鍛治女王の悩み事
弓野 神楽は悩んでいた。ログアウト直前にLOL内に流れたワールドアナウンス。その内容が彼女の悩みの種だった。
《《滅びの再誕》のソロ部門がクリアされました。これよりソロ部門でのアイテムドロップが解禁されます。》
「あれは絶対にテキーラさんですよね。」
私は確信している、あれは絶対にテキーラさんだと。・・だけどここで1つ問題が発生しました。それは、初期化したテキーラさんと連絡をとる手段を決めておくのを失念していた事です。
私としたことが、そんな大切な事を失念していたなんて、一生の不覚です!こうなったらやはり、私自身が《始まりの街》へ行きテキーラさんを探すべきでしょうか?
「・・ですがテキーラさんが同じ名前、同じ姿をしているとは限りませんし。ならテキーラさんの方から見つけてもらう?ですが・・。」
ログアウトした後こんな調子で数時間、神楽は悩み続けていた。現実の世界で悩むよりもLOLにログインして《始まりの街》で彼女を探せばいいだけなのに。
コン、コン、コン。
そんな時に神楽の部屋に訪問者がやって来た。
コン、コン、コン。
だが、そんな事にも神楽は気づかない。
コン、コン、コン。・・ガチャ
「おーい、姉さん?居るよね?入るよ〜?」
神楽を姉と呼ぶこの少年は神楽の双子の弟の弓野 千夜。彼もまたLOLプレイヤーで、テキーラのフレンドの1人だ。
「姉さん?」
「(ブツブツブツ)」
「姉さーん?」
「(ブツブツブツ)」
「・・・てい!」
「ひゃう!?え?え?な、何事ですか!?・・て、千夜?部屋に入るときはノックをしてくださいよ。」
「したよ、姉さんが気づいてないだけ。」
「え?そ、そうですか。それはすみませんでした。」
「はぁ。どうせテキーラの事でも考えてたんでしょ?姉さん、テキーラの事になると周りが見えなくなるんだから。」
「うぅ、すみませんでした。」
「まったく・・。まあ、僕も人のことは言えないか。そんな姉さんに耳寄りな情報。この掲示板見てみて。」
千夜はそう言ってスマホを神楽に渡す。
「掲示板ですか?私、掲示板は見ないようにしてるんですが。」
「いいから、見てよ。特にスクショと動画はよく見て。」
神楽は千夜に言われるままその掲示板の内容を見ていく。
「・・・!?・・千夜、これって。」
「タイミング的に《滅びの再誕》のソロ部門がクリアされた後に現れた謎のプレイヤー・・これって、もしかしたらテキーラなんじゃないかな?」
「千夜、ログアウトしてからどれだけ経ちましたか!?」
「すでに2時間は過ぎてるよ。」
「ならすぐにログインして《始まりの街》に向かいます!」
「言うと思ってた。だけど姉さん、もうすぐ晩ごはんだからログインするのはその後ね。じゃないと母さんに怒られるよ?」
「うっ・・お母様のお怒りだけは絶対に避けたいです。・・わかりました。晩ごはんを食べ次第ログインします!」
「あと、風呂に入って宿題も済ませてからね〜?」
「・・・・・・はい。」
こうして、テキーラかもしれない少女の情報を手に入れた神楽は急ぎやるべき事を済ませていく。・・食事のときに急ぎ過ぎて、母親に軽く叱られるトラブルはあったが。
そして、弓野 神楽こと《鍛治女王》の異名で知られているチトセはLOLへとログインしていったのだった。
書いといてアレだけど、チトセって・・。
チトセ「(*´︶`*)つ-+===>」シャキン
ひっ!?すみません!弟君が何でもしますから許してください!!
???(千夜)「!?」




