従魔のデスペナ
専用フィールドにやってきた私が最初に見たものはココ達がいる鶏小屋だった。・・どうやら何処から此方に来ても此処に転移するみたいだ。
「ーー?ーー!ーー!」
「スラミー!・・よかった、無事・・死に戻りしたのに無事は変か。」
「ーー?」
「まあいっか細かいことは。スラミー、他の子達は?」
「ーー!ーー!」
スラミーは触手で2つの方向を指す。
1つはいつも休憩場所として使っている木。そのすぐ側に前回モフモフを堪能した後、フィールドクリエイトに牧草が新たに追加されていたから作成してみた。作成範囲を調整できたから、とりあえず小さな公園ぐらいの広さにしてある。
そこには兎丸達が牧草をモシャモシャと食べている様子が見えた。
「・・・(ピクピク)・・・プゥプゥ」ピョン、ピョン
牧草の匂いを嗅ぎつけたのか寝ていた兎眠が目を覚まし牧草のある方へと向かって行く。
「それともう一方は・・ん?」
そしてもう片方を見てみると、平原でスイムとラムが・・何だろ?並んでる・・のかな?
私が何してるんだろうと考えていると、平原の向こうから何かがこちらに向かって来ているのが見えて、段々と近づいて来るとソレが何かわかった。
ソレは最後にテイムしたウルフが背にスイとライムを乗せて疾走している光景だった。
「ふふ。さっきまでお互いに戦ってたとは思えない仲の良さだね。」
「ガゥ♪ガゥ♪」
「「「「ーー♪」」」」
うん。従魔達の仲が良いのは良いことだよね。
「そうだ、パーティ・・は無理か。」
スラミー達をパーティに編成しようとするが、どうやら従魔はプレイヤーのデスペナと違ってゲーム内で24時間、リアルで1時間パーティに編成できないようだ。
「まあ、どのみちデスペナが無くなるまでこっちで過ごすつもりだったし、いいか。ウルフ達も遊んでおいで。」
「「「ガゥ、ガゥ!」」」
ウルフ達は返事をするとスイ達のもとに駆けていく。
「ん?君は行かないの?」
「ガゥ。」
「そっか。じゃあ一緒にいようか。」
「ガゥ!」
私はいつもの木の木陰に向かう。そこには既にスラミーが待っていた。私はスラミーの隣に座り、ウルフは背後にまわり私がもたれかかれる位置に横になる。
「ありがと。・・そうだ。本当は他のウルフ達と一緒の方が良いんだろうけど、先に君の名前を付けようか。」
「ガゥ、ガゥ。」
「ん〜・・よし。君の名前はガルフだよ。」
「ガゥ♪」
「ーー♪」
スラミーもガルフを歓迎しているようだ。
こうして1匹だけだけど名付けをした私は、スラミーを抱いてガルフに背中を預け、平原に吹くそよ風を感じながら他のウルフ達の名前を考えるのだった。