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武の極  作者: アディクト
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武芸者

なんかありきたりなもんになると思いますが読んでくれる方がいれば嬉しいです


齢16歳の男の子が道場で真剣で素振りをしている


幼馴染の沙也加はそれを見て彼の体格以上に後姿が大きく見えた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


この国は立憲君主制-現在の日本の政治と変わらないが、武神と呼ばれる者に法案の賛成、拒否権がある。そして、その象徴は女王陛下であり、武神はその手ごまのようなものである。


武神は半年に一度行われる大会によって決められる。トーナメント戦だが、前チャンピオンは決勝で待ち構えている


この世界には基本魔力等は存在しないが、各流派の道場があり、気という日本が鎖国してまで得た身体能力がある。それは、ミサイルを切る程化物と化している


武神自分の身体能力と技の練達が全ての世界であり、それは政治にも関われるということだ。


更に、武神を生み出した流派は人気が出て門下生も増える。権力の後ろ盾も出来る。


立憲君主制と言ったが、血を残し続けるような象徴的な人物がいるわけではない。


武神だけが半年に一度の勝利の際、象徴である陛下に会い、特別な剣を賜ることができる。


陛下は必ず女性だったと言われ、年齢はわからず代替わりしているのかもわからない


しかし、陛下だけは絶大な魔力というものを持ち、畏怖の対象や敬意の対象の対象になっている


世界の理さえねじ変えてしまうと言われているからだ。


日本は鎖国をしていた。しかし、第二次世界大戦でアメリカに襲われることになる。


武芸をしている者たちは、ミサイルを切り、軽い砲弾なら当たっても人によっては無傷であったり、

剣や槍等でそれらを切った


恐らく、この戦争が武芸者の身体能力と気を爆発的に伸ばし、今に至るのであろう


しかし、空襲や東京に原子爆弾を落とされたとき、武芸者は策を講じたが皆を守ることは出来なかった。


そんな時、空襲に来た爆撃機は全て壊滅され、原子爆弾も不発に終わり、わずか1週間で相手の艦隊を沈め

、全ての制空権も海域権も握った。こんなことができるのは魔力しかない


アメリカ含む同盟に参加した国は日本を恐れ、多額の賠償金を支払った。


特に武神の活躍を目の当たりにした者達からは悪魔と称され、もし自国に入られたら


国の存続に関わると思ったからだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


齢16歳の少年は忍と言った。沙也加と義理の父、龍健とで孤児院を経営している。


忍はこの歳にして武神である。昔は武芸大会で優勝し、優勝賞金で孤児院を支えていた。


しかし、武神はその権力と力からアマチュアの大会を制限され、収入は以前より少なく、孤児院の切り盛りも大変になりつつあった。


沙也加は忍に恩を感じていた。彼がいなければ孤児院は既に崩壊していただろう。


義理の父は寡黙で特に何も言わない。


沙也加は今度は自分が支える番だと考え、安い食材で美味しい物を作ろうと必死に勉強した。


最初の頃は、酷い有様だったが、今では料理店を出せる程、美味しい物を作る


孤児院の子供たちは当初我慢していたが、沙也加の努力を垣間見て、何も言わなかった。


しかし、忍だけは1度目料理から美味しいと言ってくれた。


彼女にとってそれがどれだけの救いになったことか。


剣を振るう少年の姿は道場に一人きりで集中しているのだろうが、時折寂しそうにも見える


かつては門下生が沢山おり、ハヤトの強さに憧れ、深夜まで稽古や素振りをする者も多かった。


流派は義理の父の代から枝分かれし、同門も少なくない


門下生はそちらにいったのかもしれない。


故に道場の看板を降ろし、今では流派を名乗ってはいない


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

それから数か月が経った

西欧や欧米との輸出、輸入があり、国際的に日本は機能している


後述するが、日本の科学は送れており小さな島国ということで輸出するものがない。

しかし、唯一輸出できるものがある。それは暴力だ。


その為、武芸に対する興味は映画やスポーツといったもので、国民から少しずつ離れていったが、武神を決める大会には誰もが目を通す

それは、政治に関する問題であったり、一つのエンターテイメントとして誰もが楽しめる側面もある。


トーナメントは各流派から1名を選出し、120名程が参加する。


これは各流派のプライドの問題であり、戦後発達したのは運動能力や気だけではなく、負けないという意思、プライドが加わったからであろう。


準決勝までは刃引きがしてある得意の武具を使用する。


しかし、準決勝からは刃引きは無く、相手を殺しても不問とされる。


ハヤトは準決勝を見て決勝の相手を定めるが、寸止め、または相手を殺さなかった場合、自分もそうすることに決めていた。


準決勝1回戦は槍術の使い手、槍厳道、それなりに有名な流派である。今年は神童と呼ばれる者が参加をしているとは噂で聞いている


対する相手はダークホースと言われた我流の二刀流剣士であった。


準決勝二回戦は毎年良い所まで行く斧を携えた巨体の男。


準決勝は2度目、彼は年齢的にもこのチャンスを最後だと思っている。


対するは剣の使い手、龍当、


龍当一派はなんでもありの自分の流派の遠い親戚だったような気がする。


同門のようなものだが何でもありという点では異なった。


というより100を超えるような流派を覚えているわけではない。有名な流派しか知らない。


忍は槍術使いが勝てば良いな…と心に思い待合室で配信されている動画で観戦していた。


5万人が収容できるアリーナとテレビの生中継


流石に準決勝ともなるとダフ屋もチケットが手に入らず商売あがったりだった。


アリーナには応援の声や悲鳴、激励の声が待合室でも聞こえてくる


「さぁ!SSシーズンの幕開けです!準決勝第一回戦を始めます!」


司会がマイクを持ち、オープニングを飾ると観客の溢れんばかりの歓声と


待機室にいる槍術使いの師範はニコリと笑った。


SSシーズンとは半年に一度の武神大会を区別するための単語でその半年後にはFWシーズンとなる。


「それでは1回戦を始めます!紹介しましょう!ここまで誰も彼に一撃を食らわせることができなかった槍の使い手、槍厳道の宮坂徹。槍の神童と呼ばれ、18歳まで鍛えぬき今回初出場です!」


