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ダンスパーティーが終わり、いつもの日常に戻るはずだったがダンスパーティー以降ゼムスは学校を休む事が多くなった。
「成績が一定以上維持しているなら出席日数が足りなくても進級できる。これは王族への配慮でもある。校則帳にもそう記載されている。」
心配になったティーナは放課後、マツリドを訪れてゼムスの事を聞いた。
「えっと…そうではなくて…休みがちな理由を知りたくて…。」
「それは教えられない。教師には守秘義務があるし、ましてゼムスは王族だ。質問は以上か?」
「…はい…。」
「ふむ。では気を付けて帰りなさい。」
マツリドはティーナを下駄箱まで送る。
「…どうしても気になるなら本人に聞くか…1度里帰りをしたらいい。先程も言ったが一定以上の成績を維持できるなら日数が足りなくても進級は出来るのだから。」
ティーナはマツリドを見るとマツリドは眼鏡のズレを直していた。
「っ!明日から1週間後自己都合で休みます!」
「分かりました。」
ティーナは出来るだけ急ぎながら寮に戻りエナに自宅に戻る旨を話し、準備が終わり次第出発すると伝えた。
「かしこまりました。」
エナは一言言ってすぐに準備を始めた。
1時間もしないうちに準備を終え自宅に向かう。
自宅に帰ると母親は驚いていたが快く受け入れてくれた。
「たまには学校をサボるのもいいわよねっ!」
と言いながら母親はメイドにお茶の準備をする様伝える。
「お母様、お父様はいつお戻りになりますか?」
優雅にお茶を飲む母親にティーナは聞いた。
「…お父様はしばらく戻って来ていません。いつお戻りになるか分かりません。」
「何処に居るか分かりますか?」
「勿論です。」
「会いたいのですが…。」
「会う事は難しいでしょう。」
「連絡は取れますか?」
「取れません。」
母親はひたすらティーナの質問に簡潔に答えるだけだった。
「私の婚約の事でどうしても話しがしたいのです。」
痺れを切らせたティーナがティーカップを起き母親を見る。
母親はメイドに何か伝えるとメイドは席を外し10分後に戻って来た。
メイドがティーナに手紙を渡した。
「お父様からです。お読みなさい。」
ティーナは封を切り手紙を開け手紙を読んだ。
要約すると、今回の婚約の話はティーナの父としてではなく、ロレッタ公爵として承諾した事が書かれていた。
それはつまりティーナが政略結婚をするという意味だ。
自分の意志で決めて良いと言っていた父が意見を変えティーナの気持ちを無視して婚約を結ぶなんて信じられなかった。
「お母様は知っていたのですか?」
「ええ。」
「止めてくださらなかったのですか?」
優雅に穏やかにお茶を飲んでいた母親は震えているティーナを鋭い眼差しで見た。
「貴女はデュース・ロレッタ公爵の娘です。昨今、結婚は自分の意志で決められるとはいえ我々有力貴族にその自由は有って無いものと思いなさい。…今、国王は多くの後ろ盾を必要としています。貴女もその内の一人です。この意味分かりますね?」
「…はい…。」
ティーナは自室へ戻り母親の言葉を思い出した。
父親がしばらく家に帰っていない。
居場所は分かっているが、会う事も連絡を取る事すら出来ない。
ティーナの意志で決めて良いと言っていたゼムスとの婚約話が父親の独断で決められた。
その理由が王宮ではなく国王が力の有る人間を一人でも多く必要としている事。
ここへ来てティーナはゼムスの言葉を思い出す。
1年の3学期が終わる頃、王宮が大変な事になる…。
ティーナは、父親が今王宮に居て今後の王宮に関係する事に携わっているのではないかと推測した。
そして国王が一人でも多くの力が必要となると国王の交代もしくは王宮内のクーデターが考えられる。
第一王子が将来の国王と前から決まっているし何の混乱もなく交代出来るだろう。
そうなれば王宮内のクーデター説が濃厚となる。
そしてそのクーデターの中心がゼムスだとすればゼムスが学校を休みがちなのも説明がつく。
「お父様がゼムス派なの…?」
考えれば考えるだけ矛盾してくるティーナ。
もしゼムスがクーデターが中心であるなら父親の娘をゼムスに嫁がせる行動と母親の《国王が後ろ盾を必要としている》と言う言葉が一致しないのだ。
「分からない…。」
考えるのを止めたティーナは明日、学校に戻りナタリーとセシルの意見を聞こうと決めた。
エナに荷解きはしなくて良い、明日朝イチで学校に戻る事を伝えるとエナは一礼をし部屋を出て行った。
翌朝、用意されていた馬車に乗り込みティーナは学校へ戻った。




