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教室に入ってきたのは大変ふくよかで日に焼けていた女子生徒だった。


「私、アイーシャといいマス。砂漠の国からきまシタ。」

「この学校の編入試験を突破した優秀な生徒だ。席はティーナの隣だ。アルゼルから皆1つ横にずれて。」


アルゼルが立ち上がって席を立つとアイーシャは目を大きく開いた。


「アナタがアルゼルね!私、アナタの婚約者よ!」

「え?」


席の移動が終わり授業は淡々と進んだ。

終わりのチャイムが鳴り皆が帰り支度をしている時にアイーシャがターシャと一緒に帰ろうとしていたアルゼルを呼び止めた。


「アルゼル、私に学校案内してくだサイ。」

「これから用事が有るから無理だ。」

「そーよ!アルゼルは私と勉強するって約束をしてるのよ。アルゼル、行きましょ!」


ターシャがアルゼルの腕を引っ張り帰ろうしたがアイーシャが止めた。


「なら私も一緒にしマス。マツリド先生が席は成績順だと言ってまシタ。アルゼルと…そこの彼女は私よりも下ですネ?」

「アンタ、今日編入してきたばっかでしょ!?分かるわけないじゃない!マツリド先生の授業は難しいのよ!」


ターシャはイライラしながらアイーシャを見た。


「アイーシャ嬢、この子はターシャと言うんだ。そしてターシャの言う通りだと思うんだ。案内は別の誰かにお願いしてくれ。」

「…分かりまシタ。」


二人はさっさと教室から出て行き、アイーシャは自分の席に戻って来た。

殆のクラスメイトは気まずいのか、そそくさと教室を出て行った。


「あー…すみません?アナタの名前は?」


3人のやり取りを見て帰る支度が遅れていたティーナに話し掛けるアイーシャ。


「私、ティーナ・ロレッタと申します。」


するとアイーシャは目を開いた。


「貴女がアルゼル王子の最終婚約者候補なのですね。そして先程の彼女も。…改めて私、砂漠の国、第二王女アイーシャ・サバンと申します。お二人と同じ最終婚約者候補ですわ。どうぞ仲良くしてください。」


先程まで辿々しかった話し方が滑らかになり驚くティーナ。


「こちらこそ、どうぞよろしくお願い致します。…ただ、私はアルゼル王子の婚約者の話はお断りしていますので、あまりお話する事はないと思います。」


アイーシャは少し考えてからティーナを見た。


「アイーシャ嬢。彼女は大丈夫ですよ。」


ゼムスが小さな声でアイーシャに言うとアイーシャは、先程までトゲトゲしかった雰囲気を消した。


「そうですか。ティーナ様、先程の無礼な態度深くお詫びします。申し訳ございませんでした。」

「いえ…こちらこそ無礼な態度申し訳ございませんでした。」


二人が仲直りした所を見たゼムスはアイーシャをエスコートして教室を出て行った。

その日を境にゼムスはティーナ達とランチを共にするのを止めた。


「…何か寂しいわね。ゼムス様が居ないと。」


ダンスパーティーが1週間後と迫った時、ナタリーが言った。

ティーナは課題のプリントとにらめっこしている。


「そう?私は毎日、求婚されなくなって嬉しいわ。」

「ティーナ、嘘は良くないわ。ゼムス様が来なくなってから課題の進みが遅くなってる。」

「っ!…嘘じゃない。」

「あっ!そう言えばもうすぐダンスパーティーね。」


ナタリーがフォローを入れる。

学校行事だが高等部1年と3年生はダンスをしたり会話をするだけで企画等は2年生が行う為、ドレスを新調するくらいしか準備がない。


「誰かダンスに誘ってくれないかしら。」

「私は踊りたくない。」

「どうして?」


セシルはため息をつきながら課題を進める。


「踊るの疲れる。私は踊るよりも出される軽食が楽しみ。」

「分かる!疲れるよねー!でもでも、マツリド先生にダンス誘われたら嬉しいでしょ?踊っちゃうでしょ?」


課題が終わったのかティーナは鞄にしまいながらセシルに言った。

セシルは顔を赤く染め一瞬手を止めたがすぐに手を動かした。


「先生とは踊れないの知ってるでしょ。…でも踊れたら一生の思い出になるでしょうね。」


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