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ある日。
「次週から来月行われる学校の恒例行事、ダンスパーティーの練習が始まります。次週から本番まで学校の授業は全てマナーとダンスのレッスンになります。その間、授業が出来ませんので課題を出します。」
マツリドの言葉に歓喜した生徒達だが課題があると聞いて直ぐに沈黙した。
配られた課題なる物は何十枚も閉じられていたプリントからだ。
「優秀な者ならダンスパーティーが始まる前に終わらせる事が出来るだろう。分からない内容は教科書を参考にしなさい。では授業を始める。」
マツリドは授業を始めるがついて行けている生徒はクラスの半分になっていた。
2学期が始まってからマツリドはついていけない生徒は置いてく、希望者は授業外で補習を行うと宣言しその通りに授業を進めている。
授業についていけない生徒は授業中に前回配られたプリントを片付けているがまた一枚、また一枚と次々プリントが増えていく。
「授業についていけない生徒が半分になっているというのにマツリド先生は何を考えているんでしょうね。」
ナタリーがランチを終え、マツリドから配られた課題を見ながら言った。
「さあ?私には分からない。セシルなら分かるんじゃないの?」
スラスラとペンを走らせながらティーナが言うと同じくペンを走らせるセシルが言った。
「私も分からないわ。」
「学長がマツリド先生の教育方針を認めてるって事しか分からないね。」
ゼムスも同じくペンを走らせる。
ゼムスの言った通り、学長はマツリドの教育方針を認めてる。
さもなければマツリドにストップが掛かるはずだし教育方針も変えるはずだ。
「第一王子は授業についていけてるの?ティーナ隣なんだから分かるでしょ?」
ようやくナタリーがペンを走らせる。
「んー…前回のプリントやってた気がする…。ターシャがもう前回のプリントに取り掛かっているのねって褒めてたし。しかもまた私の足を踏みつけるし。」
ターシャは休み時間になる度にアルゼルの席に行きアルゼルが優秀だと褒め、必ずティーナの足を踏みつけていた。
「ティーナ、もういい加減諦めて僕と婚約しなよ。ターシャの狙いは将来の王妃になる事。だから国王にならない僕と婚約したらターシャに意地悪される事もなくなるよ!」
「…嫌。だってゼムスにときめいた事ないんだもん。」
ティーナは一切ゼムスを見ずペンを走らせる。
「ティーナ、それって僕にときめいたら結婚してくれるって事かいっ!?」
「あー…まあそういう事。一生ないけど。」
「二人共聞いたかいっ!?ティーナが僕にときめいたら結婚してくれるって!!」
ナタリーもセシルも生返事をした。
「…どうでも良いけど、ふざけてないで手を動かしたらどうかしら?」
「ナタリー嬢、僕の心配をしてくれるんだね!大丈夫さっ。僕はこう見えて頭が良いんだ。」
ナタリーとセシルは、どうしてこんなヘラヘラ人間が優秀なのか改めて不思議に思った。
第一王子はターシャのご機嫌取りしかしないし第二王子は頭のネジがぶっ飛んでる。
この国の将来が本当に心配になった。
チャイムが鳴り教室に戻る4人。
いつも直ぐ教室に入ってくるはずのマツリドが5分過ぎても教室に入って来なかったので少しざわついたがチャイムが鳴ってから10分後に教室に入ってきた。
「遅くなってしまい、大変申し訳ない。編入生を紹介する。入りなさい。」
「ハイ。」




