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13 セシル

ルーカスにエスコートされダンスを踊るセシル。


「ルーカスってダンス踊るの上手いのね。」

「…妹にせがまれて相手役やらされてたからな。」

「妹さんには敵わないのね。」

「まぁな。」


クスクス笑うセシル。

一曲が終わりお辞儀をして戻ろうとするとまた後輩達がルーカスを連れ去って行った。

元の席に戻ったがナタリーもティーナも戻って居なかった。


「あー…セシルさん、一曲お相手してもらえますか?」


そこにはマツリドが手を差し伸べ立っていた。


「…あっ…はい…。」


マツリドの手を取るセシル。

嬉しくて頭の中はパニックになっていたが先生と踊ると目立たないか心配した。

しかし、他の先生達も生徒と踊っていたので変に注目される事もなかった。

安心したセシルだったが、いつもより近い距離にマツリドが居ることに気が付き頬を染める。

いつも格好いいが今日は倍以上に格好良く見えるしいい匂いがする。


『駄目っ好き過ぎるっ!はっ早く終わって!心臓が持たない!』


「…今日のドレスとても似合っています…。」

「…えっ?」


目線を上げると同じく頬を染めたマツリドがいた。

何とか一曲踊り終わり手を離しお辞儀をしたがマツリドがすぐにセシルの手を取った。


「マ…マツリド先生…?」

「っあぁ…少し良いだろうか?」

「はい…。」


本当は一刻も早くテーブルに戻って精神を落ち着けたかったがセシルはマツリドにエスコートされ庭園の一番奥のベンチに座った。

この場所はライトアップされた庭園がよく見えるし人気がない。

飲み物を持ってセシルの元へ戻るマツリド。


「ありがとうございます。」

「いや…構わない。」


そう言ってセシルの隣に座るマツリド。


「…呼び止めてすまない。」

「いえ…どうしても君に話したい事があって…。」

「はい。」

「あー…。」


そう言ってマツリドはセシルに跪きネクタイピンを差し出した。


「マツリド…先生…?その…意味は分かっているんですか?」

「…当然です。私もここの学生だったし…今は教員ですし…。」


ネクタイピンを渡すのは告白しているのと同じ意味。


「…受け取ってもらえないだろうか…。こ…言葉にするのは今の私には難しく…これが精一杯なんだ…。」


セシルはマツリドが少し震えているのに気が付いた。

セシルは自分のドレスの胸に着けていたネクタイピンを取り、マツリドからネクタイピンを受け取り自分のネクタイピンをマツリドに渡した。


「っ!?…セシルさん…あの…交換の意味知ってますか…?」

「…勿論です。」


ネクタイピンを交換するのは将来を誓い合う恋人同士のみ。


「…前からマツリド先生が好きだと言っているのお忘れですか?」

「私で…私で…良いんですか?」

「マツリド先生が良いんです。」


マツリドは真っ赤にしながらセシルを見てセシルは照れながらマツリドに微笑んだ。


「あー…えーっと…では、これからよろしくお願いします。」

「こちらこそよろしくお願いします。」


暫くベンチに座りマツリドの顔が落ち着くのを待ってマツリドにエスコートされ会場に戻る。


「では羽目を外さない様、残り時間楽しんで下さい。」

「はい。」


テーブルには既にナタリーが座っていた。


「ティーナは?」

「外でしょ。また私は一人で留守番よ!…で?誰と何処で何をしてたの?」

「あー…うん。」


セシルはマツリドから貰ったネクタイピンをナタリーに見せた。


「っっ!!!セシルッ!それっ…!!」

「しーっ!」


セシルはナタリーの口に手を当てて黙らせた。

ナタリーが落ち着いたのを見計らって手を離した。


「で?」

「…交換したの…。」


先程の出来事を思い出しマツリドの名前が彫ってあるネクタイピンを見返し顔を染めるセシル。


「あっはー!私はてっきりルーカスと一緒に居るのかとばっかり思ってたわよ。」

「だからルーカスは友達だって…。」

「ルーカスが知ったら悲しむわね。」


最後の一曲が流れる前にマツリドがやって来てセシルを最後のダンスに誘った。


「ナタリーさん、セシルさんをお借りしますね。」


そう言って照れながら微笑んだマツリドにナタリーは唖然としながら何度も首を縦に振った。


『…ありゃ惚れるわ。思えばマツリド先生もイケメンだったわ。』


最後の一曲が終わりパーティが終わった。

この日、セシルの想いは通じ晴れてマツリドと恋人同士になれたのだった。

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