41 ゼムスの過去
それから何日も経ったがロレッタ公爵が首を縦に振ることはなかった。
そんなある日。
ゼムスが噴水近くのベンチに座っていると宰相がやって来て隣に座った。
「…何故ティーナ嬢の婚約に賛成を?」
ゼムスは宰相に聞くと宰相は微笑んだ。
「この国の将来を見据えてですよ。…まあこれは建前ですがね。」
続けて、ゼムスが幼少の頃からティーナを慕っていて今もなお想い続けている事、そしてティーナ嬢の優しさを知っているからだと言った。
「我が娘は頭でっかちの上に感情が表に出ない子でね…ティーナ嬢と知り合うまで友人と呼べる者が居なかったのだ。そんな娘と友人になってくれたご令嬢だ。王妃に相応しいに決まっている。」
「…しかしロレッタ公爵が承諾してくれないのだ。私はティーナ嬢以外娶るつもりはないのに…。」
ため息をつき噴水の音がする。
「今の話は本当か。」
「?」
振り向くと国王とロレッタ公爵がゼムスの後ろに立っていた。
ゼムスと宰相は慌てて立ち上がり一礼をした。
「ティーナ以外を娶るつもりはないと言った今の話は本当かと聞いている。」
「…はい。」
「ティーナを幸せにしてくれるのか?」
ロレッタ公爵はゼムスを真っ直ぐ見つめた。
「幸せに出来るかは分かりません。…でも私はティーナと喧嘩したり笑い合ったりしながら暮らしたいのです。」
「…分かりました。…国王、この縁談何度もお断り致しましたがお引受けしても宜しいでしょうか?」
「勿論だ。勿論だとも!さぁ二人ともそこでゆっくりしている場合ではないぞ!ロレッタ公爵、さっそく手続きをしようではないか!」
国王はそう言って皆で応接間に向かった。
婚姻の手続きを済ませたロレッタ公爵。
「私がこの婚姻を承諾したと知ればティーナはきっと私を罵り無視するだろう…。君に分かるかい?可愛い可愛い娘に罵られ無視される辛さが…。それでも私はサインしたんだ。ティーナと二人幸せにならなかったら、いつでもティーナを連れ戻しに来るかなっ!分かったか!」
「っはいっ!!」
ゼムスが返事をするとロレッタ公爵は肩を落としながら応接間を後にした。
ロレッタ公爵には申し訳ない気持ちだったが諦めきれなかったティーナが手に入ると思うと胸が一杯になった。
ゼムスはさっそくティーナへ贈り物をしようと考え、ゼムスは近日行われるパーティのドレスと宝石一式をプレゼントしようと決め、ティーナの母に連絡を取り大体の採寸を聞きサマー・マザーを呼び出した。
「ご招待頂き誠にありがとうございます。今日はどの様な御用でしょうか?」
「ティーナ・ロレッタ公爵令嬢のドレスを作って貰いたいのとそれに合わせた私の正装を作って貰いたい。」
「んまぁぁっ!!分かりましたわ!分かりましたわ!では早速要望をお聞きしますわ!」
ゼムスは近日行われるパーティは派手めな物を控えて欲しい事とティーナの美しさに相応しいドレスをと注文した。
サマーは必要な事を聞き終えドレスが出来次第連絡すると言って王宮を後にした。
その1週間後、素晴らしいドレスを持ってやって来た。
「やはりサマーに頼んで正解だった…。ありがとうございます。ティーナの詳しい採寸はロレッタ公爵夫人がそちらにお邪魔する時に測ってくれ。」
「ゼムス王子の衣装はご覧にならないのですか?」
「私のは何でもいいんだ。ティーナのドレスと合っていれば。」
サマーはゼムスの計画通りに事を進めてくれた。
そしてキーシャ親子の引き渡し、国王の引退宣言を出したパーティでティーナがゼムスの正式な婚約者であると発表した。
その時にゼムスは自分が用意したドレスを着ているティーナを見て嬉しかった。
『あぁ…ティーナは何を着ても似合うな…。』
しかし嬉しい事ばかりでは無かった。
ティーナが全くゼムスの気持ちを分かっていない事だった。
だからゼムスは愛を囁く花言葉の花をティーナの部屋一杯にして自分の気持ちに気付いて貰うことにした。
言葉にして言うのも考えたがティーナがどう反応するか考えたら面白かったので花を贈ることにした。
案の定、ティーナから怒りの手紙が届いた。
この様子だと意味を知らないらしい。
ティーナらしいと思いながら手紙に書いてあったように次は部屋を埋め尽くす程の花ではなく鉢植に植えてある花を用意した。
花贈ると必ずお礼の手紙が来るのが嬉しくて毎日贈りたかったが面倒臭がりのティーナの事を考えて5日毎に花を贈った。
花言葉の意味を知り毎日花を見て自分の事を考えて自分の事を異性として見て会いたくて仕方なくなればいいと黒い感情まで生まれた。
『…こんな感情があると知ったらティーナはどう反応するだろう?まあ…嫌われようが絶対に離してあげないけど。』
国王の仕事の引き継ぎ作業で忙しく学校に通う事がなくなりティーナに会えなくなったがティーナを妻に出来るならと必死で頑張るゼムス。




