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12 セシル

学校行事のダンスパーティ当日。

会場は見事に飾り付けられ会場から見れる庭園も装飾が細かく施されていた。


「今日、ゼムス様来るの?」

「うん。夕方頃になっちゃうって言ってたけど…。」

「あら、そうなの!?夜は庭園がライトアップされて綺麗なのよ。」


ダンスパーティは朝から夜まで行われるが、途中入退場が認められている為、大体の生徒達は朝開催宣言が行われて少し踊ってから1番盛り上がる夜に会場に戻って踊っている。

学生達がほぼ居なくなるお昼頃の会場は生徒の保護者達の社交場となるのだ。

ダンスパーティの運営、準備は2年生が中心となっており、それに携わったナタリーが興奮気味に語った。


「ネクタイピンを交換したり、告白をしたりされたり、カップルがいちゃいちゃするのにピッタリな所にする様に女子生徒の意見を取り入れたのよ!だから、ティーナ思う存分ゼムス様といちゃいちゃしなさい。あっ、ネクタイピンちゃんと肌見放さず付けておきなさいよ!セシルもっ!分かった!?何が起こるか分からないんだから!」

「わ、分かったわ…。」

「…ゼムスといちゃいちゃ…。」


ナタリーの勢いに押され二人は何度も頷いた。

3人は朝の開催宣言に参加した後、何人かに誘われたダンスを踊り会場を後にした。

いつものガゼボに座ってリラックスしているとフラフラになったルーカスが現れた。


「ちょっと…匿って…。」

「ルーカスどうしたの?」


何と開催宣言が行われてからすぐに後輩達からダンスの誘いを受け全てに応じたルーカス。

本来の社交場なら女性からダンスの申込みをするのは御法度だが、学校行事のダンスパーティなのでそんなルールはない。

意外と後輩に慕われているルーカスは始まってから3時間しか経っていないのにボロボロになってしまったのだ。


「あー本物の社交界ダンスパーティじゃないから令嬢達もアンタとお近づきになりたくて誘ったのね。」

「へー。ルーカスってモテるんだ!意外!」

「ティーナ嬢、酷くない?俺、これでも優秀な頭脳と将来安泰な未来を持つ男だぜ?おまけにこの顔。令嬢達はほっとかないだろ?」


セシルはそう言い切るルーカスをまじまじと見た。

確かに、飛び級する程の頭脳は有るし両親は爵位さえ持たないが医療関係者で本人も医療関係に進学するつもりでいる。

顔はまあ、ゼムスに比べたらかなり見劣るがイケメンの分類に入るだろう。

その上、面倒見の良い底抜けに明るい性格だ。


「…確かにルーカスならモテるかもね。ゼムス様が間近にいたから気が付かなかったけどルーカスもイケメンよね。」

「!?」


自分で言っておきながらセシルに言われ顔を赤くするルーカス。

その様子をニヤニヤしながら見る二人。


「あ、私ちょっと運営の用事思い出したわ。」

「私、疲れちゃったから寮に戻るね!」


気を利かせたナタリーに肘で合図されティーナもその場を後にした。


「あっあのさ、良かったら後で踊らないか?」

「?良いけど…身体大丈夫なの?」

「平気っ!体力回復したら誘いに行くから。約束なっ!」


ルーカスは嬉しそうにセシルと約束しセシルと話を続ける。

お昼になり流れでルーカスと一緒にランチを取るセシル。


「そう言えば、お前進学どうなんだよ。」

「分からないわ。でもやれる所まで頑張るつもり。ダンスパーティが終わったらマツリド先生にまた補習をお願いするつもり。」

「そっか。マツリド先生に教わるなら何とかなるだろ。」


ルーカスはセシルなら大丈夫、今日は楽しもうぜと話しているとルーカスを探していた後輩達がダンスに誘いに来てルーカスは後輩達に連れ去られた。


「…私なら大丈夫か…マツリド先生は絶対に言わない言葉ね…。」


セシルはため息をつきながらガゼボから見える景色をぼうっと見た。

そう言えば今日一度もマツリドに会っていない事に気が付いたセシルはマツリドを探しに行く事にした。

道中、カップルがいちゃついてたり友達同士や先生達が喋っている所に遭遇したがマツリドは居なかった。


「おや、セシルさん。」


