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10 マツリド

ダンスパーティが無事に終わり、いつもの日常に戻ったはずだった。

セシルはいつもの様に授業外授業を受けに来た。

本当にいつもの日常に戻ったはずなのにダンスパーティ以降セシルを見ると心臓が痛くなるのを感じた。

校医に見てもらったが身体は健康そのものだと言われたし、バルームはそれは恋の病だとニヤニヤされながら言われた。

その度にリュークは違うと言った。


「マツリド先生は来年2年生を担任するのですか?」

「いいえ、私は1年A組専属だから来年も1年生を担当します。」

「そうですか…。」


何故かがっかりしたセシルを見てリュークは微笑んだ。


「2年生を担当する先生はベテランの先生達だから安心しなさい。」

「…はい…。」


授業外授業が終わりリュークとセシルは補習室を後にした。

教員室に荷物を取りに戻り独身寮へ帰る。

そして学校から借りてきた本を読み、一冊読み終わり夕食の準備を始める。

リュークは先程のセシルとの会話を思い出した。

あと1学期であの優秀な生徒達が自分の手から離れ進級していくのを寂しく思った。

生徒達が進級するが寂しいと思った事がないリュークは笑いながら作り終えた夕食を食べた。


2学期の学期末テストが終わり生徒達は解放感で溢れていた。

リュークは教員室に戻り採点を始める。

相変わらず前列に座っている生徒達は優秀だった。

無事にテストの返却が終わり、学期休みが始まった。

とはいえリュークは今年一杯連絡係の為、学校に居なくては行けないので図書室から借りた大量の本を教員室に持ち込み誰も居なくなった教員室で本を読むつもりだったのだが、セシルがやって来たのだ。


「マツリド先生、お時間が有るなら勉強を見て頂きたいのですが…。」

「構わないですが…自宅へ帰らなくても良いんですか?確か20日に行われるパーティが有りますよね?」


20日に行われる王宮の招待状が届いていたリュークは、招待状は侯爵以上は絶対参加という内容からしてセシルにも送られているはずだと思いセシルにそう聞いた。


「えぇ。先生がご存知と言う事は先生にも招待状が来ているんですか?」

「そうですね。」

「では参加されるんですか?」

「絶対参加するようにと記載されていたので参加しますよ。」


セシルは少し考えて今日授業外授業を受けて帰ると言うので授業外授業を行ったリュークだった。

次の日からセシルが来なかったので本を読み始めるリューク。


「相変わらず本の虫だな。」

「…何のようですか…。」


ある日、バルームがお弁当を片手に持ちリュークの元へやって来た。


「お前、明後日王宮に行くんだろ?準備は出来てるのか。」

「…準備も何も連絡係なので学校から出られませんよ。」

「そんな事だろうと思った。今から当日まで連絡係変わってやるから街に降りて準備してきなさい。」

「別に準備する物なんか有りませんし、当日変わってもらうだけで大丈夫です。」

「お前、去年の正装で行くつもりじゃないだろうな?」

「?そうですが。」


バルームはため息をつきながら用意する物とお店のメモを書きリュークに突き付けた。


「これを持って店に行ってこい。」

「え…いや…でも…。」

「つべこべ言わず行けっ!!」

「っ!!はいっ!」


リュークはバルームに怒られ渋々街に行き、お金を下ろしてからバルームが指定したお店に向った。


「いらっしゃいませ。」


そこら紳士淑女服を取り扱いしているお店で紳士そうなおじさんが出迎えてくれた。


「あー…正装が欲しいんですが…。」

「畏まりました。ではこちらへどうぞ。」


通された場所は個室になっていてリュークは手渡された正装を着た。


「お色は、お客様の髪の色と合わせまして深緑にしてみましたがいかがですか?」

「明後日、王宮に招集されているんですがこれでおかしくないですかね?」


リュークの言葉に従業員は目を見開き一礼をして、すぐに違う正装服を持ってきた。


「それならば、こちらが宜しいかと思います。」

「え…それは派手では…」

「何を仰っているんですか!国王様の御前に出るのに地味な正装服ではいけません!ちょっと着替えて待っていてもらえますか!?」


暫くすると何処から持って来たのか装飾品を持ってリュークが着替え終わったのを確認し装飾品を当てる従業員。


「装飾品、いりますか?この衣装だけで良いのですが…。」

「何を寝ぼけているんですか!?貴方様が我が息子だったらぶん殴ってますよ!」


装飾品を当て終えた従業員はズボンの裾直しを始める。


「…明後日、王宮に招かれていると言っていましたね?家紋を刺繍しなくてはいけませんね。写しはお持ちですか?」

「家紋の写しですか?」

「あぁ…その様子ではお持ちではないんですね。お名前と爵位を教えて下さい。」

「…リューク・マツリド…侯爵…。」


従業員はリュークの名前を聞き分厚い本を開いた。


「…なるほど。分かりました。明日までにお直ししておきますから、明日取りに来てください。…それから今回は既製品になってしまいますが本来なら爵位をお持ちの方は1から作るんですよ!」


何故か怒られたリュークは自分は教師であり、パーティや衣服に興味がない事を伝えると従業員はため息をついた。


「なら今後、そういったパーティがある1ヶ月前にご連絡しますのでご来店下さい。うちは衣服と装飾品を取り扱いしておりますので。」


どの正装服店にも事前にいつパーティが開かれるのか連絡が来るらしく従業員が提案をするとリュークは素直にお願いをした。

お金を払い、次は散髪店に向かい頭をスッキリさせた。

メモに書かれた事を一通り行うと夕暮れになっていたので急いで学校に戻った。


「遅くなりました。」

「ん?あぁもう帰って来たのか。」

「明日、服を取りに行かなくては行けないので少しだけ連絡係をお願いしてもいいですか?」

「…当日まで変わると言っているだろう。」

「ありがとうございます。」


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