《悪鬼夜行》その十七
「な、何を言ってるんじゃ、お嬢ちゃん。儂らはただ、一応の確認のために来ただけで・・。」
「もう演技はいいよ、とっくに正体は分かってるし、何より私言ったよね?さようならって。意味が分からないなら教えてあげる。貴方は私の敵だ、《悪鬼夜行》。」
私がそう宣言すると《悪鬼夜行》は黙り、そして・・。
「「・・く、くくく。・・バレているのならば仕方ない。皆の者、擬態を解け!」」
《悪鬼夜行》の言葉で大空洞に入って来ていた人達の体が変化していく。
『『『キ、キヒヒヒ!』』』
その姿を分かりやすく言うならばゴブリンに似た姿と言えるだろう。
「「行け、餓鬼達よ!奴等を倒し、霊脈を我がも・・。」」
『えい♪』
『キ!?キ、ギシャ!?ガ・・!』
「「なっ!?」」
「うわぁ。」
それは何と言ってしまえばいいだろうか?私的には確かに《悪鬼夜行》は敵ではあるが戦闘前の台詞ぐらいは最後まで聞いてあげる良心はある。
だが空鬼はそんな事知りませんと言うかのように《悪鬼夜行》の後ろに控えていた餓鬼達を隠す様にあの濃霧を発生させた。
「「き、貴様!不意打ちとは卑怯な!?」」
「そ、そうだよ空鬼?せめて、殺るにしても最後まで聞いてあげようよ?」
『カルーアちゃんは黙っててね?』
空鬼の言葉は優しくも何処か怒りを感じさせる声だった。
「お嬢、あれは相当怒ってる時の声色だ。今は無闇に絡まない方が良い。」
「ん・・主人様は、こっちに・・ね?」
私は炎鬼と雹鬼に連れられ後ろに下がる。それを確認した空鬼が喋りだす。
『《悪鬼夜行》私に卑怯と言いましたが貴方、私の怒りを買ってる事理解してますか?』
空鬼の台詞と共に大空洞内に満ちていた濃霧が晴れていく。そこには私も見た事のある白い粉が大量に落ちていた。
「「くっ!」」
《悪鬼夜行》が後ろに一歩下がる。だが空鬼がそれを見逃す事はなく、《悪鬼夜行》側にある出入り口を濃霧で満たし塞ぐ。
『逃しませんよ?折角此処まで来たのですから、私の手で終わらせてあげます♪さあ、早く元の姿に戻ってはどうですか?そのために貴方達だけ霧に触れないようにしてあげたんですから♪』
その場には空鬼の言うとうり《悪鬼夜行》であるお爺さんとお婆さんだけが残されていた。
「「・・貴様だけは・・貴様の様な、生まれた時から力のある鬼が・・!儂は!大っ嫌いなんじゃあああああ!!!!!!」」
《悪鬼夜行》が叫ぶと同時に2人の体が混ざり合い、真の姿が現れる。
『貴様ダケデモ、儂ノ手デ殺シテヤル!!』
その見た目は全身が筋肉質な薄い紫・・何だっけ?前にネットで見た事があったような・・あ!ペールアイリス!そう、ペールアイリスだ!・・いや、薄紫でよくないかな?
体は高さ6〜7mぐらいの大きさとなり、下半身は二本足と人とあまり変わらないが、上半身は魔物らしさが出ていた。
腕は左右合わせて6本も生えており、顔には目玉が1つだけ、腹には綺麗な歯並びをした刺々しい歯を持つ巨大な口があった。
私はそれを見て、サイクロプスの魔改造版かな?などと思ってしまったのは内緒だ。
『その言葉、そっくりそのままお返ししますよ。貴方には私の楽しみを奪われてるんですから!!』
こうして空鬼vs《悪鬼夜行》の戦いは幕を開けたのだった。
「ねえ、もしかして私って、空鬼が直接《悪鬼夜行》を倒したいから此処に誘き寄せる為の餌として利用されてた?」
「「「・・・。」」」
私の質問に3人は無言で目を逸らす事で応えた。




