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神話の森中層部 そして深層へ


「いやー、昨日は楽しかったな」


ボクは先日のことを思い出しながら、森の深部へと進んでいる。

レーヤ・フラウ・レイン。あの三人組との話は、とても有益なモノだった。エスバーで流行してる物から政治的なモノに冒険者としてのノウハウまで、ボクが知りたかったことがほとんど知れたと言っても良い。

やり手の商人や貴族達と渡り合ってきたボクは、情報の大切さは身に染みるほど知っている。それが例え大でも小でもね。レーヤ達には、感謝しても感謝しきれないよ。


「・・・一緒に着いていくってのもアリだったんだけどなぁ」


レーヤ達は、ボクも一緒に来ないかと言ってくれた。正直、すっごい着いて行きたかった。せっかく仲良くなれたわけだしね。・・・でもね。めちゃくちゃ迷った末に断ったよ。


え?何で断ったかって?


そりゃ、あれだよ。まだこの森の魔物を、全種類食べてないじゃん。

ボクの勘でしかないんだけど、この森は深部に進めば進むほど魔物が強くなる。そして、強い魔物は・・・美味い。めっちゃ美味い。


「・・・あぁ、想像しただけでヨダレが」


森の中層辺りにいるカマキリやオークですらあんなに美味しいのに・・・もっと奥の魔物はどうなっちゃうんだっ!?

まだ見ぬ魔物とその味を想像し、ヨダレが溢れて止まらない。


ボクってこんなに食いしん坊だったけなぁ。頭では分かってるよ?レーヤ達に着いていった方が、メリットがあることくらい。でも、全然抑えきれないんだよね。この食への探求心が。・・・カメムシとゴブリン、そして雌オークはさすがのボクも無理だけどね。


カメムシは、あの臭いのせいで食欲すら沸かない。ゴブリンも同様、あのカメムシを食べてる時点で諦めた。雌オークは・・・やめて・・・脱がさないで・・・らめぇええっ・・・





・・・おっと、トラウマが発動してしまった。ヤツのことはなるべく考えないようにしないと。


「おっ?そっか、ここからか」


不意に森の気配が変わったのを感じ、ボクは立ち止まる。あぁ、きっとここが境目なんだろうな。

・・・何て言ったら良いんだろ?中層は昆虫型魔物がメインだったから、気配を感じ取るのに苦労したけど今回は真逆だ。濃厚って言ったらいいのかな?とにかく森全体に濃密な気配が充満してる。まるで隠す必要がないとばかりに。


「ここからは、気合入れないとヤバいかもな」


中層も中層でヤバかったけど、ここから先はもっとヤバい気がする。なんていうか、中層の魔物は気配を消して獲物を狩るって感じだったんだけど、ここから先の魔物はまるで気配を消す気がないんだよね。

いつでもかかって来いって言ってるような・・・圧倒的強者の余裕みたいな?


「考えても仕方ない。男は度胸。行くか!」


何のためにレーヤ達の誘いを断ったんだ。美味い肉を食べるためだろ?

・・・今更、後には引けない。ボクは、期待と不安を胸に森の深部へと第一歩を踏み出す。






短めで申し訳ない。

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― 新着の感想 ―
[一言] 無理にヒロインを作れとは言いませんが、前回のお嬢さん達はいい人達だったので、また主人公と再会してほしいものです!
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