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《悪鬼夜行》その十五

 私は港町からお爺さん達が住む民家へと向かう道を歩いている。理由は依頼達成の報告をしに行くためだ。

 ゲームとはいえ依頼は依頼、受けた以上は報告はしないといけない。


「・・・。」


 行きと同じ道を歩き、やがてお爺さん達が住む民家にたどり着く。・・既に日は傾き夜が来ようとしていた。

 民家に辿り着いた私はマリーから降り、扉をコンコン、と叩き中からの返事を待つ。・・すると。


「はいはい、今開けますじゃ。・・おや、お嬢ちゃんじゃないか。はて?何か忘れ物でもしたかい?」


 玄関に出てきたお爺さんは私が思いの外早く帰ってきたのを忘れ物を取りに戻ってきたと思ったのだろう。まさか鬼ヶ島に向かったその日に鬼を討伐した報告をしに帰って来たとは思わなかったようだ。私が鬼を討伐したと報告すると老夫婦は心底驚いていた。


「まさか出かけたその日に討伐するなんて・・じゃがお嬢ちゃんや、お嬢ちゃんを疑ってるわけじゃないが、儂らも鬼を討伐した証拠が無ければ安心できんのじゃ。何か証拠になる物はないかの?」


 お爺さんの言葉に私はインベントリから()()()()を取り出す。


「こ、これは・・。」


「討伐した鬼の・・確か空鬼と名乗った鬼の角です。」


「おぉ、おぉ!では、本当に桃太郎の仇は討たれたのじゃな!?」


「ありがたや!ありがたや!!」


 お爺さんは歓喜し、お婆さんは泣きながら感謝の言葉を言う。


「お爺さん、お婆さん、喜んでくれるのは嬉しいけど私も冒険者だからね、依頼を達成したからには報酬を貰わないと。」


「お、おお、そうじゃったな。婆様や、お嬢ちゃんにお礼の品を持ってきておくれ。」


 そうしてお婆さんは厨房に向かい何やら作り始める。そして待つ事約1時間、厨房からお婆さんが出てきた。


「こんな物しかやれんが、どうか受け取ってくだされ。」


 お婆さんが差し出してきたのは中に何か入っている袋だった。私は中身を確認してみる。


『『お婆さんお手製きびだんご』×40個


 HP・MPを50%回復。

 テイマー・サモナーは契約していない魔物に食べさせると従魔契約・召喚契約の成功確率が中アップ。


 桃太郎もこのきびだんごのおかげで猿・犬・雉を仲間にしたと言われるほどの絶品!・・・らしい!!』


 中身はお婆さんお手製のきびだんごだった、性能がそれなりに良いのと数があるのがまた何とも言えない。


「確かに。・・それじゃあ報酬も貰ったし、そろそろ行くね。」


「なんじゃ、もう行くのかい?お嬢ちゃんはこれだけの事をしたんじゃ、もう少し休んでいても良いじゃろうに。」


「ありがとうお爺さん。でも私もやりたい事がいっぱいあるからゆっくりはしてられないの。」


「そうか・・そうじゃの、お嬢ちゃんにはお嬢ちゃんの事情があるしの、これ以上は引き止めんよ。行っておいで。」


「うん・・それじゃあ、()()()()()()()()()()()()()()()()


 こうして私は2人に別れを告げて民家から出て行った。



 ・・そして。




「・・行ったかの婆様や?」


「・・ええ、気配が無くなりましたよ爺様や。」


「では、儂らも行くとするかね。」







 港町の海岸、そこには老若男女問わず町の住人全員が集結していた。そこにあの老夫婦が現れ町の人々に言う。


「「皆の者!気は熟した!鬼ヶ島に結界を張った鬼は死に、島に張られていた結界は先程完全に消滅したと報告を受けた!今宵、鬼ヶ島に渡り霊脈を我が物とする!!」」


 おおーーっ!!!!

 

 港町から鬼ヶ島までの夜の海に雄叫びと共に何十艘もの舟が出航して行った。

 そして、報告どうり霧の結界は晴れ、無事に鬼ヶ島へと全員が上陸、霊脈に続く洞窟を進み、そしてついに霊脈のある最深部手前のあの広い空洞に辿り着く。

 もうすぐ霊脈が自分の物になると思うと顔がニヤけるのを抑えきれない老夫婦。・・・だか。


「・・何故・・お嬢ちゃんが、此処におるのかのぉ?」


「さあ?何でだろうね?自分の胸に手を当てたら分かるかもしれないよ?」


 老夫婦の視界の先には自らの目的の為に騙し、役立ってくれた愚かな人間の少女が立ち塞がっていた。




 少女の側には、すらいむとか言う妖魔に狼や熊などの獣が()()()。そして()()()()()が控えていた。

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