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6 ナタリー

建国際から数日後、ナタリーは王宮の謁見室に居た。


「アイーシャ王女、本日はお忙しい中お時間を頂き誠にありがとうございます。」

「よい。して今日はどの様な用じゃ?」


ナタリーはガクガール国から来た招待状の話しをした。


「ナタリー嬢は王妃と友人関係であったな。妾も招待状を貰っていてな。船はいつでも出航出来るが、いつ出発しいつ戻って来る予定なのだ?」

「出来れば2日後に出発したいと思っております。暫く母国に帰っておりませんので出来れば1か月程滞在したいのですが…宜しいでしょうか?」

「勿論構わぬ。では2日後に船を出そう。迎えは1か月後で良いな?」

「はい。ありがとうございます。」


話が纏まりナタリーは邸に戻ろうとしたが、ふとトルマリンの事を思い出し、駄目元でトルマリンも一緒にガクガール国に行く事は可能かと聞いた。


「ダイヤの原石ではなくトルマリンの原石を連れて行きたいと?」

「はい。私がこちらに来てからずっとお世話になっているので両親に紹介したいのです。」

「ナタリー嬢の気持ちは分かった。しかし国外に連れて行く事は許可出来ない。そなたがトルマリンと婚約を結ぶのであれば話は別だが…。」

「そうですか…。分かりました。」

「これは仕来りでの…すまんの。」

「いいえ。お気にやませてしまって申し訳ございません。」


ナタリーは別れの挨拶をし王宮を後にした。


「やっぱり駄目だったわ…。」


迎えに来ていたトルマリンに謝りながら伝えるとトルマリンは微笑んだ。


「私はその気持ちだけで十分です。」


邸に着きダイヤに迎え入れられガクガール国へ出発するのは2日後だと伝えた。

二人はナタリーの世話をしながらナタリーの帰国の準備をし2日後、ナタリーは二人に別れを告げガクガール国へ出航した。




「懐かしいー!!」


ガクガール国に無事に着いたナタリーは、既に待っていた自分の家の紋章の着いた馬車に乗り込み自宅へ戻った。


「ナタリー、お帰りなさい。」

「お母様!ただ今戻りましたわ!」

「…ナタリー、砂漠の国へ行って随分身体が逞しくなったみたいね。肌の色も日に焼けて少し黒くなったわ。」

「そうね!なんたって砂漠の国ですもの。ケアはしていますが完璧にケア出来る筈がありませんわ。」

「…性格は変わらないのね。」


母とナタリーは久し振りの会話を楽しみこれからのスケジュールを話し合った。

抜かりのない母のお陰で明後日にはデザイナーがドレスを新調しにやって来る事、デザインが決まり次第マスカゼ夫人御用達の装飾品を購入する事になった。

一通り決まりナタリーに息をつかせる暇を与えず全身マッサージを入念にさせられた。

ナタリーは、久し振りの実家で心が緩んだのかマッサージを受けている最中に眠り込んでしまった。

夜になり全身つるつるぴかぴかになった自分自身を何度も鏡で確認していると父が帰宅した。


「お父様!お帰りなさい!」

「おぉ!ナタリー帰ったか!………随分逞しくなったな…。」

「そうなの見て!」


ナタリーは父に力こぶを見せた。

ナタリーはガクガール国に居た時は力仕事は一切していなかったのでスラリとした美しい体型をしていたが砂漠の国で原石のカットだけではなく力仕事もする様になった為、ガクガール国の言葉で言うならば令嬢にあるまじき体型となった。

