5 マツリド
専門学部総合学科に進学する事が決まったリュークは、まだ14歳になっていない為、一人暮らしは許されておらず相変わらずリッテル夫妻の家で世話になっていた。
「14歳以下でも就職してお金を稼ぐ事を許されているのに14歳未満は一人暮らしはしちゃいけないなんて納得いかない。」
高等部を卒業したのに、まだリッテル夫妻の世話にならなければいけないと知ったリュークはバルームに文句を言ったが、法律などそんなものだと言われた。
とはいえリッテル夫妻からアルバイトをしても良いと許可が出たのでアルバイト先を速攻で見つけ、両親に仕送りは要らない事と感謝の手紙を送った。
「しっかし本当に総合学科へ進学するとはなぁ。」
入学式と卒業式にしか着ない制服を身に纏う姿を見てバルームは感心した。
実は教員になるには、どの科でもいいから専門学部へ進学すれば良かったのだ。
リュークの頭脳の高さを知っていた夫妻は、わざと狭き門の総合学科へ進学しないと教員にはなれないと言ったのだった。
「そう言えば、今日が入学式だとお父様とお母様に手紙は書いたの?」
ブランカが聞くとリュークは首を縦に振った。
「でもお店が忙しいから来れないそうです。」
「そう…。なら私達が行くわ!ねっバルーム!」
バルームは頷き、リュークは照れながら待っていると言って一足先に校舎へ向かった。
高等部と専門学部は同じ敷地内にある為、通いなれた道を通る。
高等部の生徒達は寮が有りそこで卒業まで暮らす事になるが専門学部の生徒達は敷地内の寮に入っても良いし自宅から通っても良い事になっている。
平民の生徒は毎月決まった金額で食住が保証される寮に入りアルバイトをしながら生活をしているが貴族の生徒は大体自宅から通っている。
専門学部で学べる期間は2年間でリュークは、これからどんな事を学べるのかと楽しみにしていた。
入学式が終わり、生徒達が各々の学科の階へ向かう。
リュークも自分の学科がある教室へ向かった。
先生がやって来て簡単な挨拶をし、生徒達も自己紹介を始めた。
皆、顔見知りで自己紹介の意味がないと思いながらリュークも挨拶をした。
高等部3年生のギスギスした雰囲気はなく、和気あいあいとした雰囲気だった。
「リューク、あなたも総合学科だったのね!」
バーバラが嬉しそうにリュークに近づいて来た。
リュークは面倒臭いと思いながら微笑みながらバーバラの相手をした。
どうやらバーバラには人望がある様で話している内に人が集まって来た。
「リューク君はいつもフォース君と一緒に居たから話し掛けにくかったんだけど、話しやすくて安心したよ!これからもよろしく!」
集まるクラスメイトが次々に同じ事を言ってきたので世渡り上手になるにはいつでも笑っていれば良いのかと学びリュークは笑顔の仮面をいつでもつけるようにした。
本格的に授業が始まりリュークの知識の幅が増え、アルバイトも真面目に勤めた。
リュークのアルバイト先は人気カフェレストランの給仕係だった。
笑顔の仮面を付けて接客をしていたら、いつの間にかイケメン給仕係が居るレストランと噂され元々人気だったお店が長蛇の列になる程の人気ぶりになった。
すると店長がリュークの時給をかなり上げてくれ、リュークは少しだけだが両親に仕送りが出来るようになった。
リッテル夫妻にも少しだけだがお金を渡そうとしたが、バルームにかなり怒られた。
「うちは共働きだし、お金に困っていないから自分で好きな様に使いなさい。」
ブランカに諭され、リュークは夫妻に何か有った時の為に少しずつ貯蓄をする事にした。




