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2つの決着

数百年前。ファークスは紅炎竜の住まう洞窟に住んでいた。


そこで様々なスキルを学んだ彼は、その日紅炎竜の下から去ろうとしていた。


「爺さん。俺に宝玉をくれ。良いだろ。」


〈良いだろう。オレはお前に期待している。オレの宝玉の一部を与えてやろう。この力に体が耐えることができたら、この洞窟から出ることを許可する。〉


若い男の姿に化けている紅炎竜は、掌から赤い宝玉の欠片を生み出す。ファークスはその欠片を飲み込むと、全身から大量の汗が吹き出し苦しみだした。


「ガッ。ガァァァ。」


〈オレの宝玉は強力だ。これを吸収すれば、どんな雑魚だってS級になれる。お前なら神代の領域だって夢じゃないだろう。〉


地面をのた打ち回るファークスを愉快そうに見下ろし、紅炎竜はその場で胡坐をかいて彼が吸収を終えるのを眠って待った。


――体が焼けるみてぇだ。だが、これを耐えれば、オレを捨てたあいつらを見返せる。


数日後、ファークスの叫び声に紅炎竜は目を覚ます。


〈ん?おや。耐えきったか。ファークス。〉


「ああ!爺さん。これでこの洞窟から出ていいんだよな。」


〈良いだろう。お前の力を世界に示すと良い。〉


その日の内に、ファークスは洞窟を後にした。


それから百年後。〈英雄殺し〉と呼ばれる謎の怪物がこの世界で噂されるようになる。


各国で英雄と呼ばれた騎士や魔法士が、次々と何者かの〈火魔法〉によって殺害されたのだ。


しかし人々はその〈英雄殺し〉の正体を確信し、口々にこう言った。「悪魔を怒らせたのだ。」と。


「おっかしいだろうがッ。〈英雄殺し〉は俺なのに、なんでレーヴァテインがやったことになってるだぁ?」


もう何度目か。とある国の英雄を嬲り殺し、ファークスは怒り狂って怒号する。


「俺を奴らに認めさせるために〈英雄〉と呼ばれて調子に乗ってる雑魚共を殺して回ってるのに。」


既に死亡している英雄をその原型が無くなるまで蹴り飛ばし、踏みつける。


「ハァ。ハァ。火の大悪魔。あいつを殺せば、奴らも俺を認めざるを得ないだろうなぁ。」


ファークスは肉塊と化した英雄を踏み潰し、レーヴァテインが住まう火山に向かって歩みを進めた。


常に強力な魔力が籠った炎が噴き出す火山地帯。この火山地帯の中央にレーヴァテインは1人で暮らしている。


「クッソ熱いな。こんな所に常に住んでるとかバケモンか?だが、爺さんの力をモノにした今の俺なら勝てんだろ。」


そう啖呵を切ったファークスだが、レーヴァテインが住む領域に辿り着くことなく、人型の炎の化身に返り討ちにされた。


「クソがぁ。なんだあのバケモンはッ。炎の悪魔はあんなバケモンを飼ってんのか。今の俺じゃ勝てねぇ。もっと魔物の宝玉を喰って、俺の力にしなくちゃあなぁ。」


ファークスは英雄殺しを辞めると、世界中を回ってS級の魔物を喰らった。彼には特殊な能力があった。


それは喰らった宝玉の力を自分の物にするという能力だ。


彼はその能力で確実に力をつけていった。


そして50年後。再びファークスはその火山地帯に向かった。


「よっしゃー!勝ったぞバケモンッ。これで火の大悪魔と――」


直後、ファークスの目に入ったのは、数十体の人型の火の化身だ。


「クソ。このバケモンを後何体飼ってやがんだッ。」


再び返り討ちになったファークスは、再び世界中を回ってS級の魔物を喰らった。


しかし、何年経ってもファークスはレーヴァテインに辿り着くことなく、遂に彼はレーヴァテインと対峙することは無かった。


