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私にとって、NPCの名前を覚えるという意味

 さて、《始まりの街》に帰ってきた私は早速スキル屋に向かう。


〜〜〜


 カランコロン♪カランコロン♪


「いらっしゃいませー!・・あっ!貴女は確か、お父さんの無茶振りを引き受けてくれた・・えっと、ごめんなさい。そういえば名前を聞いてなかったわね。」


「・・そう、ですね。私の名前はカルーアです。」


「カルーアちゃん、可愛い名前ね。私の名前はユーナ。ちなみにお父さんの名前はランドっていうの。・・って、それよりも依頼の件よね?今お父さん呼んでくるから、ちょっと待っててね?」


 そう言って彼女、ユーナさんは父親であるランドさんを呼びに店の奥へと向かって行った。・・その間にインベントリの整理でもしよう。

 インベントリを開けば、ゴブリンのドロップ品がぎっしりと並んでいる。こんな時に一括整理機能があるのは助かる。

 私が一括整理を押すと大量にあったアイテムがスッキリとスタックされる。

 アイテムとしては『ボロい布』『ゴブリンの耳』、後はゴブリンが所持していた各武器などだ。・・布はともかく、ゴブリンの耳なんて何に使うの?って感じだけど、ちゃんとポーションなどの素材として使える・・主に毒ポーションだけどね。


「後で売りに行かないとなぁ・・。」


 これだけの数なら、そこそこの値段で売れるだろうし買う予定だったスキル以外も買えそうだ。・・あれ?それなら先に売りに行った方が良かった?・・と、そんなことを考えてると店の奥から依頼主であるランドさんが出てきた。


「おお!嬢ちゃん、待たせて悪りぃな!」


「いえ、全然待ってないですよ。」


「ははは!そうか!そうか!っと、報酬の件だよな。此処じゃなんだ、店の奥で話そう。ユーナ、父さん奥で嬢ちゃんと話してくるから、言い寄ってくる客がいたらそいつは出禁にしとけ。」


「はいはい、わかったからカルーアちゃんを待たせないの。」


 そんな親娘のやりとりを見ていた私はランドさんと一緒に店の奥へと向かう。

 LOLの緊急依頼は冒険者クランみたいな確認とかが無いのに、クリア条件を達成するか失敗すると依頼してきたNPCは何故か結果を知ってるんだよね。まあ、そこはゲームだからとしか言えないか。



「(ヒソヒソ)なぁ、この店って何か依頼とかあったっけ?」


「(ヒソヒソ)いや?確か冒険者クランにもスキル屋関係の依頼は今まで無かったし、緊急依頼とかの情報も聞いた事ないな。」


「(ヒソヒソ)なあ、それよりも、あの親父さん居なくなったしユーナさんに話しかけるチャンスじゃね?」


 と、店にいた3人組の男性のそんな会話がチラッと聞こえてきた。・・ランドさんの事だ、今ユーナさんに言い寄ったりしたら本当に出禁にされるかもしれないな、あの3人。


〜〜〜


 ランドさんについて行った私は店の奥の居住スペースである居間に通され、そこで報酬の話をする事になった。


「さて、報酬なんだが・・俺が用意できるスキルの中から好きなのを嬢ちゃんにやるよ。」


「好きなのを、ですか?」


「おうよ!これが俺が用意できるスキルの一覧な。」


 と、ランドさんは1枚の書類をテーブルに置く。私は《気配察知》か《気配遮断》でも貰おうかと思ったが、一応書類にある一覧を確認し始める。


「・・え?」


 私は驚愕した。何故って?好きなスキルをくれると言っても此処は《始まりの街》のスキル屋だ。せいぜい私が買おうとしていた《気配察知》や《気配遮断》などの簡単に手に入るスキルがギッシリとあるんだと思っていたからだ。


「あの、コレってどういう事ですか?」


「ん?どういう事ってのは?」


「だって、おかしいですよ。何で《始まりの街》のスキル屋の店主がこんなに()()()()()を用意できるんですか?」


 そう、私が驚愕した理由は一覧にあったスキルが全てレアスキルだったからだ。それも《始まりの街》のスキル屋が用意できるスキルとは思えないものばかりの。


「そりゃあ、俺はランクSの依頼を達成してきた冒険者だからな!コレぐらいのスキルは持ってるぜ?」


「!?」


 驚いた、ランドさんはランクSの依頼を達成してきた冒険者だったんだ!?・・そういった、プレイヤーよりも強いNPCの存在は知られているけど、まさかランドさんがその1人だったなんて。


「つっても今はもう引退してユーナと幸せに暮らすただのおっさんだがな。・・ちなみに街の連中はその事を知ってるが、俺が黙っててくれって頼んでるからな。」


「・・ああ。そういう事ですか。」


 LOLでのスキル習得方法は店で買う以外に特殊な依頼やダンジョンをクリアして習得と、特定のNPCから習得する方法がある。今回の場合はNPCから習得する方だね。

 だからこそ、数々のレアスキルを持ってるランドさんの事が知られると、プレイヤーが此処に殺到して来るんだろう。・・中には悪質なプレイヤーもいるだろうし。

 過去にレアスキルを持ってるNPCが見つかった時、悪質プレイヤーの集団がそのNPCの家族を人質にレアスキルをよこせといった事件があった。・・まあ、そのNPCが強すぎて返り討ちにされてたけどね。


「っと、話が逸れたな。さ!遠慮するこたぁねぇ、好きなスキルを選んでくれ!」


 ランドさんはニカっと笑顔で言う。知られたくない事を教えてくれただけでなく、レアスキルまでくれると言うんだ、ここはランドさんのご好意に甘えよう。


「それじゃあ・・。」


〜〜〜


「また来てねカルーアちゃん。」


「はい。また来ますね。」


 カランコロン♪カランコロン♪


 私はスキル屋を出て振り返る。


「ランドさんにユーナさん、か・・ふふ♪」


 私は、今まで王様や村人などでNPCを覚えていたけど、今日始めてNPCの名前をちゃんと聞いて覚えた事に少し嬉しさを感じながらスキル屋を後にするのだった。

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