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5 ナタリー

「ナタリー様、おはようございます。」


ダイヤがナタリーを起こしにやって来てカーテンを開き窓を開けた。


「今日は建国際ですよ。」

「…建国際?」


去年は早くバジュラに認めてもらおうと砂漠の国の行事など気に求めていなかったが、営業日だったのに休みの日が有った事を思い出すナタリー。


「今日は露店は出ていますが飲食店以外は休みとなっておりますので、工房もお休みでございます。」


慣れた手つきでナタリーの支度をするダイヤ。


「それから朝、こちらが届いておりました。」


ダイヤはナタリーにガクガール国の紋章が入った手紙を渡した。

手紙には1か月後にゼムス国王とティーナ王妃の王子誕生祭が行われる為、是非出席して欲しいと書かれていた。

ナタリーは手紙を仕舞い、朝食を食べ終わった後にダイヤにアイーシャ女王に会いたいと言った。


「分かりました。今すぐには無理ですが謁見を申し込んでおきます。」

「ありがとうございます。それからバジュラさんに会いに行きたいのだけど…。」

「畏まりました。すぐにラクダの準備を致します。準備が出来次第、お迎えに上がります。」


ダイヤはナタリーにお茶を入れ部屋を出て行った。

リビングから見える庭を見てるとトルマリンが花に水を上げているのが見え、ナタリーはトルマリンの所へ向かった。


「トルマリン、おはよう。」

「ナタリー様、おはようございます。」

「今日、友人から手紙が来て子供の誕生祭に来て欲しいと書かれていたの。」

「そうですか。それは嬉しい事ですね。」


トルマリンは水をあげる手を止めナタリーの話しを聞く。

ナタリーはトルマリンに両親に滞在中、自分の世話をしてくれる人だと紹介したいので一緒にガクガール国に帰国してくれないかと言った。

微笑んで聞いていたトルマリンが少し間を置いて行けないと答えるとナタリーはなぜなのか聞いた。


「私達は女王の許可なく国外に出る事が出来ないのです。誘って頂いたお気持ちは有り難く頂戴致します。」

「…そう。」


ナタリーは再び話しかけようとしたがダイヤが迎えに来たので口を開くことを止めた。


「ナタリー様、こちらがバジュラ様のご自宅でございます。」

「ありがとうございます。」


ナタリーはバジュラの家の前に待機していてもらうようダイヤに言った。


「畏まりました。どうぞお気をつけて。」


ナタリーがバジュラの屋敷に入ったのを確認するとダイヤは穏やかだった表情を歪ませた。


『何故ナタリー様は俺に何も話してくれないんだ。何であいつには何でも話すんだ。』


ダイヤは庭でナタリーとトルマリンの話している内容を聞いていたのだ。

ナタリーが工房で原石の加工と磨きを任された話もトルマリンから聞かされ、ガクガール国に一時帰国する事も盗み聞きしなければいつかトルマリンから知らされていただろう。

ダイヤは、自分の拳を強く握った。


『この国から出るのは俺だ!あいつに負けてたまるか!』



一方、バジュラと無事に会う事が出来たナタリーは一時帰国する為、暫く工房に出向けないと話した。


「話は分かった。向こうに行くのはいつだい?」

「まだ女王様にお伺いをたてていないので分かりません。」

「そうかい。腕が落ちない内に帰ってくるんだよ。」

「勿論そのつもりです。」


さよならの挨拶をしたナタリーはバジュラの屋敷を後にした。


「あ、そう言えば今日は建国際だったわよね?ダイヤさん、今日はもう予定がないので建国際に参加してはどうですか?」

「お気遣いありがとうございます。ならばナタリー様、私と一緒に建国際に行きませんか?」

「そうね。ならトルマリンも誘いましょう。」

「…良いお考えですね。トルマリンの原石もきっと喜ぶでしょう。」


嬉しそうに笑うナタリーを見て内心面白くないと感じたダイヤだった。

邸に戻ったナタリーは、さっそくトルマリンを建国際に誘うとトルマリンはとても喜んだ。

いつも王宮の窓からしか見る事が出来なかったお祭りを自分の目で見られるのが嬉しかったのだ。


「喜んでくれて良かったわ。」


3人で建国際に参加する事にした。

ラクダを預かり場に渡し少し歩くと大勢の人が行き交っている。

珍しい事に男性を連れている女性も居た。


「男性を連れている方は、王族か貴族、もしくは男性をレンタルした市民です。」


ナタリーはダイヤにそう教えられた。

露店をゆっくり見学し、レストランで休憩をしようとしたがトルマリンが楽しくしているのを見てせっかくなので露店販売で何か食べようとナタリーが提案した。

二人が頷き、美味しそうな匂いに誘われ屋台に向かい注文をするナタリー。

トルマリンは、すぐに約束紙を出したがナタリーが首を振ってお金を払った。


「今日は遊びに来ているから国のお金を払う事はないわ。前にもお金は持ってきてるって言ったでしょ?」


事前に持って来たお金だけではなく、工房で技術を学びながら給料も少ないながら貰っていたナタリー。

ナタリーが滞在中に掛かる費用は国持ちなので、どんどんお金が貯まっていっているのだ。


「いつもお世話になっているお礼に今日は私が全てを支払うわ!欲しいもの、食べたい物どんどん遠慮せずに言ってね!」


そう言ったナタリーは二人が少しでも立ち止まったり見入ったりしているとお金を支払い二人にプレゼントをした。

お腹が満腹になった頃、建国際の目玉イベントが始まった。

王宮からの衛兵が出て来て道を作り安全を確保すると象の上で黄金の玉座に座ったアイーシャが出て来たのだ。

アイーシャは民衆に手を振りながら何かを投げている。


「何を投げているのかしら?」


ナタリーが不思議に思っているとトルマリンが手に持っているものを見せた。

それは今日の日付の入った金貨だった。


「偶然こちらに飛んできましたので取ってしまいました。」

「凄いじゃない!ふふっ記念金貨になったわね。」

「はい…。」


イベントが終わり、至る所で音楽がなり皆各々に踊り出した。

ナタリーも踊りたくなり周りのダンスを見様見真似で踊り始めた。

楽しそうに踊るナタリーを見てトルマリンも後に続きダイヤも参加した。

暫く踊り続け、また露店を周り建国際を存分に楽しんだ3人だった。

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