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ティーナは青い海と青い空が見える領地でも1番栄えている街に居た。
貿易が盛んなこの街は経済、治安がいかに重要かを学べる場所でもある。
ティーナは街に合う格好をし二人の護衛を連れ父と共に様々な場所を訪れた。
「第二王子であるゼムス様が午後からいらっしゃるそうだ。何度も訪問して頂いてるが、お前が街を案内しなさい。…分かっていると思うがくれぐれもくれぐれもくれぐれも粗相のないように。いいか、くれぐれもだ。」
カフェでパフェを頬張るティーナを父は迫力満点な顔で念押しする。
ティーナ何度も頷いた。
第二王子を待たせるわけにもいかない為、屋敷へ戻るティーナ達。
3時を過ぎた頃、屋敷のベルが鳴りゼムスが来た事を知らせた。
ゼムスの荷物が来客用の部屋へ運ばれる。
「3日間お世話になります。これは父からです。」
そう言ってロレッタ公爵にゼムスは手紙と小箱を渡す。
「狭い家ですがどうぞゆっくりなさっていってください。」
挨拶をそこそこにゼムスはティーナを連れ屋敷を後にした。
「あれ、買いに行くの?」
「明日朝一に買いに行く予定。今日は散歩。浜辺に行きたいんだけど良いかな?」
「ええ、良いわ。」
浜辺に付き浜辺と街を仕切る階段に座る二人。
浜辺では街の子供達が走り回ったり砂で遊んだりしている。
子供達だけで遊べるのは安全な街の証拠だ。
「今年は商人が買いに来るのかと思ったわ。」
「まさか。あればかりは自分で持ち帰らないと安心して使えないよ。」
ゼムスは生まれた頃から病弱で王宮に在住している医者ですら原因が分からなかった。
ある日、王宮のある市の空気が悪いのではと考えた医者は国王に空気の澄んでいる場所での養生を進めた。
国王は医者の進め通りにゼムスに合う場所を探す為に貴族が持つ別邸へ何ヶ所も泊まらせた。
そしてロレッタ公爵領地の空気が身体に合い、他国からの輸入品《青薔薇の夜露》のお陰で徐々に熱や咳を出す頻度が減っていったが油断は出来ない為、ゼムスは王宮に戻っても夜露を飲み続け今現在も飲んでいるのだ。
ゼムスは青薔薇の夜露を年2回、この街にまで買いに来ている。
「ふふっ。出会った頃が懐かしいですわね。」
「本当に。」
王宮のメイドは何人か来ていたが一人で病に立ち向かうゼムスを不憫に思ったロレッタ公爵は自分の娘であるティーナを屋敷に呼び寄せ、ゼムスの体調の良い時に遊ばせていたのだ。
「しかし、初めて会った時のティーナ嬢に病と闘っている私に毎日おねしょしている方ね。と言われた時は言葉も出ませんでしたよ。」
「あの後、お母様に怒られましたわ。今思えば、あの時はまだ3歳か4歳で失言も許されるはずでしょう?」
楽しく会話をしているといつの間にか遊んでいた子供達が居なくなり夕食の材料を買いに来る者達が増えていた。
「そろそろ帰りましょうか。」
ゼムスが立ち上がりティーナに手を差し伸べる。
ティーナはゼムスの手を取り立ち上がった。
「…あなたが昔のままで良かった。」
「まあ、ゼムス様。それはどういう意味ですか?私は立派な令嬢になりましたでしょう?」
「…そうですね。そういう事にしておきましょう。」