そう。レーヴァテインはエフィと契約を交わし、火山地帯を去っていたのだ。


「なんだとッ。あの悪魔が人間ごときの下についたぁ?」


人間を格下だと断じて見下しているファークスは、自分より格上だと信じていたレーヴァテインが人間と契約したと知り怒り狂った。


しかし、この数百年で彼は愚かではなくなっていた。レーヴァテインと契約した人間が只者ではないことくらいは理解している。


だから彼は、再びあの洞窟に向かった。


「爺さんッ。力を貸してくれよ。」


〈何故だ?〉


「火の大悪魔と契約した人間と――」


ファークスの言葉を遮るように、紅炎竜は低く殺気の籠った声で〈なんだと?〉と聞き返す。


「ど、どうしたんだよ爺さん。」


紅炎竜の変化に気付いたファークスは驚愕し、一歩後退る。


〈すまないが、オレはその者とは戦えない。〉


「なんでだよ爺さん。」


〈あの者とは、数年前に既に勝負がついている。オレはあの者に敗れた。この腕もあの者にやられたのだ。〉


紅炎竜は左腕を失っていた。普通はいくらでも修復できるような損傷だ。しかし、彼女の攻撃は普通ではなかった。


〈あの者から受けたこの傷は、どんな魔法でも修復は不可能だ。アレは特別だ。関わらない方がいい。〉


「なんだよ爺さん。1度負けたくらいでビビってんのかよッ。」


紅炎竜の弱気の言葉に、ファークスは怒りを露わにする。しかしそんなファークスに、紅炎竜はそれ以上何も言わない。


「チッ。仕方ねぇ。俺1人でやるしかねぇか。」


ファークスは怒りに任せて地面を踏みつけると、そのままの勢いで洞窟から駆け出して行った。


数日後、ファークスはエフィに敗れた。そして、それと同時に、彼はレーヴァテインと戦うことを諦め、その矛先を〈火の大精霊〉サラマンダーに向けた。



「やっとのことで、その雑魚をぶっ倒したってのに。クソッ。」


怒りに任せて地面を踏みつけ、壁を殴り。理性を保てない様子のファークスに、エフィは無表情で語り掛ける。


「お前はレーヴァテインと戦いたいんだろう?丁度いい。1度戦ってみろ。お前程度じゃ勝てないからな。」


エフィは手に持っていた魔剣を鞘に納めると、その魔剣をそのままレーヴァテインに渡した。


「契約を限定破棄する。レーヴァテイン。全力で相手してやれ。」


〈わかった。〉


レーヴァテインが抜剣した魔剣は純粋な火を纏い、その火は地面を伝って空間を燃え上がらせる。


エフィを今囲っている結界は火によるダメージを防ぐ効果を持ち、火の大精霊たるサラマンダーは、火によるダメージを受けない。つまり、この空間ではファークスだけがそのダメージを受ける。


〈構えろ。手加減はしない。〉


レーヴァテインは地面を蹴り、一瞬でファークスに迫り左から切り上げ、魔剣で彼の残った左腕を狙う。しかし、彼は一瞬で左腕を引き、傾いた重心を右足で支え、その速度のまま身体を1回転させ、左足でレーヴァテインの身体を蹴り飛ばす。


――流石に速い。


レーヴァテインはその蹴りを魔剣の刃で防ぐと、蹴り飛ばされた先で足から着地し、落ち着いた表情でファークスを見据える。


――簡単に防ぎやがったか。やっぱ強ぇなッ。


レーヴァテインが魔剣の刃で防いだことによって、攻撃したはずのファークスの左足はむしろ斬られてしまい、その鱗に若干のヒビが入る。


足を多少損傷し、長期戦は不利だと考えたファークスは、口から烈火を放つ。それは彼の得意技、〈竜魔法〉ドラゴンブレスだ。


しかし、彼の魔法はほぼ同時に放たれたレーヴァテインの〈火魔法〉によって相殺され、2人の中心で爆発が起きる。その爆発によってダンジョンの床は破壊され、それによって発生した煙が完全に視界を遮る。


