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ティーナは学校から寮へ戻るナタリーを捕まえた。
「セシルは?」
「セシルはマツリド先生の授業を受けているわ。…そんな事よりもティーナ、貴女学校休んでどうしたの?」
ティーナはナタリーに今までの出来事を話す。
「…なるほどね。もしティーナの言う通りなら私達は首を突っ込むべきじゃないわ。与えられた事を受け入れるしかないわね。」
「でもっ…もしクーデターが失敗したらゼムスだけじゃなくお父様の身だって危ないはず…。」
ティーナは気が気じゃなかった。
「とりあえずセシルも含めて話しましょう。話が大き過ぎるわ。」
ナタリーはティーナを落ち着かせセシルが学校から戻ってくるのを待った。
「話は分かったわ。」
セシルの部屋でナタリーに説明した事をセシルにも説明するティーナ。
「…国王がゼムスに後を継がせる可能性は考えた?」
「え?」
「ティーナの話を聞きながら思ったんだけど、国王がゼムスを後継者にするのなら納得がいくわ。」
セシルは国王か後継者に第一王子アルゼルを指名していたが学校の成績を考慮し第二王子ゼムスを後継者に指名し直すならティーナの父親の行動も分かるし母親の言葉も矛盾しないと言った。
「でも指名し直すなら別に力の有る貴族を引入れなくても良いんじゃないの?」
「ナタリー、王宮には第一王子派、第二王子派の派閥があるわ。今まで第一王子が後継者と指名されていたから王宮には第一王子派が幅を利かせるて居た…。それがいきなり国王が第二王子を指名したら…?」
「…第一王子派が内乱を起こすかもしれない…。」
セシルはティーナの言葉に頷く。
「内乱を最低限に収めるには第二王子に絶対的な後ろ盾が必要でしょ。そこでティーナとの婚約よ。」
「待って?それって私じゃなくてもナタリーでもセシルでも…有力貴族の令嬢なら誰でも良いんじゃないの?」
セシルは首を振った。
ナタリーは元第一王子の婚約者だ。
勿論、第二王子の婚約者に相応しい者でも有るが破棄した理由が理由だし、ターシャを囲う事を諌めない国王に不信感を持つナタリーの父、マスカゼ公爵と夫人が認めないであろう。
強引に話を進めれば後ろ盾のない第二王子の敵となるかもしれない可能性を考えればナタリーは外れる。
そしてセシルは王族に嫁ぐなら騎士になると宣言しているし、国王としても知識の有る貴族を潰したくはないはず。
他の貴族の令嬢達はティーナやナタリーに比べれば劣ってしまう。
それに比べティーナは幼少の頃からゼムスと顔見知りであり、ゼムスが最も信用している令嬢でもある。
さらに運が良い事に影響力の有る公爵令嬢と友人である。
つまりティーナをゼムスに嫁がせれば強力な後ろ盾が出来るのだ。
そうすれば第一王子派は黙認せざる負えなくなる。
第一王子派も自身の地位を脅かしたくないからだ。
「以上が私の見解よ。」
「…私はっ公爵の地位の為に二人と仲良くなった訳じゃないわっ!」
ティーナは怒りを露わにした。
「分かっているわ。私だってそうよ。」
ナタリーが静かに言い、セシルは頷いた。
「とにかく王宮がどうなろうがティーナの意志うんぬん関係なく、ゼムス様の婚約者で有る事には変わりないのだから受け入れるしかないわ。」
「…そんなの…分かってるわ。お母様にもロレッタ公爵令嬢として受け入れなくてはいけないと言われたもの…。…ゼムスも私をロレッタ公爵令嬢としてしか見てなかったのかな…。」
「…それは、」
「セシル、それ以上は言っちゃ駄目。」
ナタリーに止められセシルはそれ以上何も言わなかった。
それからティーナは授業に出席する様になり、ゼムス不在のまま2学期が終わろうとしていた。
「さて、2学期が終わります。3学期始めにテストを行いますので学期休みだからと気を抜かない様しっかり勉学に励むように。」
マツリドはそう言って教室を出て行った。
本来なら自宅に戻る予定だったがティーナは寮に残る事にした。
エナにその話をしたし、自宅に手紙も送った。
自宅からの返事はロウが屋敷に来る予定だったのに残念だと返事が来た。
セシルは父親からの帰宅の催促の手紙が来るまでは寮に居るつもりだと知り、ナタリーは早々と自宅に戻っていた。
「…ティーナ、またここに居たの?」
いつものガゼボで課題をしているとセシルがやって来た。
「うん…。」
「ねぇティーナ、婚約の事は令嬢として受け入れたんでしょう?いつまでウジウジしているの?」
「そうだよ。でも何かモヤモヤするの。」
「何に?」
「お父様やお母様は私の事を大切に思ってくれているのは分かるし勿論、私を政治の駒として見る事もあるのは理解しているわ。でも…ゼムスも私の事をそう思ってたのか…って思うと今まで損得無しの友達だと思ってたのになって…。」
「ティーナ、本当にそう思っているの?ゼムス様が損得で貴女と婚約を結んでいると本当に思っているの?」
セシルは課題を止めティーナを見る。
自分はティーナよりもゼムスと過ごした時間はずっと少ないけれど損得で動く様な人には見えなかったと言ってセシルはマツリドの所へ行くと言ってガゼボを後にした。




