再会
約束に書いてるチトセのクラスを《鍛治剣士》から《鍛治剣豪》に変えました。
「おう!よく見つけたな弟よ!ん?・・くくく!こいつは驚いた。どうやったかは知らねぇが、ボスであるマザー・グリズリーをテイムしてやがるとはな!!」
・・ヒャッハーな人が来たと思ったら、今度は筋肉質なスキンヘッドの男性がやって来た。
ああ、もうこれ絶対絡んでくるよね。私を見つけて叫んでたし。でも私はこの人達を知らない。少なくともカルーアになってからは1度もPKはしてないから恨まれるような事はしてない。
・・もしかして、テキーラだったときにキルした事のある人達だったりする?私がテキーラだって気づいて復讐に来た?・・一応確認してみようかな。
「私、貴方達の事知らないんですけど何か用ですか?」
「てめえ!泣く子も黙るスキッド兄貴を知らねぇってのか!?」
「知らないです。」
「なっ!?」
私が知らないと言うと弟と言われた人の顔が怒りに満ちていく。
「よせリキッド。今日は喧嘩しに来たわけじゃねぇんだ。お前は少し黙ってろ。」
「へい!兄貴!」
・・ねえスラミー、私逃げていいかな?
「ーー?」
「クマー。」
マリーも変な物を見るような目で見てるし、関わらない方が吉じゃないかな?
「おう、嬢ちゃん。そう警戒するな。俺達はお前をスカウトしに来たんだ。」
「スカウト?」
「おうよ!お前が持ってる未知のスキルを俺達のクランで役立てないか?」
未知のスキル?それって《全ての魔物の主》の事を言ってるんだろうな。別に隠してるわけじゃないけど他人から見たら確かに未知のスキルなんだろうね。つまりこの人はそのスキルを持ってる私を自分のクランに引き入れたいと考えてるわけだ。・・だけど。
「ごめんなさい。貴方達のクランに入る気はないです。」
私はキッパリと断る。・・そしてその場合、こういった人達が取る行動も大体知ってる。
「・・・そうか。・・なら仕方ねぇな。おい!お前ら出てこい!」
シーン。
「ん?おい!お前ら出てこい!」
シーン。
「あ、兄貴?」
「お前らどうした!?いつまで隠れてやがる!!」
何かトラブルだろうか?私の予想じゃ他に仲間が隠れていると思ってたんだけど?実際スキッドって人の発言的にあってるみたいだし。
「お仲間でしたら始末させて頂きました。」
そう言ってスキッドの仲間が隠れていたらしき場所から現れたのは、黒髪のロングに鎧の和装、右手には日本刀を持った女性。
私は彼女を知ってる。私の数少ないフレンドの1人で《滅びの再誕》をクリアするために力を貸してくれた親友。・・そう。
「チトセ!?」
私は思わず彼女の名を叫んだ。
「ああ。やっぱり貴女なんですね?テキーラさん。」
「な、何だぁ!?てめぇは!?俺のクランメンバーをどうした!!」
するとチトセの後ろから現れた男性がこう言った。
「鈍いなぁ。さっき姉さんが言ったじゃん。君の仲間はそこにいる1人を除いてみんな始末したって。」
そう言って現れたのは、チトセとは違い着物のような和装で髪は白髪のポニーテール。手には護符を持った男性。
彼もまた、私は知っている。チトセの弟であり、クラス《陰陽符呪術》でいつもチトセを援護している。・・彼の名は。
「ビャクヤも!?」
「やあ、テキーラ。久しぶり。」
そう言ってビャクヤはこちらに軽く手を振ってくる。
「てめぇら!よくも俺の仲間を殺りやがったなぁ!!構えろリキッド!」
「へい!兄貴!」
仲間をやられて怒りが高まったのかスキッドは拳を、リキッドは短剣を構える。
「女の子相手に男性が集団で襲おうとしていた時点で斬られても文句は言えないと思いますが?」
「姉さん、この手の人には正論を言っても聞かないよ。と、言うわけで《符術:疾風》」
ビャクヤがスキルを使いチトセに護符を貼る。するとチトセの体から風が吹き始める。
「そうですね。私も早くテキーラさんとお話ししたいですし、迅速に終わらせましょう。」
チトセは刀を鞘に収め抜刀の構えに入る。そこにスキッド&リキッドが突っ込んで行く。
「「うぉぉぉらぁぁぁ!!!」」
「《辻斬り》」
ビャクヤのバフで速さが増したチトセはスキルを使うとスキッド達の後ろにいた。そして一瞬の間の後に2人は粒子へと変わる。
うーん、能力値的に私の方が低いから見えなかったよ。
「っ!?は、はわ、はわわ・・。」
「ん?」
何だかチトセがプルプル震えているけど、どうしたんだろう?
「テ・・テ!・・テキーラさぁぁぁぁぁぁん!!!!」
「うわっ!?」
「ーー!?」
「クマ!?」
チトセは勢いよく私に飛びかかってきて抱きついてきた。
「はぁ。まーた始まったよ姉さんの悪い癖。」
こうして一悶着はあったものの、私は無事チトセとの約束を果たせたのだった。
書いてる途中で天井からムカデが服の中に落ちてくるトラブルがあったけど何とか無事に再会できました。
いまだに心臓がバクバクしてるわ(ーー;)