それを狙っていたのだろう。ファークスが足音を消して走り始める。そして彼はレーヴァテインを攻撃の射程内に収めると、静かに跳躍し、彼女の背後から〈竜魔法〉ヒュドラを放つ。


9つの竜の頭を模した烈火がレーヴァテインを背後から襲う。しかしその直後、竜魔法は空を切り、そのまま一直線に飛翔し地面を破壊する。


「ッ!」


ファークスが気付いた時には、レーヴァテインは既に彼の背後に回っている。彼の一瞬の隙は、レーヴァテインには充分過ぎる時間であり、彼女の魔剣は弧を描きファークスの左腕を切断する。


「チッ。」


両腕を失ったファークスは地面を蹴って後方に跳躍する。


――クソッ。両腕を失っちまった。だが、左腕はまだどうにかなるはずだ。


ファークスは、ドラゴンブレスを天井に放ち天井を崩れ落とす。レーヴァテインがその落ちてきた瓦礫を魔剣で弾くと、彼女目掛けて突進してくるファークスが見えた。彼女が彼の攻撃を右方に跳躍し避けると、ファークスは先程までレーヴァテインが立っていた場所で制止し、床に落ちている自分の左腕を拾い、自分の左肩に接着させる。


――〈竜魔法〉ブレッシング。術者の技量によって効果は変わるけど、ファークスの技量であれば切断した腕を治せるのか。


冷静にファークスを見据えるレーヴァテインは、魔剣を持つ手に力を入れる。


――腕を落としても意味が無さそうだ。次は首を落とそう。


次の瞬間、魔剣が纏う火が凄まじい熱気を放ち、直後レーヴァテインは地面を蹴って前進する。


――速ぇ。だがッ。


一瞬の判断でファークスは地面に落ちている瓦礫を足で蹴り上げ、レーヴァテインの魔剣による斬撃を防ぐ。しかし、彼女の斬撃は瓦礫を紙の様に斬り捨て、そのままの踏み込みでファークスに斬りかかる。


――危っぶねぇ。


ファークスは紙一重で左に避け、レーヴァテインの魔剣はファークスの右方で空を切り、そのまま振り降ろされた魔剣は床を破壊する。しかし、彼女はそれだけで終わらない。その勢いで魔剣を床に突き刺すと、魔剣の柄を握ったまま宙に浮かび、ファークスの脇腹を蹴り飛ばす。


「カハァッ!」


ファークスの身体は壁に激突し、そのまま床に倒れ込む。


――クッソ強ぇ。サラマンダーとレーヴァテインは同じくれぇの実力じゃねぇのかよ。こいつ、サラマンダーより数段強ぇじゃねぇか。


「ファークス。良いことを教えてあげよう。」


少し離れた位置で観戦していたエフィは、倒れたファークスを見下ろしながら、愉快そうな笑顔で語り始める。


「君がサラマンダーに勝てたのは、彼女が武器を持っていなかったからだよ。」


「どういうことだッ?」


強気に返答するファークスは顔を上げてエフィを睨んでいる。


――チッ。見下しやがって、てかどういうことだ?武器を持ってなかったからだと。


「サラマンダーはダロスと契約し、彼女に精霊槍を預けている。レーヴァテインもそうだけど、彼女たちは契約の際、そのほとんど能力を武器に宿して契約者に預ける。つまり、君が戦ったサラマンダーは弱体化した状態だった。ということだ。」


ファークスはエフィの言葉を聞き終えると、怒りを露わにして左手の拳を固める。


「ふっざけんなッ。」


その拳を床に叩きつけ、勢いよく立ち上がる。


「何度も何度も俺を虚仮にしやがってッ。もう良い。やってやる。」


何か決意を決めたように怒鳴るファークスはあるスキルを発動する。


「全員殺してやるッ。」


ファークスの身体が徐々に肥大化していき、竜の姿へと変化する。


――竜…化?


