが、何着か自分の服が消えている事もあった。…それは恐らくメイド達に仕業だと言うことは分かっていた。現に服が無くなるようになってから、安物のドレスに袖を通すようになった所、紛失事件は収まったのだから。


「それにしても驚きですね。まさかセイラさんが護身術も使えるとは思いませんでしたよ」


フレデリックが感心したようにセイラを見た。


「ええ、当然です。ライザー家には護衛騎士は、ほんの数名しかいません。その為使用人達は護身術も身につけるようになったのです。でもその御蔭で、新参者の私に楯突く使用人達は誰にもいませんよ?」


セイラは得意げに言った。


そう、実はセイラがライザー家から私の専属メイドとして呼ばれて来た時に、クレメンス家の使用人達は猛反発した。そして1人のフットマンがセイラに喧嘩をふっかけて来たのだが、セイラはお得意の護身術で軽々とその男を投げ飛ばして以来…誰もがセイラを恐れるようになり、彼女に堂々と反発する使用人はいなくなったのである。


だけど…


「もう結婚して半年になるのに、私の留守中に堂々と愛人が上がり込んでくるのはどうかと思うわ。今日はただでさえ、ジルベールが本来領地に行って領民達の訴えを聞きに行かなければならないのに私が代理で行ってきたのだから」


それなのに自分は愛人を部屋に連れ込んでいるなんて…。


「私、ちょっとジルベールの所へ行って話をしてくるわ」


椅子から立ち上がると、セイラとフレデリックを見た。


「リディア様、お供いたしましょうか?」


セイラが尋ねてきた。


「いいのよ、貴女は忙しいでしょうから私1人で行ってくるわ」


「リディア様、もし何かあればいつでも呼び下さい」


「ええ、ありがとうフレデリック」


そして私は2人に見送られ、ジルベールの部屋へと向かった―。



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