荒ぶる感情
今回はリアルパートです。
さて、ランドさんの依頼も終わったことだし、これからどうしようかな?
まあ、どうするも何も当面の目標としてはチトセがいる《鉄と技術の街》に向かうのが目標だけどね。・・だけど。
「その前に一旦ログアウトしようかな。」
リアルの時間的にそろそろ夕飯時、以前と違って今の私は余裕がある。チトセに会いに行くのも大事だけど焦る必要はない。と、言うわけでここは一旦ログアウトしよう。
〜〜〜
現実に帰ってきた。ヘッドギアを外し部屋を出た私はリビングに向かう。リビングに入るとキッチンにはお手伝いさんがいた。
「あら、お目覚めですか?お嬢様。」
「あ、う、うん・・はい。」
お手伝いさんと話したのっていつぶりだろう?私がLOLをプレイし始めてからはお手伝いさんと会話をすることも無かった気がする。・・いや、無かったな。
「お嬢様、すぐにお夕飯の用意はできますが、どうします?すぐにお食事になさいますか?」
「あ、はい。」
「かしこまりました。ではすぐに用意いたします。」
お手伝いさんはそう言って夕飯の支度を進める。もうすぐできるところだったんだろう、夕飯はすぐにテーブルに用意されていった。
「いただきます。」
・・・温かい。別に今までだって温めて食べていたけど、何だろう、出来立ての温かさは久しぶりな感じがする。
「美味しい。」
「・・お嬢様?泣いてらっしゃるのですか?」
「え?」
私は目元を拭う。そこには確かに涙が流れていた。
「あ、あれ?おかしいな?別に悲しくなんてないのに。」
私は涙を拭う。だけど拭っても拭っても次から次へと涙が溢れてくる。
「・・お嬢様、泣きたいときは泣いてしまっても良いのですよ?私で宜しければ胸をお貸しします。」
「べ、別に、泣いてないです。目にゴミが入っただけです。」
「・・ですが、お嬢様。」
「っ!・・そ、そうだ!お風呂!お風呂沸いてるよね!?私、先にお風呂入ってきます!・・・ご飯はちゃんと食べるから、温められるようにしておいて。」
私は逃げるようにリビングを出て浴室へと向かう。
〜〜〜
「・・悪いことしたかなぁ。」
湯船に浸かりながら私はそう呟く。
わかってはいるんだ、お手伝いさんは私のことを心配してくれてるって。ただ私がその気持ちを素直に受け取れないだけで。
コン、コン、コン。
「お嬢様。私、そろそろお暇の時間ですのでこれで失礼します。」
「え、あ、はい。・・お疲れ様でした。」
「・・お嬢様、1つ宜しいですか?」
「・・何ですか?」
「お嬢様は旦那様と奥様のことをお嫌いですか?」
「っ!・・嫌いだよ。」
「ですがお二方はお嬢様のことを愛しております。」
やめて。
「奥様は言っていました。お嬢様を寂しがらせてはいないかと。」
やめて。
「旦那様は言っていました。お嬢様がいるから自分は頑張れるのだと。」
やめて!
「お二方は・・。」
「やめて!!」
私は声を荒げて叫んだ。
「だったら何で2人は家にいないの!?お遊戯会も!参観日も!運動会だって!!あの人達は1度も来てくれたことなんてないよ!?愛してるって言うけど!私は1度もあの人達からそのことを聞いた事なんてないよ!!」
私は叫ぶ。今まで表には出さなかった感情をぶつけるように叫ぶ。
「・・・帰って。」
「お嬢様。」
お手伝いさんは悪くない。
「帰って!」
ただ、私はこの感情を抑えれそうにない。このままだと私は、お手伝いさんにも何を言うかわからない。
「・・・出過ぎた事を言いました。・・今日はこれで失礼いたします。」
そう言ってお手伝いさんはその場を去っていった。
「・・愛してくれてるなら、直接、言ってほしいよ・・。」
私は1人、涙を流しながらそう呟くのだった。