「対する相手は我流でここまで来たと言う二刀流の使い手、ダークホースの中川悟!」


我流で準決勝に来るものはなかなかいない。


お互いがアリーナにゆっくりと登場した


槍術使いはその美貌を活かしながら爽やかに手を振る。


二刀流使いは無言で決死の目で前に進むだけだった



1回戦は槍術使いの勝利で不殺で相手の武器を破壊するだけだった。


2回戦はひどい物で県の使い手が斧使いの四肢を切るだけではなく、胴体まで切り裂いていた。


このようなことはたまにあるとはいえ、観客からは悲鳴が上がる


こいつが上がってきたら同じ痛みを味合わせると決めた。


しかし、武神とは言え、相手は強者であり、自分が殺されることもあるのだと知っている。


観客は誰が武神になろうとあまり気にしてはいないが、こういう輩にはなって欲しくないという思いがある。

決勝は槍術使いと剣の使い手だったが、あっさりと槍術使いが不殺で倒した。


本来命を懸けて戦う場合、不殺の方が難しい。


ハヤトとて、最初の武神大会では相手を殺してしまったことがある


ただ、相手を不殺と考えているハヤトがもし死んだら…


テレビで見ているナギサは、武神なんて地位を捨てても無事帰ってきて欲しい。


その一心だった


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


翌日


武神ハヤトと槍術使いが戦う日。アリーナの熱狂はピークを越していた


不殺でここまできた槍厳道の流派たちは期待に満ちている


ここまで不殺できたということは相当な使い手。不殺では勝てないかもしれない


ハヤトに焦りを感じさせる。


両者バトルフィールドの真ん中に立ち、相手への敬意を表しながら握手をする


先に話しかけてきたのは槍使いだった


「ここまで不殺できたのはお前のためだ。殺す気で来ないと死ぬぞ?」


「俺の真似事をしてくれて嬉しいよ。不殺は難しい。君は相当な使い手なのだろう。楽しもうじゃないか」


お互い距離を取り合図を待つ。


5,4,3,2,1,開始!


槍術はリーチの長さから遠距離戦は得意だが近距離に入られると不利になる


問題はどうやって相手の近くに潜り込むかという所


槍術使いは長いリーチを使い、高速で連打を繰り返してくる


ハヤトはそれをいなすが近距離に入れないと勝負にならない


本当に強敵だ


アリーナの観客やテレビで見る者、バーで盛り上がりながら見る者、様々だが


本当に武芸にたけた者しかこの攻防を目で追いつくことが出来ない。


しかし、この早い攻防が観客を沸かせる


ハヤトは考える。このままいなし続けていれば隙が出来る…いやこれほどの使い手ならそんな隙はできないだろう


なんとか近距離戦に持ち込めないだろうか…


このままではいなし続けるのが精一杯で、相手の技が来る。


そうなればいなせない可能性もある


相手も好機を狙って居る筈


こちらは遠距離攻撃だと相手を殺してしまう可能性がある。


ハヤトは不殺にプライドをかけている


しかたないと槍をいなしながら距離を詰める


そのたびにいなすのが難しくなり、かすめ傷が増える


傷を覚悟して相手の懐に飛び込み上段から肩にかけて切り込む


その時だった。


切り込んだと思った瞬間、思いっきり腹を蹴られた


「槍使いが近距離戦に弱いとでも思ったか?」


舐めていた。こいつは普通じゃない。武神に劣らない強さを秘めている


だが、引くことは出来ない


蹴られ少し痛みはあるが、そこまで体術が得意ではないようだ


これで近距離を取れた。


お互いが技を繰り出す。


勿論近距離の技量では負ける自信はない


しかし相手は近距離の技も用意しているかもしれない


考えている暇はなかった


相手の技を交わし、背後を取る。そして終わりにする。


「中伝 一閃」

この技は殺す可能性がある。


少し手を抜いた


「近距離槍術 秘伝 交わし桜」


しまった。罠だった。よく見ると槍の長さが半分になっている。


多分俺を蹴った時だろう。


少し考えればわかることだったのに。悔しさが募る中


お互いの技が交錯する。


お互いの技は早さで相手を着く物だった。


一閃で手を抜いた分右手から血が溢れる


槍術使いはここから連打してくるだろう


しかし、呼吸が少し乱れたのを見逃さなかった


ここが武神と挑戦者の違いかもしれない


ハヤトは交差した時に相手の背後を取っている


余りの速さに風が吹く


ハヤトは槍使いの頸動脈をギリギリ交わした左手で


頸動脈を思いっきり着く


少し賭けだった


槍術使いはふらふらとしながら気絶した。


アリーナからは歓声が沸く


ナギサは歓声どころではなく、ハヤトがまた無事に帰ってきたことにほっとする


ハヤトが死ぬのが怖い。武神なんてやめて欲しい。一緒にいるだけでいいのにと…


でも、武芸者なら戦わずにはいられないのだろう


それが武芸者のプライドというものだと知っているから…



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