竜へと変化したファークスを見上げるレーヴァテインは首を傾げている。それもそのはず、〈竜化〉は竜人固有のスキル。鬼人である彼が取得できるはずがない。


――まぁ良い。とりあえずはこの怪物の相手をしよう。


竜族は、あらゆる生物の中で最も強力な存在。その竜族に変化したファークスは、純粋な竜族には劣るものの相応の実力を有していることだろう。


〈竜化〉は彼の切り札。最終手段と言ったところか。並大抵の相手であれば、その圧倒的な力で屠れるだろう。


直後、ファークスの圧倒的な火力を誇るドラゴンブレスがダンジョンを破壊する。天井も床も壁も。その火力を前に崩壊を始める。


しかし、そのダンジョンの崩壊は、地下深いダンジョンでは到底吹くことのない涼しい風が吹くと同時に停止する。


タシマレクオ(すみません)ンセマミス。(遅れました)


その風の正体は、シルフの〈精霊魔法〉だ。彼女の生み出した風がダンジョン内に充満し、瓦礫がゆっくりと元の位置に戻っていく。


〈クソがッ。シルフも着きやがったのかッ。〉


ファークスも理解する。これは詰みだ。正確には、エフィがこの場に到着した時点で彼は詰んでいたのだが、彼が己の詰みを意識したのはたった今の事だ。


「これ以上無駄な戦闘は止めにしよう。レーヴァテイン。終わらせろ。」


〈わかった。〉


エフィの命令を淡白に了解するレーヴァテインは、無造作に魔剣を振り上げ、次の瞬間にはファークスの首を両断する。


はね飛んだ首は、地面に落ちる頃には鬼人の姿に戻っている。その両断された首からは、その身体から流れているとは到底考えられない量の血液が溢れ出ている。


「行くよ。レーヴァテイン。」


ダンジョンにファークスの死体を放置したまま、エフィ達は急いでその場を後にする。



ファークスとの決着の数分前、ガラジオスは複数の鬼人を同時に相手していた。


――確かに強いな。


彼を取り囲む鬼人達を一薙ぎにし、1度に7人もの鬼人を彼は両断する。


――後何人いるんだ。


今までに計24人の鬼人を殺害したガラジオスは、次々に現れる鬼人に違和感を覚えていた。


――流石に多すぎる。これだけの鬼人が集まっていて、何で今まで騎士団が捕えられなかったんだ。


ガラジオスは、四方八方から放たれる鬼人達の連携の取れた猛攻を槍で防ぎながら、その疑問の正体を思考する。


――これ程の手練れ達だ。この集団のリーダー格以外にも強い奴がいるはず。エフィ達なら問題ないと思うが、できるだけ負担は減らした方が良いだろう。


ガラジオスは、今彼を取り囲んでいる鬼人達を全員薙ぎ払うと、ダロスをいつでも守れる位置で新たな鬼人が現れるのを待つ。そんな時だ、一際強力な魔力を放つ4人の鬼人が現れた。


「本当に現れやがったな。」


「1人で来るとか馬鹿だな。」


「でも侮れないわ。あれでも勇者の1人なんだからね。」


「俺達が4人でやれば問題ないだろ。」


ガラジオスの前に立つ4人はそれぞれ、火、水、土、風と別々の魔法を同時に放ってくる。


同時に異なる属性に対処しなければならないガラジオスは、まず最速で飛来する風魔法と火魔法を槍で両断する。直後、跳躍して地面から放たれる土魔法を避けると、最後に水魔法を己の土魔法で相殺する。


