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3学期も残す所僅かとなったある日、ティーナの元に自宅から一通の手紙を受け取った。
その手紙には3月20日に国王の退任式が行われる為、3学期が終わり次第すぐに戻って来るようにと書かれていた。
「面倒くさっ」
ナタリー、セシルの元にも自分の両親から同じような手紙が届いたらしく、3人はガゼボで愚痴を言い合っていた。
「何かあるとパーティ、パーティ。もう次の国王の妃だって決まってるし、親だけで良くない?」
「ナタリー、私達はティーナと違って婚約者が見つからないんだから参加して少しでも条件の良い人を見繕わなくちゃいけないわ。」
「セシルは見繕わなくても良いじゃない。ルーカスが居るんだからっ!問題は私よ。もう面倒臭いから親がお見合い話持ってくればいいのよ。」
「でも、その相手が凄く嫌な奴だったらどうするの?」
ティーナがナタリーに聞くとナタリーはため息をついた。
「そこなのよねー…。」
「と言うかルーカスとは何でもないって言ってるじゃない…。」
セシルはケーキを食べながら文句を言う。
3学期が無事終わり、ティーナは両親の言う通り自宅へ戻った。
いつもの様に母親が出迎えてくれた。
「明日、ティーナのドレスを新調しに行くからそのつもりでいなさいね。」
「えっ!この前買ったのにまた買うの?今あるドレスでいいよ。」
「あらーそれは駄目よ。もう約束しているし、サマーもティーナに会えるの楽しみにしているのよ。」
あまりドレスを新調するのに気が進まないティーナだったが母親に抵抗出来ずサマー・マザーに行く事になってしまった。
翌日、外出用のワンピースを着て母親と一緒にサマー・マザーに向った。
「ようこそ、おいでくださいました〜!お待ちしておりましたわ。ささっティーナ様こちらへ!」
背中をグイグイ押され個室へ入れられるティーナ。
サマーは既に準備してあるドレスをティーナに見せた。
「さ、これにお着替えになって!」
サマーの従業員によって着替えさせられるティーナ。
この流れは前と同じ事に気が付き着替え終わったティーナはサマーに聞いた。
「まさか…このドレスはゼムスから…?」
「そうですわ。ティーナ様への贈り物との事でした。まあっ素敵っ!前回のドレスも素敵だったけど今回のドレスも素敵だわ!ゼムス王子と私が考えたデザインだから素敵なのは当たり前なんだけどね!」
口を動かしながら手を素早く動かし宝石をティーナにつけていく。
前回は天の川のイメージでエンパイアラインのドレスだったが、今回は白とアイボリーの布を使い、銀糸で模様が縫ってあるスレンダーラインのドレスだった。
「とっても素敵だけど受け取れないわ…。」
ドレスの微調整を行っているサマーにティーナが言うとサマーは手を止めティーナを見た。
「あぁん?今、俺の作ったドレス受け取れねぇっていいやがったか??」
「ひぃぃっっ!?いえっ!言ってないです!」
いきなりドスの聞いた声で言われたティーナはびっくりして自分の言った言葉を取り消した。
「そうよね!私の聞き違いよね!こんな素晴らしいドレスを受け取らないなんて言ってないわよね!」
にこやかに笑い再び手を動かす。
「ブルートパーズにホワイトトパーズをあしらったジュエリーは、そのドレスによく似合うわ。でもドレスもジュエリーもシンプルだから髪の毛はウェーブを掛けて片方に垂れ流して…うんうん。あーんもうっ!素敵っ!天使みたい!」
鏡を見せられたティーナは絶句した。
シンプルとはいえまるでウエディングドレスの様だった。
「…何か結婚式開くみたいなドレス…」
ティーナが呟くとサマーは少しキレ気味で言った。
「違うわっ!よく見て!アイボリーも入っているし銀糸の模様が入っているでしょうっ!ジュエリーだってダイヤじゃなくトパーズよっ!」
「あっはいっ!そうですね!」
サマーはブツブツ言いながら髪型をスケッチする。
ティーナはどっと疲れてサマー・マザーのお店を後にした。




