7 ナタリー
誕生祭当日。
ナタリーは美しく着飾ってセシル家族と一緒に居た。
マツリド改めイグニシ先生は穏やかな顔付きになっておりイケメンにさらに磨きがかかっていた。
セシルの子供二人は女の子と男の子で幼いながら二人の遺伝子を引き継ぎ美しい顔をしていて聡明だった。
「まさかマツリド先生を婿にするなんて…セシルもやるわね。」
「リュークが自分は領土も何も無い名前だけの貴族だから私の家の事を考えてそうした方が良いだろうって。」
「はー。大切にされてるわねー。」
セシルは照れながら頷いた。
それを見て羨ましいと思ったナタリーだった。
雑談をしていると国王であるゼムスと王妃のティーナが赤ちゃんを抱いて登場した。
盛大な拍手が送られ、二人が挨拶をする。
貴族の名前が呼ばれ個別に国王と王妃に挨拶をする。
「ナタリー!参加してくれてありがとう!元気だった?」
「勿論元気よ!ティーナ、幸せそうで良かったわ。」
「ふふっ。ありがとう。」
「ナタリー嬢、まだこちらに居ますか?久し振りにティーナと話しをしてやってください。」
ゼムスがナタリーにお願いし、1週間後にお茶会の約束をした。
王子を引き下がらせるとダンスパーティーの時間になった。
「はぁー。ティーナったらすっかり王妃様じゃない。」
「そうね。ゼムス様も立派な国王として国を動かしているみたいよ。」
「学生の頃、馬鹿みたいにしてたのが信じられないわね。」
「馬鹿みたいにじゃなくてアホだったのよ。」
二人は軽食を食べながら昔話に花を咲かせた。
セシルはリュークにダンスを誘われ踊りに行くと様々な男性がナタリーをダンスに誘いナタリーは誘いを受けた。
待ちに待った誕生祭だけあって、出会いはなかったがとても楽しく過ごしたナタリーだった。
自宅に戻りドレスを脱ぎ寝る準備をするナタリーを先に戻っていた父が呼びに来た。
応接間に向かうと、そこには母も居てお茶を飲んでいた。
父はナタリーに座る様言い、ナタリーは父の指示に従った。
メイドからお茶を貰うと父はメイドを引き下がらせた。
「ナタリー、お前に話がある。」
「何?改まって…。」
「砂漠の国から王族の男性との婚約が持ち上がった。」
なんと今日の誕生祭で砂漠の国のアイーシャ女王がナタリーの父であるマスカゼ公爵に提案をして来たらしい。
「相手はまだ分からないが、お前が婚約を了承すれば更に強固な絆になる。」
父ではなくマスカゼ公爵としてナタリーに話しをする。
ナタリーは結婚を半分以上諦めていた為、よっぽどの問題を抱える人でなければ婚約をすると言った。
「良いんだな?」
「えぇ。」
父は暫く滞在すると言っていたアイーシャ女王に見合いの席を設けるべく手紙を書く事にした。
「マスカゼ公爵令嬢として貴女の判断は正しいわ。」
「ありがとうございます。」
ナタリーはどういう人がやって来るのか不安で一杯だったが少なくとも王族の男子はトルマリンとダイヤしか知らないが美青年であろうと思った。
次の日、ナタリーはティーナと約束したお茶会の為のドレスを見に街にやって来た。
母は王宮に招かれたのだからとサマー・マザーでドレスを仕立てる様に言ってきたのでそうする事にした。
「いらっしゃいませ。」
相変わらず最大限に鍛えられた筋肉を見せびらかす様な洋服を着ているサマー。
ナタリーは用件を伝え案内された個室に入った。
「あらー。貴女も素敵なモノをお持ちね!」
ナタリーの引き締められた身体を見てサマーが頷く。
「でも女はそういうのを見せちゃ駄目!隠す様なドレスを作りましょ。そうね…貴女身長も高いからセクシーなドレスにしましょうか。」
「えっ!ただ王宮のお茶会に招かれただけだから普通の感じにしてもらいたいんですけど…。」
「…あんた良い歳して分かってないのね。ったく。ドレスのデザインは任せて。3日で仕上げるから3日後に来て頂戴。」
ツンケンされながら店を追い出されるナタリーだった。
3日後、再びサマー・マザーのお店にやって来たナタリーは個室に通されドレスを見せられた。
「素敵…。」
ナタリーの髪の色に合わせたドレスでスレンダーラインの学生時代には絶対に着る事の無かったドレスだった。
「さらにこれを羽織るのよ。」
レースで編まれたボレロを掛けるとまた一段と大人っぽくなった。
「装飾品はは控え目のにしなさいね。パールが有ればパールが良いわ。」
サマーにアドバイスされ店を出るナタリー。
自宅に戻ると母とドレスの仕立て屋さんが来ていた。
ナタリーを仕立て室へ押し込み採寸が始まる。
「えっ何?」
「お見合いの日が決まったの。その為のドレスを仕立てるのよ。」
それを聞いたナタリーは大人しくする事に決めた。
てきぱきと採寸を測り終え、ドレスの希望を聞く仕立て屋にナタリーではなく全て母が指示した。そして数日後いくつか案を持ってまた来ると言い出て行った。
数日が経ち、ナタリーとセシルは王宮のガーデンに居た。
そこにはティーナも居て昔話に花を咲かせいる。
すっかり王妃らしくなったとナタリーは感心していたがティーナは全く変わっていなかった。
「そう言えばイグニシ宰相から話しを聞いたけど、ナタリー砂漠の国の王子とお見合いするんでしょ?」
「そうよ。婚期を逃して結婚出来なかったけど、何とか結婚出来そうだわ。」
どんな人なんだろうと想像した3人だった。
「あっ話変わるんだけど、アルゼルを見たわよ。」
突然ティーナが言い出した。
どうやら誕生祭にアイーシャ女王がアルゼルを連れて来ていたらしい。
「あれは夫では無く執事の様だったわ。」
ティーナはアルゼルの様子を二人に伝えた。
セシルは驚いていたが砂漠の国の内情をトルマリンが聞いて知っていたナタリーは驚かなかったし砂漠の国では王族の男子に世話をしてもらっていると話した。
「はー…国が違えば文化も違うものね。」
「私もこの前聞いて驚いたわ。王族の男子だけじゃなく夫も執事みたいな事をしなくちゃいけないのね。」
二人はアルゼルに同情した。
楽しいお茶会が終わり、ティーナはナタリーに帰国したらまたお茶会をしようと言った。
ナタリーは笑顔で頷いた。




