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14 マツリド

2学期が始まった。

バルームからセシルは総合学科希望者の17番目の席になったと知らされた。


「…あの…マツリド先生…。」

「っ!?はっはい?」


放課後、セシルがリュークの元にやって来た。

リュークはセシルの声に驚き慌てながら返事をした。

セシルは今日の出来事を話し引き続き補習のお願いをしに来たのだ。


「…おかしいですね…。私の見立てでは3番目位には入ってるはずなのですが…。リッテル先生に確認しましょう。返事は明日でも良いですか?」

「はい。」


リュークはバルームの元へ行き、どういう事なのか説明を求めた。


「今、私は恋のキューピッドですから。」


バルームはそう言うだけで何も教えてはくれなかった。

結局、原因も掴めないままリュークはセシルの補習の話を引き受けた。

何が原因なのか分からない為、リュークは様々なテストを行ったがほぼ満点の結果だった。

リュークの作ったテストは解けるならとリッテルが作った問題を少し変えたテストを行うと原因が明らかになった。

リッテルの問題文は必要以上に難しかったのだ。

リッテルは去年2年生を担任していて持ち上がって現在の3年生を担任している為、今の生徒達は簡単に解釈して問題を解いているが飛び級したセシルには解釈の仕方がわからなかったのだ。

リュークは解説しながら答えを導き出していった。

セシルとの補習が終わり一人残ったリュークは原因は分かったが同じ飛び級のティーナとルーカスは何故補習をウケなくて良いのか不思議に思い、まだ残っていたバルームに聞きに言った。


「ティーナ嬢は卒業したら妃教育が待っているし、そもそも誰かと妃の椅子を取り合うわけでもないだろう?」

「ではルーカス君は?」

「彼の進路希望は医療科。彼は彼なりに努力しているようでな、飛び級したくせに医療科希望生徒で成績1位だ。」


バルームはリュークにクラスの半分以上が貴族の子達が将来を見据えて総合学科へ進路希望するのは当たり前の事で、セシルは1年のハンディがある。

だからセシルの努力が足りないわけではないと言った。


「そんな事は私が誰よりも知っています。」


リュークは次のテストではセシルが良い点数を取れるようにひたすらリッテル流テストを作った。


「マツリド先生、良くやりますねー。うちのクラスにも補習が必要な生徒が居ますが、なかなか補習が進まなくて困っちゃうんですよー。」


1年C組の女子教師のシーランがクネクネしながらリュークに言った。


「シーラン先生の教えた方が悪いんじゃないんですか?」

「なっ!?」


シーランは2年前に教師になったが事ある毎にリュークに近づいてくる。

リュークはバーバラを思い出すので関わりたくなくて冷めた態度を取る。


2学期中旬になり恒例のダンスパーティの時期になった。

またお店から手紙が来てオーダーをする。

こんなに正装をオーダーばりしていると財布の中が気になるが爵位を貰ったお陰とリュークの教師としての実力が認めらているので、王宮が補助を出しかなり高額な給与を学校から貰っているし本人は本にしか興味がないので貯蓄が減るどころか増えていっているのだ。

王宮のパーティの時とは違う落ち着いた正装のデザインだったが装飾が凝っていた。

従業員曰く、装飾品はある程度の学校行事なら使い回しができるように細工をしておくと言っていたのでよく分からないリュークは全てを任せた。


ダンスパーティ前日、リュークは全ての準備を終わらせ自宅の椅子に座った。

机の引き出しを開けネクタイピンが入った小箱取り出した。


「…受け取ってくれるだろうか…。」


バルームに言われ自分の恋心に気付いたリューク。

セシルはリュークを好きだと言ってくれたが今もそうだとは限らないと思っていた。

何故なら、どうしてもセシルとルーカスが一緒に居る所を見ると自分よりルーカスの方が似合っているし、ルーカスと一緒に居るセシルはとても楽しそうだったからだ。


ダンスパーティ当日、リュークはネクタイピンを胸内ポケットに入れ開催宣言だけ参加して図書室に寄り本を借り奥庭へ向かった。

今頃、セシルは友人達と高等部最後のダンスパーティに参加しているだろう。

すぐ奥庭に行ったのは毎年恒例でもあるが、セシルが自分以外の男と踊っている姿を見たくなかったのだ。

人を好きになると言うのはこんな醜い感情を持たなくてはいけないのかと思いながら本を開いたが空を見上げた。

中庭と違い人が全く居ない広場は噴水の流れる音だけが響いて居心地が良いのかリュークはいつの間にか眠ってしまった。

暫くすると誰かがやって来てリュークに話し掛けた。


「…先生、いつ私を振ってくれますか?先生を好きなまま卒業しないといけなくなっちゃう…。先生が好きなまま他の誰かと結婚する事になっちゃう。」

「…ん…?」


寝惚けながら目を開けるとそこにはセシルが立っていてリュークに補習のお願いをしに来たのだった。

こんな時にまで勉学の事を気にするセシルにリュークは笑顔で引き受けたが明日は行事休みの為、明後日からにしようと提案しリュークは会場に戻るように言った。

再び誰も居なくなった奥庭でリュークは耳まで赤くなっていた。

セシルの姿とセシルのあの言葉を思い出していた。


『…まだ俺を好きでいてくれているのか…。』





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