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ガクガアール国。

近代稀に見る実力社会主義、男女平等な国である。

平民は10歳から国が運営する学校の初等部へ2年行き成績上位60人は中等部に進む事が出来る。

中等部に2年通いその中でも成績上位30人が貴族と共に学べる高等部に進学する事が出来る。

貴族は幼い頃から家庭教師を付け学業を学ぶ為、初等部から中等部までは学校に行く事を免除されている。

そして14歳になり高等部へ入学する

高等部に3年通い卒業試験の成績上位10人、または在学中国に認められた賞を取ったものは専門学に進みさらなる知恵を付けることを許される。

これは国、学校の教育方針である。

先人のお陰でどの国にも負けない知力豊かな国として日々発展している。


今、王座の横で二人の王子が座っている。

ブスくれていてパーティに参加している娘達に目もくれず、ただ時間が過ぎるのを待っているのが第一王子アルゼル。

にこやかに進んで娘達の相手をしている第二王子ゼムス。

今日はこの二人の王子の第一次婚約者選びのパーティが開催されている。

将来の王妃を目論む貴族の娘達は積極的に将来の国王であるアルゼルにアピールしていたが、話し掛けても適当な相槌しかしないのでフォローをしているゼムスに自然と娘達が集まっていた。

そんな光景を壁側に設置してあるソファに座って見ているのは、ティーナ・ロレッタ公爵嬢とナタリー・マスカゼ公爵嬢、セシル・イグニシ公爵嬢など公爵家の中でも上位の娘達だった。


「馬鹿らしいわ。」

「ええ、本当にそうね。」

「ティーナ、ナタリー、ケーキ食べた?美味しかったわよ。」


沢山スイーツが乗ったお皿を持ち、ひたすらフォークを口に運ぶセシル。


「毎度だけど、その食欲何処からか来て食べた物は何処に消えるの?セシル。」

「うーん…それは出ていくとしか…」

「ちょっとっ!ここはパーティ会場よ!その話は駄目よ!」


そう言いながら楽しそうなナタリー。

この三人は昔から仲良しでお互いの家を訪問し合っている。


「お嬢様方、少しよろしいですか?」


いつの間にか令嬢たちを捌ききったゼムスが三人に声を掛けたのだ。

三人とも優雅に挨拶をして完璧な令嬢を演じる。


「もちろんですわ。」

「ありがとうございますナタリー嬢。皆様パーティは楽しんで頂けてますか?」

「ええ、とっても楽しいですわ。招待して頂いてありがとうございます。」

「それは何よりです。ティーナ嬢はあまりパーティには参加しないと聞いていたので心配していたんです。セシル嬢、スイーツはお気に召しましたか?」

「ええ、どのスイーツも美味しいですわ。」


当たり障りのない会話をし、ゼムスはまた人混みに消えていった。

ゼムスが完全に見えなくなったのを確認し三人はため息をついた。


「私が国王ならゼムスを将来の国王にするわ。」

「ナタリー、私もその意見に賛成。」

「腹の中じゃ何考えてるか分からないけどね。あんな終始不機嫌で今平民の娘を囲っている王子より外面の良い王子の方がいいわ。」

「ゼムスは本来の中身は努力家よ。」


ティーナはセシルの言葉にすぐに反応した。


「そう言い切れるのはティーナがゼムスが旧知の仲だからでしょ?私達は顔見知りでも何でもないしティーナと違って滅多に会えないから、腹が黒そうって印象しかないよ。」


セシルはそう言いながらケーキを食べ始めた。


「そうね…。やっぱりあの笑顔は腹黒っぽいわ。まあティーナが言うなら腹黒ではないんじゃない?」

「ゼムスの婚約者候補はティーナで決まりだね。」


ティーナの父ロレッタ公爵の領地は海、山の自然豊かな土地を持ち国の20%の食料を供給していて貿易も盛んに行われていて指5本に入る有力貴族である。

ナタリーの父マスカゼ公爵の領地は鉱山を複数持ち発掘から加工まで行って同じく指5本に入る有力貴族だ。

セシルの父イグニシ公爵は領地こそ少ないが類稀なる経営術で活気のある領地になっていて、何より頭脳明晰で国王が最も信頼している宰相である。

この3人の中から誰が将来の王妃になっても不思議ではない。


「大丈夫、私は候補者には選ばれないから安心だわ。」


食べ終わったお皿をボーイに渡し食後の飲み物を飲むセシル。


「何で言い切れるの?」

「だってパーティに行く前に父に、どっちかの婚約者候補に選ばれたら騎士になるって言い切ってきたもの。」

「あー…セシルのお父さん可哀想に…文武両道の娘も困ったものね。」

「困ってたわ。二人の兄は騎士になってしまったし、もう私しか宰相の知恵を継ぐ人間は居ないから。私が騎士になったら家は無くなるわ。父に家を潰す覚悟はないだろうし…多分今頃慌てて婿を探しているはずよ。」


この国の法律で貴族が騎士になった場合、地位はそのままだが領地がなくなってしまうのだ。

これは騎士になれば死と隣り合わせであり領地を持ったまま死んでしまえば、その領地を統める者が居なくなり領地を狙う別の貴族同士の争いを避ける為なのだ。

騎士になった瞬間、国が領地を買い取りそのお金を騎士になった子の親に渡され、それがそのまま老後の資金になるのだ。

セシルの様に兄妹が三人で上二人が騎士になっているのでセシルが騎士になれば領地はなくなってしまう。

逆に騎士にならず父の跡を継ぐなら領地は守られる。


「セシルの家はまだ選択肢があるだけマシね。この前何処かの男爵家の跡取りが騎士になって領地なくなったらしいわ。」


終わりかけのパーティを見ながらティーナが言った。


「ああ、クランク男爵家でしょ?ご子息、結構追い詰められてたらしいわ。跡継ぎの儀式をやった後しばらくして騎士になったらしいわね。何故すぐに騎士にならなかったのかしら?」


帰り支度をしながらナタリーはセシルに聞く。


「クレガー・クランク元男爵の話?領地処分したお金で雇ってた人に退職金払う為の準備期間で、両親には細やかに暮らしていけば困らない位のお金しか残さなかったって本人に聞いたわ。」

「あ、あれが噂のお姫様じゃない?」


ティーナが二人を一人の女の子を扇で指した。

その先には肩まで伸びた胸が強調されたドレスを身に纏った少女が居た。

少女の登場で不機嫌だったアルゼルが笑顔になった。

少女も満面の笑みでアルゼルの方へ向かい仲良く話を始めた。


「あほくさ、帰ろ。」


ナタリーはウンザリし、二人は頷いて王宮を後にした。


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