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38 ゼムスの過去

その後、年2回薔薇の夜露を買いにロレッタ公爵地に足を運び、その度にティーナと友情を深めた。

11歳になった時、いつもの様にロレッタ公爵地に夜露を買いに行くゼムス。


「ゼムス!」

「ティーナ!?」


白い帽子を被り、白地にクリーム色の布を使ったワンピースを着ているティーナを見てゼムスは驚いた。

前に会ってから、たった半年しか経っていないのにティーナは美しく成長していた。


「…随分見違えたね。ティーナじゃないみたい。」

「そう?この洋服のせいかな?お母様がプレゼントしてくれたの。」


ティーナは色々ゼムスに話したがゼムスは上の空で話を聞いた。

足首だけ海につけ遊ぶ二人。

日に照らされキラキラ光る海にはしゃぐティーナを見てゼムスの心臓は早く動きうるさかった。

そしてティーナを自分のものにしたいと思った。

王宮に戻り、いつもの日常が始まりティーナからの手紙を貰い返事を書く。

いつもなら友情を指し示す花の栞を入れるが、白いツツジの栞を入れた。


「ティーナは気付くかな?」


ゼムスはティーナの反応を想像した。


12歳になり婚約者選びパーティが始まった。

噂が噂を呼び、アルゼル王子に簡潔な挨拶をしてすぐにゼムスの元に集まる令嬢達。

ゼムスはティーナの所に行きたかったが我慢して令嬢達と会話を楽しんでいる振りをした。

ようやくティーナの所に辿りつけたのはパーティが終わる間際だった。

話をしようとしたが、友達と仲良く話をしていたので軽く挨拶をするだけに留めた。


「さて、目に止まった令嬢は居たか?」


パーティが終わり、夕食を食べながら国王が二人に聞いた。


「私はターシャ以外を妻にするつもりはない。」


アルゼルが無表情で食事を進める。


「…しかし…アルゼル…。…いや…いずれ分かる時が来るだろう。ゼムスはどうだ?」

「そうですね…皆素敵な令嬢達でしたから私には勿体ない方達です。」

「うむうむ、そうか。ゆっくり決めなさい。」


本当はゼムスだってアルゼルみたいに我儘を言えるならティーナ以外考えられないと言いたかった。


13歳になり学校へ入学したゼムス。

ティーナと同じクラスになれてとても嬉しかったが、いつも友達と一緒に居るからなかなか話す機会がなかった。

でもどうしてもティーナと話がしたくて友達とガゼボに居た所に割り込んだ。

ティーナの友人達は、ナタリー嬢、セシル嬢といって他の令嬢達と違って媚びたりしないし、いつの間にかお昼を一緒にしても快く受け入れてくれた。

クラス馴染めないわけではないが、貴族の子供達はゼムスに媚を売る事しかしないからいつも平民の子達と一緒に居たゼムスにとって嬉しかった。



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