「流石は勇者ね。でも――」


火魔法を放った女の鬼人がそこまで言いかけた所で、ガラジオスの背後から今まで隠密で隠れていた小柄な鬼人が現れ、彼にダガーでの攻撃を繰り出す。


「私達は4人だけじゃないのよ。」


女の自信に満ちた顔を一瞥し、ガラジオスは思わずほくそ笑む。


直後、小柄な鬼人の体が縦に両断され、鬼人達の表情が一変する。


「な、何をしたんだ。」


槍を全く動かさずに小柄な鬼人を殺害したガラジオスが何をしたのか分からず、彼らに焦りの色が見え始めた。


ガラジオスが今行ったのは斬撃の予約だ。魔力を込めた槍で空間を切り裂き、そこに魔力の斬撃を設置するのだ。何者かが隠れてるのを気付いていたガラジオスは、その何者かの動き誘導し、設置した斬撃に直撃させたのだ。


――まずは1人。


ガラジオスの未知の攻撃を警戒し、鬼人達は後退り距離を置く。しかし彼はそれを許さず、踏み込んで4人全員を自分の間合いに収め、槍で大振りに薙ぎ払う。


その薙ぎ払いを完璧に避けたのは3人。先程風魔法を放った細身の男は、その薙ぎ払いで右足を失う。


「チッ。」


細身の男は恐らくもう満足な戦闘はできないと理解したのか、捨て身でガラジオスに突撃し、攻撃を受ける直前に準備していた風魔法をゼロ距離で放つ。


「ふぅ。」


それを軽い身のこなしで避けるガラジオスは宙に浮いたまま槍で細身の男を貫き殺害する。しかし、跳躍で避けたことが仇となり、空中で残り3人の魔法による集中砲火を受ける。


その集中砲火のほんの直前に彼が壁から放った土魔法を蹴り、ガラジオスはその集中砲火を命からがら避けた。


地面に着地すると同時に踏み込むガラジオスの槍を魔法は間に合わないと、先程土魔法を放った大柄な男は腰に下げた剣を抜剣し受け止める。


しかし、彼の剣とガラジオスの槍では勝負にもならない、一瞬でガラジオスは剣を破壊すると、そのまま大柄な男を一突きにし、殺害する。


その勢いは止まらず、残り2人の全力の魔法攻撃も彼の槍に悉く弾かれ、1度も彼の背後に魔法が飛ぶことは無かった。


――避けるのは簡単なはずなのに、なんでわざわざ魔法を弾くのよ。


その違和感に、女の鬼人は彼の背後に気絶しているダロスの存在に気付く。


――ガラジオスの妹。なるほどね。


彼の弱点に気付いた女の鬼人はわざとガラジオスを避ける様にして火魔法を放つ。


「クッ。」


ガラジオスはその火魔法がダロスを狙ったものだと気づくと、優先して火魔法を弾き始めた。しかし、流石の彼でも同時に彼に放たれた水魔法までは防げず、彼の体に直撃してしまう。


「やっと崩れたな。」


思わず膝をつくガラジオスを見下ろす男の鬼人は、油断してガラジオスの近づいてしまう。


「待ち――」


女の鬼人の制止の声は間に合わず、男の首が切断され地面に落ちる。


――クソッ。やっとわかったわ。魔法の斬撃を設置してたのね。


男が殺された瞬間を目の当たりし、やっと斬撃の正体を理解する。


――わかっていれば怖くないわ。私だけでどこまでできるかわからないけれど、ファークス様が事を終わらせるまでは耐えて見せるわ。


そう決心したその時だった。ダンジョンの下層から爆音が鳴り響き、ダンジョンの床や壁、天井にまでひびが入る。


「な――」


その現象に女の鬼人は動揺してしまった。その一瞬の隙を突き、ガラジオスは女の体を両断し、急いでダロスの下に向かった。


崩壊が始まる直前にガラジオスはダロスの下まで辿り着いたが、それ以上はどうしようもなく、彼女を守るように抱きかかえる。しかし、崩壊が始まると同時に涼しい風が吹き崩壊が止まった。


――シルフ様の魔力。また助けられてしまったな。


自分の不甲斐なさを嘆きつつも、ダロスの身の安全を確保する為に、彼は地上を目指して走り出した。

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