《悪鬼夜行》その十三
私達は3人の住処である洞窟内を歩み・・歩み・・。
「・・ねぇ、雹鬼。」
「・・な、に?」
「・・長くない?」
洞窟に入ってから私達は洞窟の中を右に行ったり、左に行ったり、暫く上に向かっていたら突如今度は下に降ったりと、かれこれ約1時間。私達は未だに洞窟内を歩いていた。
「・・もともとこの洞窟は外からの敵を最深部に行かせないために複雑に作られてるからな。多少の移動は我慢してくれ。」
私の問いに応えた炎鬼はそう言って歩み続ける。
「外の敵?」
「ああ、この島には霊脈があってな、最深部はその霊脈の力が最も強い場所で、お袋は外に居る俺らとは違う鬼から霊脈を守る為にそっから動けねぇんだ。」
炎鬼達とは違う鬼、それがこの島の外に、ね。
「港町の、俺と勘蔵を含む全員を信用するな。」
私は目を瞑り原爺が最後に言った言葉を思い出す。
原爺・・あの言葉は、そういう事、なんだね?
私の中でこのストーリーイベントの全容が見えてき始めた。・・だけどまだだ、まだそう決め付けるのは早い。何か、何か決定的な情報が欲しい。その為にも私は3人のお母さんに会って話を聞きたい。
「炎鬼、出来るだけ急いでもらっていい?」
「・・分かった。」
そう言って炎鬼は歩く速さを早めた。そして十数分後・・。
「・・此処が最深部なの?」
そこは広さが大体東京ドームぐらいはありそうな空洞に、所々にある水晶が放つ淡い光が何とも綺麗な場所だった。
「正確には最深部の手前・・まあ、俺らが普段過ごしてる居住地兼訓練場みたいな場所だな。・・と、あの横穴を通り抜けた場所がお袋の居る最深部だ。」
炎鬼が指し示す方を見れば此処からだと見えづらいが確かに正面の奥に横穴が開いていた。私達はその横穴に向かう為歩き出す。
「・・・。」
横穴を更に降った先を見た私は言葉が出せないでいた。
そこは先程の空洞にもあった水晶が放つ淡い光に照らされた巨大な地底湖が広がっていた。
私達は湖の畔まで歩み、ふと、私は思った事を問う。
「それで、3人のお母さんは何処に居るの?」
「湖の中央に社があるのが見えるか?お袋は彼処に居る。」
「ん〜?・・あ、あれか。」
目を凝らしてよく見てみると確かに湖にポツンと建物らしき物件が見える。その時
ゴ!ゴ!ゴ!ゴ!
何かが動く音と共に畔から社まで続く道が湖の中から現れた。
「んじゃ、こっから先はお嬢1人で行ってくれ。」
「え、3人はついて来てくれないの?」
「ああ。元々外から来た人間を此処に連れて来るまでが俺らの役目だったからな。」
「そっか・・分かった。じゃあ行こっかスラミー、ガルフ、マリー。」
社に行く為に私はマリーの背に乗る。・・だが。
「・・ごめん、なさい。・・その子達も、連れて行けない・・の。」
「え、従魔も連れて行けないの?」
「・・母様、には、島に来た人間だけを、通すように言われてる・・から。」
それはつまりプレイヤーだけしか通せないって事なのかな?んー、流石に戦闘は無いと思う、と言うか思いたい。
仕方ない、3匹は此処で炎鬼達と一緒に待っていてもらおう。
「と、言うわけだから、スラミー達は此処で3人とお留守番だよ。」
「ーー!」
「ガゥ。」
「クマ〜。」
うん、うちの子達は良い子で待ってくれるみたいだ。
「・・大丈夫、寂しくは・・させない。」ヒョイ
「ガゥ?」
「させないー☆♪」ヒョイ
「ーー?」
そう言って雹鬼はガルフを、雷鬼はスラミーを抱き抱える。
「あ〜、まあ、あれだ。こっちは任せてお嬢は早くお袋に会ってきな。」
「ふふ、そうさせてもらうね。」
この調子なら寂しがらせる事はなさそうだね。
「それじゃあ、行ってくるね。」
私は1人、湖に現れた道を歩き進むのだった。




