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第19話 生意気な洗濯女

 翌朝9時―


朝食を食べ終えた私はフレデリックと共に執務室にいた。


「なる程…確かにこれは妙な数字ですね…」


眉をしかめながら言う。


「ええ、そうなのよ。今までこの屋敷の生活費は全てジルベールに託していたけど…まさかこんなに杜撰だったとはね…」


「ええ、そうですね…申し訳ございません。私がお手伝いしようとするとジルベール様は余計な事はするなと言って手出しさせなかったので…」


「恐らくいい加減な仕事をしていることを貴方に知られたくなかったのでしょうね。この事を知られたら、貴方の事だからジルベールに予算の組み直しやら話し合いをしましょうと言っていたでしょうから」


「ええ、勿論ですよ。流石にこれは酷いです」


「ジルベールは仕事するよりも愛人とベッタリ過ごす事のほうが大事だったんでしょう?とりあえず、これは話にならないわ。洗濯係の使用人を全員呼び集めてくれる?」


「はい、承知致しました」


フレデリックは頭を下げた―。




****


 洗濯係の使用人として執務室に呼ばれたのは5人の下働きの女性達だった。4人は皆痩せていたがその中で1人、肥え太った女が言った。


「何ですか?私達に話しっていうのは…」


「ねぇ、どうして洗濯をするだけでこんなお金がかかるのかしら?余程高級洗剤でも使っているとか?」


するとリーダーと思しき太った女が前に進み出ると言った。


「いいえ、私達は世間一般的に使用している洗濯石鹸しか使っておりませんが?しかし毎日どれほどの量の洗濯物が出るとお思いですか?毎日100キロ近い洗濯物が出るのですよ?洗濯石鹸なんかあっという間に無くなってしまいますよ」


「…私が何も知らないとでも思っているのね?私の実家では総勢50名の人数でくらしているけれども、洗濯代の費用はこの屋敷の半分で済んでいるわ。これは一体どういうことかしら?」


帳簿に記載された金額を指で指し示しながら私は尋ねた。


「そ、それは…洗濯物の量が違うのではありませんかっ?!余所者は口出ししないで下さい!」


リーダー?の女性はムキになって言い返し…ハッとなった。自分が今、とんでもない事を口走ったことに気付いたのだろう。


「余所者…」


私は腕組みしながら彼女たちを見た。使用人の女性達は全員怯えた目で私を見て小刻みに震えている。ただ1人、肥え太った女以外は。


「奥様に向かって何ていう口を叩くのだっ?!昨日、お前たちの給料が何処から出ているか聞かされているだろうっ?!」


フレデリックが女性たちを怒鳴りつけた。


「…落ち着いて。フレデリック」


私は彼女たちを一瞥すると言った。


「それにしても…私も随分なめられたものね?下働きの貴女に余所者は口出しするなと言われるなんて…」


「…」


しかし、それでも今の台詞を言った女は私を見ながらボソリと言った。


「何よ…形だけの奥様のくせに…」


「聞こえているわよ?今の台詞。」


すると、何故かその女は開き直った。


「何ですか?私達をクビにするつもりですか?言っておきますけど、洗濯女っていうのはすごく嫌がられる仕事なんですよ?!冷たい水仕事の上に、熱いアイロンがけ…本当になり手がいないのですよ。私達をクビにしたら困るのはこの屋敷の人達なんですからねっ?!」


しかし、堂々とした態度を取るにはこの女だけで、残りの女性たちはブルブル震えているだけである。これで彼女たちの力関係が理解できた。


「別に困らないわ。第一クビにするのは貴女だけよ?」


「はぁっ?!どういう事ですかっ!!」


女が私に食って掛かったその瞬間―。


「リディア様っ!連れてまいりましたっ!」


セイラが部屋の中に飛び込んできた―。





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