11 セシル
そして週が明けマツリドは神妙な顔をしながらリッテルの作成した問題集を渡した。
「先生、どうかしたんですか?」
「あぁ…いや…何でもない。」
セシルは前回の補習を思い出しながら問題を解く。
「…はい。では今日はここまでにしましょう。」
「?先生、採点は…?」
「明日、採点した物をお渡しします。…ところで少し聞きたいのですが良いですか?」
「はい。」
「恒例行事のダンスパーティまで1ヶ月を切りましたが準備は出来ていますか?」
「…あ…。」
セシルは補習に追われダンスパーティの事などすっかり忘れていた。
本当なら学期休み中に用意するべき物だが帰省せず、マツリドと補習をしていた為用意をしていなかったのだ。
「…よっぽど追い詰められていたんですね…。では補習は明日一回行って、それ以降はダンスパーティを迎えるまでお休みにしましょう。精神を休ませるのも必要ですし。」
マツリドはそう言って補習を終わらせた。
セシルは急いで寮に戻りメイドに話し掛けた。
「ダンスパーティのドレスを用意するのを忘れていました。今度の休みに見に行けば間に合うかしら?」
「…お嬢様、まさか既製品を着て出席されるのですか?」
「そうよ。だって1から仕立ててたら間に合わないし。」
「駄目ですっ!イグニシ公爵令嬢が既製品を着るだなんて!イグニシ公爵の顔に泥を塗るおつもりですか?」
「じゃあどうしろって言うの?」
セシルは少し苛つきながらメイドに言うとメイドはいそいそとハンガーに掛けられたドレスを持って来た。
乳母がダンスパーティの準備があるのに帰ってこないセシルを心配し以前用意されていてセシルが選ばなかった方の薄水色のドレスを送ってくれたのだ。
ちなみに装飾品は兄二人が選びに選んだ物らしい。
「お嬢様、乳母様と特にお兄様方にお手紙を書かれた方がよろしいかと。」
「…そうするわ。…さっきは当たってしまって悪かったわ…。」
セシルが謝るとメイドは嬉しそうに微笑んだ。
「いいえ。お気になさらないでください。昔のお嬢様より今の様に感情を表に出されるお嬢様の方が何倍も素敵です。」
「駄目よ。そんなの私らしくないわ。」
メイドには聞こえなかったのかメイドは夕食の準備を始めた。
夕食を食べ終え寝る前に乳母と兄二人にお礼の手紙を書いた。
そしてマツリドの言っていた通り、暫く心も身体も休めようと決めた。
次の日、補習を受けに言ったがマツリドに採点が終ったプリントだけを返され今日は補習は終わりだと言われた。
セシルは帰り際、ガゼボによるとティーナ、ナタリーとルーカスが居た。
「セシル!もう!久し振り過ぎじゃない!」
「セシル、大丈夫?」
ナタリーがセシルに抱きつき、ティーナが心配そうに聞いてきた。
「ルーカスがセシルは最近無理してるように見えるって心配だってずっと言ってて…。」
セシルはルーカスを見ると少し照れくさそうに笑った。
「じゃっお邪魔虫は退散するから久し振りに3人でお茶でもしていけよなっ!」
ルーカスはガゼボを後にした。
ルーカスを見送った3人は改めて椅子に座り一息ついた。
二人はもとよりルーカスまで心配してくれているとは思わなかったセシル。
ありがたいと思う反面、ルーカスが無理してるように思えるほど態度にだしていたのだろうかと少し不安になった。
「私は全然大丈夫よ。心配してくれてありがとう。」
セシルがそう言うとティーナとナタリーは顔を見合わせた。
「ルーカスが言うまでセシルが無理してるの全然気が付かなったの…。ごめんね。」
「それで何とかセシルと少しでも話が出来るように時間が許すまで待っていたんだけど…なかなか会えなくて…。」
「本当に大丈夫よ。それに暫く補習休みになったから思いっ切り休もうと思ってるの。」
二人はそれが良いと何度も頷いた。
「それにしてもルーカスはセシルの事、よく見てるよね。長年一緒にいる私達でも分からなかったのに。」
「そうね…。もしかしてセシルの事好きだったりするんじゃない?」
「ルーカスは友達よ。前にも言ったでしょ。」
セシルはまたその話かとうんざりしながら紅茶を飲んだ。




