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死せる料理とハニープリン

 はあ、酷い目にあった。まさかスキルに私の料理の腕がどれだけ酷いか教えられるとは思わなかった。そうかぁ、だからみんな私に調理実習で最低限の事だけやらせてたのか。あ〜、そういえば思い返してみるとあの時何作ったのか思い出せない。


「・・さて・・コレどうしようか。」


 今悩んでいるのはインベントリにある私が作った兎眠の分のご飯をどうするかだ。

 いや、コレ無駄にデバフ効果が凄くて捨てようか取っておこうか悩む。ちなみに効果がこれね。


『『追い死胃料理』


 30秒後に

 筋力[ー30%]

 硬さ[ー30%]

 速さ[ー35%]

 器用[ー25%]

 魔力[ー20%]

 幸運[ー50%]

 麻痺[中]

 昏倒[大]


 持続時間:3分


 見た目は良い、匂いも良い、・・だが悲しいかな、料理人の腕が壊滅的だった。もうこれはある意味才能では?

 一口でもこれを食べた者よ、死を覚悟せよ。 《料理》』



 《料理》スキルに酷い評価をされてる気がするが、実際体験した身としては何も言えない。唯一の救いは専用フィールドで手に入れた素材は加工すれば持ち出せそうだという事かな。・・とりあえず何かに使えるかもだしインベントリに保存しておこう。


「はぁ、それにしてもごめんね?あれだけ美味しい料理作ってあげるって言ったのにこのザマで。」


「プゥ、プゥ。」


 あれから兎眠は私を心配してか眠る事もせずにずっと膝の上で起きてくれている。

 他の子達はみんなデバフが解除された後《恵みの森》に向かった。多分口直しに行ったんだろう。


「何かやりたい気持ちも出ないし、今日はもうログアウトして寝ようかな。兎眠、心配してくれてありがとう。私はもう大丈夫だよ。」


「・・プゥ?」


 本当に大丈夫?と言いたげな瞳で私を見る兎眠。


「うん、大丈夫だよ。兎眠をモフモフしたから元気になったよ。」


「・・プゥ。プゥ。」


 兎眠はまだ少し心配にしていたが、納得したのか私の膝から降りて隣で寝る体勢に入った。私もログアウトしよう。




 目を覚ますとそこは現実世界。私はベッドから起き上がると暗い部屋から出てリビングへと向かう。別に向こうで食べた物の味が現実世界の舌に残っていたりはしないが脳は覚えている。

 だからだろうか、私も少し口直しをしたい気分になった。リビングの明かりをつけキッチンに向かう途中、テーブルの上に置いてある1枚のメモ書きに気づく。そこには


「お嬢様へ、冷蔵庫にハニープリンがありますのでお好きな時に食べて下さい。


 追伸。もし、寝る前にお食べになる場合は食後30分経ってから歯をお磨き下さい。」


 と、書かれていた。

 私はキッチンに向かい冷蔵庫を開ける。そこにはハニープリンが3個あった。クゥゥ・・。


「・・・////。」


 我ながらあれから数時間しか経っていないのに私のお腹は現金だ。私は3個あるハニープリンの内1個を取り出しリビングのソファに座り食べ始める。ハニープリンのほのかな蜂蜜の味がゲーム内で食べた私の料理の味の記憶を上書きしていく。・・様な気がする。


 その後私はメモ書きに書かれている通りに30分経ってから歯を磨き、自室に戻り寝るのだった。

 作品内での現実はまだ数時間しか経ってない事実をこれ書いてる時に思い出す。

 そっかぁ、前回のログアウトからまだ数時間かぁ。リアル1時間がゲーム内1日はやっぱやりすぎたかな?

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