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15 マツリド

夜になりリュークはパーティ会場に戻った。

リュークはセシルがルーカスと踊っているのを見て心がざわめいたがセシルが一人になった所を見て声を掛けに言った。


「あー…セシルさん、一曲お相手してもらえますか?」

「…あっ…はい…。」


リュークの手を取るセシル。

リュークは完璧にエスコートしながらも自分の手を握るセシルが可愛くて顔がにやけそうになってしまうのを我慢する。

曲が始まりダンスが始まる。

いつもより近い距離にいて抱きしめそうになるのを我慢しながらセシルに言った。


「…今日のドレスとても似合っています…。」

「…えっ?」


目線を上げリュークを見るセシル。

目が合い恥ずかしくなって視線を反らしたリュークだった。

何とか一曲踊り終わったがセシルを手放したくないリュークはセシルをエスコートし庭園の一番奥のベンチに座らせた。

飲み物を手渡し、セシルの隣に座った。

リュークは呼び止めた事を謝罪しセシルに跪きネクタイピンを差し出した。


「マツリド…先生…?その…意味は分かっているんですか?」

「…当然です。私もここの学生だったし…今は教員ですし…。…受け取ってもらえないだろうか…。こ…言葉にするのは今の私には難しく…これが精一杯なんだ…。」


告白するのはこんなに勇気のいることなんだと今更思い、もし断られても仕方ないと考えていた。

あの会場で踊るセシルとルーカスはとてもお似合いのカップルだったからだ。

もしかしたらリュークが告白する前にネクタイピンを交換し合っているかもしれないとリュークは考え出して不安になった。

しかしセシルは自分のネクタイピンを取り、リュークのネクタイピンを受け取りセシルのネクタイピンをリュークに渡した。


「っ!?…セシルさん…あの…交換の意味知ってますか…?」

「…勿論です。…前からマツリド先生が好きだと言っているのお忘れですか?」

「私で…私で…良いんですか?」


リュークは涙目になりながらセシルに尋ねるとセシルは微笑みながら頷いた。


「あー…えーっと…では、これからよろしくお願いします。」

「こちらこそよろしくお願いします。」


暫くベンチに座りリュークが落ち着くのを待ってくれたセシルは、リュークにエスコートされ会場に戻った。

別れの挨拶をしてリュークは教職員のテーブルへ座りセシルから貰ったネクタイピンを上着で隠れる所のネクタイにつけた。


「マツリド先生、何をにやけているんでしょうか?」


ニヤニヤしながらバルームがやって来た。


「…いや。別ににやけてませんが?目が悪くなったんですか?」


しらを切るリューク。


「ほー?先輩教師にそう言う事を言うのか。ならば、お前がセシル嬢を泣かせちゃったどうしよーって泣きながら相談されたと言いふらしても良いのだが?」

「…。」


言葉にするのが恥ずかしくバルームにだけにセシルのネクタイを見せた。


「ほう…。やっと思いを告げたのか。セシル嬢がルーカス君と親しげに話したりダンスを踊っていたから、てっきりルーカス君を選んだかと思っていたが…。」


バルームは、そうかそうかとリュークの肩を何度も叩いた。

パーティが無事に終わった次の日、リュークはバルームの家に招かれていた。


「…実はな隠していた事があるんだ。」

「?何ですか?改まって。」


バルームは、本当はセシルは総合学科希望者の中で3位なのだと話した。


「…は?」

「いや、だからな。親心と言うかな?…待て、怒るな!」


目の奥が起こっていたリュークは笑顔で理由を聞いた。


「少しでもリュークがセシル嬢と一緒に居る時間を作ってあげたくてな…。いやいや、最初は本当にビリだったんだ!テストを何回かやっている内にな、順位が上がってきてな…。ちょっと待つのじゃリューク!ワシは年寄りじゃ!」


バルームの手料理を小皿に取りバルームの苦手な辛味ソースをドバドバ掛け笑顔でバルームの前に差し出したリューク。


「さて、なんのことでしょうか?私はいつもあなたの料理には辛味が足りないと言っていましたよね?今回、料理を振る舞ってくれると言うので持って来たソースを掛けて差し上げただけですよ?…食え。」

「…なんじゃなんじゃ。昨日、セシル嬢がお前の場所を聞きに来た時に教えてやったのはワシだと言うのに…。」


その言葉を聞いたリュークはバルームの目の前に置いた小皿を取り自分で食べた。


「そうじゃろ、そうじゃろ。」


うんうんと頷いたバルーム。

この爺さんには一生勝てないと感じたリュークだった。




〜〜後日談。



リュークは友人のフォースに手紙を書こうか迷っていた。

実は王宮でセシルとルーカスが仲良く話していた所を目撃したフォースから、あれは誰なのかと問い合わせる手紙が何通も何通も来ていたのだ。

その度に個人情報は教えられないと返事を書いていたのだが、セシルと付き合っているのは自分だと書いてしまおうかと悩んでいた。


「書かなくてもいいよ。」


専門学部総合学科へ無事に入学する事が出来たセシルがリュークに言った。

リュークとセシルの兄フォースと友人関係である事を付き合ってからも暫く隠していた事をまだ怒っていた。

だからフォースの話をすると冷めた反応をする。


「でもそういう訳にはいかないだろ…。」

「内緒にして、結婚の挨拶の時に驚かすのが良いと思う。」

「えぇ…。ってか…結婚!?」

「嫌なの?」

「えっ、嫌じゃないよ!…でもセシルはまだ学生だし…。」

「早くしないとお父様が婚約者を用意しちゃうかもしれないわ。」

「っ!それは駄目だ!」


セシルに急かされ、事前にセシルの父に連絡しセシルが学期休みに入ってすぐに挨拶に行くと父の他に兄のフォース、ウィットが待っていた。


「っ!!おまっ!お前がっセシルの相手だったのか!?」


フォースはリュークを見て驚いた。


「セシルさんはまだ学生ですので、卒業したら結婚をしたいと考えています。」

「私は今すぐ結婚したいの。でもリュークが卒業してからじゃないとって。」


二人とも驚くフォースを無視してセシルの父に話しをする。


「分かった。私は先生の意見に賛成します。先生、娘をどうかよろしくお願いします。」


無事に顔合わせが終わりセシルは乳母に呼ばれ席を外した。


「マツリド先生がセシルの婚約者なんですね。」

「ウィット君、お久しぶりです。教師として恥ずかしい限りですが、認めてくれると嬉しいです。」

「認めるに決まってるだろ。お前ならセシルを任せられるしな。」

「…フォースが言うなら認めます。私もお世話になった先生ですし。」


こうしてリュークは強敵兄弟に認められ無事にセシルと婚約する事が出来た。



終わり

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