《悪鬼夜行》その六
「原爺?勘蔵さん?」
私はこの状況を呑み込めず少し思考が停止していた。だがやがて船が砂浜に乗り上げた振動で思考が復活する。
「・・!!スラミー、ガルフ、マリー!周辺に敵がいないか警戒して!」
「ーー!」
「ガゥ!」
「クマッ!」
原爺と勘蔵さんが何であんな事になったのかは分からない。だけどこれがもし鬼ヶ島に居る鬼の攻撃だったならこのまま戦闘になる可能性があり、その場合それはボス戦という事になる。警戒を怠ってはならない。
警戒すること数分、周辺に敵の気配は感じられない、それは従魔達も同様なようだ。
「・・・・行こう。」
段々と冷静になってきた事で考える余裕ができてきた。
2人があんな事になった原因はおそらくあの霧だと思う。あの霧に何かしらの魔法が使われているのなら何故私達は無事なのか、何故2人はあんな事になったのか。その答えはこの先に居る鬼が知っているはずだ。
もう後戻りはできない。私は前へ歩み始めた。
それから数十分、移動はマリーに任せて鬼ヶ島を探索する。
今のところ鬼には遭遇していない、それどころかこの島には本当に鬼が居るのかと思える程だ。
進み続ける事更に数分、怪しい場所を見つけた。
「あきらかにボス戦ですよって広さだね。」
岩山の坂道を登って行くとあからさまに円形状に開けた場所に出た。おそらく此処に足を踏み入れればボス戦になるだろう。
「・・行くよ、みんな。」
「ーー!」
「ガゥ!」
「クマッ!」
私達は意を決して進む。するとボス戦特有の転移したかの様な感覚が走る。そのまま進み、もう少しで中央に到着しそうな所でソレは現れた。
『おい、そこのお前!止まれ!』
「!?」
『お前がお袋の言ってた、外から来た人間で間違いないか?』
声の主は崖の上から私達を見下ろす様に立っていた。姿は・・うっ!逆光ではっきりとは見えない。分かるのは声の感じからして男性だという事、おそらくアレがこの島に住む鬼なんだろう。
『ああ、別に応えなくていいぜ。よっ!』
ーーードーンッ!!
その鬼は崖から飛び降り私達とは反対の位置に着地した。
『こういう時は拳で語るに限るからな!』
そう言って飛び降りてきたのは炎のような緋色をした短髪、細身でありながらも鍛えられた筋肉、両手にはヘヴィガントレット、身長は多分170〜180くらい、額には立派な一本角の鬼・・いわゆる鬼人ってやつだね。
・・私が想像してた鬼はもっと、こう、魔物のオーガみたいなゴツイのを想像してたんだけどな。
『ん?どうした?ほら、お前も武器を構えろよ。』
そう言うと緋髪の鬼人は両手に装備していたヘヴィガントレットをカチ合わせる。
先程この鬼はお袋と言っていた、・・お袋ってお母さんの事だよね?って事はさしあたりこれは中ボス戦ってところかな。




