13 マツリド
進級式、入学式が無事に終わり、リュークは1年A組の担任でバルームは3年A組の担任だった。
リュークはバルームに飛び級生の4人を良く面倒を見て欲しいと頼むとバルームは快く引き受けてくれた。
バルームに任せれば大丈夫だろうと思っていたが驚く事が起きた。
「それは本当なんですか?」
「そうです。」
セシルが専門学部総合学科へ進学希望している事と今年は同じ学科を希望している生徒が多数いる為、このままの成績では進学出来ないとバルームから言われたのだ。
「セシル嬢のお父上は宰相なのは知っていますね?彼女はその跡継ぎです。マツリド先生、彼女の補習をお願いできますか?私は他の生徒の補習を行っていますが、セシル嬢に合わせての補習は難しいんですよ。」
「分かりました。引き受けます。」
リュークはすぐに返事をし、躓いているのは2年生の授業を受けていないからだと推測し、2年生の教科書を全て揃え補習室でセシルを待った。
すると暫くしてセシルがやって来た。
バルームの授業日程の確認をしていたリュークはセシルに自習時間は何をしているのかを聞き、無駄な所を省く事にした。
1時間毎に休憩を挟みココアをセシルに渡す。
1年生の時の授業外授業に戻ったようで内心嬉しかったリューク。
セシルに合計3時間の補習を行い労いを込めて飴を渡した。
3年の1学期が終わり学期休みに入る頃、セシルがリュークに学期休み中はどうするのか聞かれたので答えた。
そしてリュークがセシルに同じ質問をすると
「父から帰宅する様催促が来るまでは、寮に残り先生の教えてくださった所を復習しようかと思います。」
と答えたので、どうせ寮に残っているのならと補習を提案するとセシルは嬉しそうに頷いた。
セシルの希望で補習時間は10時から5時までとなったがリュークは1時間毎に休憩を挟み、土日は休みという条件をつけた。
学期休みが始まり殆どの生徒は自宅へ帰っていき、学校には少人数しか残っていなかった。
リュークは約束通りセシルの補習を続けた。
「お疲れ様でした。明日から2学期ですね。この調子なら2学期からは補習を受けなくても大丈夫でしょう。」
2学期が始まる前日に総復習テストを行ったリュークはセシルにそう言って綺麗に包装された包みをセシルに渡した。
戸惑うセシルにリュークは微笑んだ。
「学期休み一生懸命頑張ったご褒美です。…誰にも言わないように。」
「…こんな事されたら諦められなくなるじゃないですか。」
「え?」
「告白した後で返事も貰ってないのに優しくされたら期待してしまうと言っているんです!…補習ありがとうございました。さようなら!」
セシルは荷物をさっさと片付け補習室から足早に去って行った。
リュークは唖然としてセシルを追いかける事が出来なかった。
「まーた生徒を泣かせて…。マツリド先生は悪い男じゃのー。」
「…リッテル先生。」
リュークは半泣きになりがらどうすれば良いのか分からないと言った。
「リューク。真面目な話いい加減、セシル嬢に惹かれていると認めたらどうだ。」
「惹かれる?俺は人を好きになったことが無いから分からないよ…」
「はぁ…。セシル嬢と一緒に居て楽しいとかもっと一緒に居たいと思った事は?」
リュークは頷いた。
「セシル嬢が男子生徒と一緒に居る所を見るとモヤモヤしたりするか?」
リュークはまた頷いた。
「リューク、それは嫉妬心だ。セシル嬢の事が好きだから嫉妬心が生まれるんだ。」
リュークはバルームに諭され、セシルを見て心臓が苦しくなる事があると言った。
「だから、前から言っているだろうが。恋の病だと。」
リュークはセシルを知らないうちに意識していたのかとバルームに話した事で気が付いた。
「セシル嬢が好きだから優しくするんだろ?」
リュークは今までの自分の行いを振り返り顔を真っ赤にした。
「…珍しいものを見たな。お前が赤面するなんて。」
「…でも彼女は生徒で私は教師だし、友人の大切な妹なんです。」
「それが何だ。何回もお前に言っている。生徒との恋愛は禁止されていない。友人なら分かってもらえるまで話し合えばいいだろうが。バカタレ。」