リッテルがいつも通りの笑顔でセシルに話し掛ける。


「リッテル先生、こんにちは。」

「はい、こんにちは。一人でどうしたのかな?」

「あ…ちょっとマツリド先生を探してて…。」


リッテルに何故マツリドを探しているのか聞かれたら補習のお願いをすると言おうと決めていたが特に何も言われなかった。


「マツリド先生なら人混みが苦手ですから、奥庭の小さい噴水広場に居ましたよ。」

「ありがとうございます。」


セシルは奥庭を目指し歩いた。

中庭と違い人が全く居ない広場は噴水の流れる音だけが響いて居た。

そしてベンチに腰掛け本を読むマツリドを見付けた。

セシルはマツリドに近付いたが、どうやら眠っているようでセシルに気付かなかった。


「…先生、いつ私を振ってくれますか?先生を好きなまま卒業しないといけなくなっちゃう…。先生が好きなまま他の誰かと結婚する事になっちゃう。」

「…ん…?」


マツリドは目を開け目の前に居るセシルを見た。


「セシルさん…居たなら起こしてくだされば良かったのに…。」

「今、来た所だったので…起こしてしまい、すみません。」

「いや、大丈夫です。しかしこんな所まで何しに来たんですか?」

「先生を探してたんです。…明日からまた補習のお願いをしに来ました。」

「あぁ…。補習は明後日からにしましょう。今日は学生にとって1番楽しい日ですから補習の事は忘れて楽しみなさい。さ、もう行きなさい。」

「…分かりました。」


あまり会話もせず奥庭を後にするセシルは歩き疲れた為、自分の部屋に戻り夜まで休む事にした。

夕方になり、庭園はライトアップされ朝とは違う雰囲気になっていた。

小腹の空いたセシルは軽食を食べに会場に行った。

会場には生徒の保護者達は既に解散しているのか全く居らずカップルが踊っていたり座ってお喋りをしていた。


「そこのお嬢様、私と一曲踊って頂けませんか?」


動かしている手を止め顔を上げるとルーカスが手を差し伸べていた。


「ルーカス。今食べてるから後でね。」

「ったく。色男が誘ってるのにその態度はどーよ?」

「だってお腹減ってるし。」


ルーカスは笑いながらセシルの隣に座った。


「…女子からの視線が痛いんだけど。」

「そりゃしょうがねぇな。隣にいい男が座ってるんだから。」

「自分で言っちゃうのね。」

「事実だし。」


そうやって二人が楽しく話しているとティーナとナタリーが二人に合流した。


「はいはーい!失礼しまーす!」


ティーナが山盛りのケーキを持って座り、ナタリーはティーナの分の飲み物を持って座った。


「もう一曲踊ったの?」

「まだ。食い物に負けてるとこ。」

「あー…仕方ないわね。」


ナタリーとルーカスがそんなやり取りをしているとゼムスがやって来た。


「ティーナ!探したよ!寮に居るって言ってたのに勝手に移動するなんて…。」

「あぁ、ごめんね。お腹減っちゃったから…。」

「…もう仕方ないな…。」


当然の様にティーナの隣に座るゼムス。


「…おい…ゼムス国王ってこんなキラキライケメンだったか?」

「元々イケメンだったけど、ティーナにプロポーズしてからキラキライケメン度が増してるのよ。」


コソコソ話すセシルとルーカス。

話が盛り上がり、あっと言う間に夜になった。

散り散りになっていた生徒達が会場に戻って来始めた。


「ティーナ、お腹いっぱいになった?踊りに行こう。」

「ん。」


ティーナがそう言うとティーナに跪いた。


「ティーナ様、是非私と一曲踊って頂けますか?」

「はい。喜んで。」


正式にダンスのお誘いをしたゼムスはティーナと共に人混みに消えて行った。


「…あんな顔で誘われたら俺、ゼムス国王の事絶対好きになるわ…。」


そう言ってルーカスはセシルに手を差し伸べダンスのお誘いをしてセシルはその手を取った。


「全く。また私一人じゃない。…私も恋人が欲しいなぁ…。」

「ナタリー嬢、お暇でしたら是非一曲お相手お願いします。」


ナタリーが一人になった所に次々と男子生徒が群がって来た。

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