6 マツリド
「お待たせし致しました。ご注文頂きましたケーキセットになります。」
いつも通りアルバイトをしているとバーバラがやって来たのだ。
バーバラは毎日リュークにくっついて一緒に帰ろうとか放課後や休日に一緒に出掛けましょうと誘ってきたが面倒臭いリュークはアルバイトを理由にずっと断っていたが、業を煮やしたバーバラがお店に訪れたのだ。
「本当にここで働いていたのね。」
「…誰に聞いたんですか?」
「色々な子達よ。」
「そうですか。では、どうぞごゆっくりしていってください。」
マニュアル通りに接客するリューク。
バーバラは次の日もまたその次の日も毎日やって来た。
お客様として来店しているとはいえリュークはうんざりしていた。
2学期になりリュークの生活サイクルが安定し、アルバイトが終わったらブランカに未来学の勉強を教えてもらっていた。
未来学を知れば知るほど興味深くリュークの興味を引いた。
バーバラの事を抜かせば心身共に穏やかな日々が続いていた。
そんなある日、母親の様に慕っていたブランカが病に倒れてしまった。
校医や町医者に見てもらったが今の医学では原因が分からず治療法もなかった。
リュークはブランカが病に倒れてから医学書を読みブランカの病の特定をしようとしたが特定する事が出来なかった。
「リューク、あなたが教壇に立つ日を見られなくて残念…。でもあなたならきっと良い先生になれるわ…。バルーム…リュークをお願いね…。」
日に日に弱っていくブランカはそう言ってバルームが力強く頷いたのを見ると目を閉じ微笑んだ。
ブランカはそのまま意識が戻らず2日後、永遠の眠りについた。
リッテル夫妻に子供が居なかった為、葬式は現在の教え子達とバルーム、そして一緒に住んでいたリュークで行われた。
バルームは暫く落ち込んでいたがリュークが居た事で思ったよりも早く精神を回復させた。
「いつまでも気落ちしてたらブランカが天国に行けないからなっ!リュークもいつまでも悲しむな。」
「うん…。」
心の整理が終わり遺品整理をしていた時にリュークはブランカが書いていた本達を譲って欲しいとバルームにお願いし、バルームは快く譲った。
喪が開け学校に行くとバーバラがいつも通りリュークにくっついて来た。
上っ面だけの言葉でお悔やみを言うバーバラに腹を立て腕を思いっ切り振り解いた。
「…いい加減にしてもらえませんか?」
「え?」
「目障りだから引っ付いてきたり話し掛けたりアルバイト先まで押しかけて来ないでください。」
「なっ!?」
リュークの言葉を聞いてクラスメイト達がリュークとバーバラは付き合っているんじゃないのかとかバーバラの彼氏じゃなかったのかとヒソヒソする声が聞こえたのでリュークは皆に聞こえる声で言った。
「どんな噂が流れているかは知りませんが、私はバーバラ嬢とお付き合いはしていません。」
言うだけ言って居心地が悪くなり専門学部用の図書室に逃げ込んだ。
その日からリュークは笑顔の仮面を外し一切表情を出すの止めた。
そのせいでリュークとリュークと付き合っていると嘘をついていたバーバラはクラスで浮いた存在となった。
『僕が馬鹿だった。あほな奴らに愛想なんて振り巻かなくても良かったのに。僕が信じられるのはリッテル夫妻と両親だけだ。』
そう思ったリュークだったが、すぐに一人信用出来る存在を追加した。
フォースから久し振りの手紙が届いたのだ。
遠征に居るフォースはブランカの死をお悔やみ申し上げる言葉から始まり、リュークを心配する内容で辛い時に飛んでいくことが出来ず申し訳ないと謝罪がしてあった。
リュークは謝る必要はない、職務を全うする友人を誇りに思うと書きいつ届くか分からないがフォースに手紙を送った。
クラスメイトに遠巻きにされながら学年が上がり専門学部総合学科2年生となった。
「もうすぐ進路相談の時期だな。両親に手紙は書いたのか。」
「書いたけど、返事には三者面談行かないって書いてあった。」
リュークの両親はレストランを営んでいる為、滅多な事では休めないので謝罪の手紙と共にバルームに変わりに行って欲しいとお願いする手紙を送ってきたのだ。
「ったく…しょうがねぇ。」
面倒臭さがりながら何処か嬉しそうなバルームだった。
「で、お前は何になりたいんだ。」
ピンクのエプロンを着ながら夕食を作るバルームにリュークは黙った。
「…実は悩んでるんだ。教師になりたかったけど…医者になろうかと思ってる。」
医者になるには専門学部医療科に入学しなくてはいけない。
つまりリュークは総合学科を卒業し医療科に入り直そうと考えていた。
「お金ならアルバイトで貯めた貯蓄が有るから安心して欲しいんだけど。」
「金のことなんざどうでも良いんだ。…お前本当に医者になりたいのか。…ブランカの事を引きづるな。引きづるつもりなら教師になれ。」
「え…?」
ブランカはリュークが教師になりたいと言った時からリュークと同じ場所で働くのをとても楽しみにしていて、それは自分も同じだとバルームは言った。
「だが、お前が医者になりたいなら応援する。」
バルームは、リュークが学び働くのだから好きな様にしろと言った。
リュークは散々悩んで教師になる道を選んだ。
進路相談では教師ではなく王宮に就職してはどうかと勧められたがリュークは教師になると言い切った。
それからのリュークは教員採用試験に合格しバルームと同じ職場で働く事になった。