父はナタリーの力こぶを見て倒れそうになったが執事とメイドに支えられ自室へ向かって行った。


「…ナタリー?お父様が部屋から出て来ないわ。何をしたの?」


夕食中に母がナタリーに聞く。


「え?何もしてないわ。ただ筋肉を見せただけですわ。」

「あぁ…そうなのね。外では筋肉を見せる事を禁止します。」

「あら何故?私の努力の結果の賜物ですのに。」

「…貴女、そんな事をして只でさえ婚期が遅れていると言うのに外でそんな事をしていたら誰も娶ってくれませんよ。」

「あー…結婚ね。私、別にしなくても構わないけど。」


母に睨まれそれ以上言うのを止めたナタリー。

楽しい晩餐が終わり自室に戻るナタリーは睡魔に襲われ、あっと言う間に寝入ってしまった。

次の日、ナタリーは誰にも起こされなかったのでお昼頃まで寝てしまった。

少し早めの昼食を食べ散歩がてら街に出ようとすると母に護衛を付けられた。


『砂漠の国では護衛なんて付けて歩かなかったのに…。』


街を行き交うのは男女達。

砂漠の国では98%が女性なので新鮮に感じられた。

ナタリーは特に装飾品店に注目しながらウィンドウショッピングをした。


『砂漠の国に比べるとやはり見劣りするわね…。砂漠の国の装飾品はこの国じゃ高過ぎて公爵位の人間じゃないと買えないわね。』


どうしても砂漠の国と比較してしまうナタリーだった。

粗方、周り終わり暗くなるまで時間が有ったので図書館へ向かい原石の加工等の資料を探したがトルマリンが探してくれた量より全然少なかった。


『あんなに沢山の本を探したり買ったり書き写したり大変だった筈なのに…。』


ナタリーは改めてトルマリンに感謝をした。

暗くなり自宅に戻るとナタリーの弟ジューロが居た。


「ジューロ!貴方戻って来ていたの!?」


久し振りに会うジューロに喜びが隠せずジューロを抱き締める。


「…ん…?」


以前ならすっぽりナタリーの腕の中に収まっていたジューロは身長がぐっと伸び身体も成人の男性と変らない事に気が付いたナタリー。


「姉さん、いつまで離さないつもりですか。」


いとも簡単にナタリーを振り解くジューロ。


「…ジューロなのよね?」

「どう見てもそうですよね。」

「あの可愛い可愛いジューロなのよね?」

「可愛いのか分かりませんが、私の名前はジューロです。」


何度も何度も同じ様な質問をした結果ナタリーの叫び声は屋敷中に響き渡った。


「うっ嘘よ…。私のジューロは私よりも身長が低かったしガッシリしてないわ!」


ナタリーはジューロの履いているズボンの裾をあげた。


「ジューロが…スネ毛…違うわ…私が知ってるジューロはスネ毛なんて生えてていなかったわ…。」

「…姉さん、大丈夫?俺男だよ?スネも脇も生えてるし何なら…」

「やめてーーー!!私のジューロを汚さないで!」


ナタリーは混乱しながら自室へ走って戻って行った。


「姉さん頭大丈夫かな?」


残されたジューロは集まっていたメイド達に問い掛けたがメイド達は首を横に振った。


次の日、ナタリーは昨日の事を母から令嬢たるものいつ如何なる時も大声で叫んではいけないと怒られた。

しょんぼりしながら母が呼んだドレスのデザイナーに採寸を測られた。


「何かご希望は有りますか?」

「肩から手首まで隠れるデザインにしてくださる?それ以外はないわ。」

「畏まりました。では一度持ち帰りまして1週間後いくつかデザインを考えてきます。」


母が直ぐに指摘をしデザイナーがメモを取る。

デザイナーはてきぱきと帰り支度をしマスカゼ邸を後にした。


「私は隠れるデザインじゃなくても良いんだけど…。」

「何か仰ったかしら?」

「いいえっ!」

「ならば結構です。」


ナタリーはため息をつきながら庭の日陰になっている芝生に寝転んだ。

ナタリーは帰国してから暇を持て余していた。

来る日も来る日も美白マッサージを受け母とお茶会、護衛を付けての街散策。


「早く砂漠の国へ帰りたいわ…。」


誕生祭2日前になりナタリーはセシルと一緒に今人気らしいカフェテリアに居た。

セシルは教師であるリューク・マツリドと結婚し既に子供が二人居る。

現在は学校の近くに家を持ち生活をしているらしい。

会話に花が咲く。


「ところでナタリー結婚はしないの?」

「んーしたいとは思うけど、相手がいないわ。お父様が早く相手を見繕ってくれれば良いのに…。まぁ私が砂漠の国へ行ってるのが悪いんだけどね。お陰で行き遅れよ。」

「砂漠の国に良さそうな人は居ないの?」

「あー…。それがさぁ…。」


ナタリーはトルマリンとダイヤの話しをした。


「じゃあ手っ取り早く二人の中から選んで結婚したら?」

「いやいや…。セシル何言ってるの。例え私が良くても向こうが良くなかったら結婚出来ないでしょう…。」

「そうかしら?私が王族の男子なら誰でも良いから王宮という籠から出して欲しいと思うわ。」

「うーん…そうなのかしら?」


ナタリーはセシルの話しを聞いて少し考えたがトルマリンは弟の様だしダイヤは美青年過ぎて気を使うし二人と恋愛している想像がつかなった。


「まぁナタリーが結婚しようがしまいがナタリーの好きにすると良いわ。それよりいつまで砂漠の国へ滞在するつもりなの?」

「一様、技術士のバジュラさんが認めてくれたら帰るつもりで居るわ。目標はジューロが専門学部卒業する時には帰国しておきたいけど…。」


こうしてセシルとの楽しい時間は終わった。

セシルと別れ自宅へ戻るナタリーだった。


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