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ティーナは母親と街でショッピングをしていた。
友達二人の提案で第一王子の第二次婚約者候補者の集まるパーティで王子に嫌われる為にだ。
高級ブティックで赤い生地に黒の刺繍とレースがあしらって有るドレスを選び、高級宝石店でドレスと同じ赤のルビーで出来たゴテゴテした装飾品を買った。
「あー楽しいわね!ティーナ、他に必要な物はある?」
「あと、化粧品が欲しいです。」
「分かったわ。じゃあランチの後に行きましょう。」
優雅なランチを食べスイーツを食べ終わりお茶を飲んでいる二人。
「…あのお母様?」
「何かしら?」
「お母様は反対なさらないの?…婚約者候補から外れるなんて…」
ティーナは候補者から外れたいと言った時から不思議に思っていたのだ。
第一王子の婚約者候補になり婚約者、そして王妃になれば将来絶対安泰なのに反対をされなかった理由を。
「反対しないわ。娘が嫌がる人間に嫁いだって不幸になるだけだもの。それに婚約するなら第二王子が良いと思うわ。あの子は苦労しているし、貴女もよく知っているでしょう?」
ティーナは頷いた。
母親は微笑み窓から外を見る。
「…貴女は思い切り嫌な令嬢になってきなさい。」
「?」
母親はにっこりと笑いティーナを見た。
ティーナはこれ以上聞いても答えてくれないと分かったのか追求をしなかった。
午後から目当ての化粧品を買い満足したティーナは早々に帰宅した。
それからティーナは上流貴族用の雑誌やコラムを読み漁った。
その様子をドア越しに見る両親。
父親は知恵をつける為にやっている事だと思っているが、彼はティーナが悪女の一生がタイトルの週刊小説を熱心に見ていることは知らない。
知っているのは母親と側近のメイドだけ。