約束
配達依頼、開始ですの薬屋の店員の『エルフ』の部分を無くしました。
「すみません、依頼報酬を受け取りたいんですけど。」
「依頼報酬ですね?では、依頼書を提示してこちらに手を置いてください。」
私はインベントリから依頼書を職員さんに渡し、カウンターに置いてある水晶玉に手をかざす。すると水晶玉は弱く光だし、すぐさま光を失う。
「はい、確認致しました。お受けした依頼は全て達成されてますので、報酬の2500Gとなります。」
よし、これで初期装備が買える。・・本当なら薬草採取の時に手に入れた毒草や麻痺草などを売れば依頼報告の前にある程度の装備を買えたんだけど、それらは既にスラミー達の胃袋?の中だ。
私は報酬を受け取ると冒険者クランを出るため、出入り口へと歩いて行く。
「なぁなぁ、この短剣見てくれよ。」
「何だよ?その短剣がどーしたんだよ?」
「実は、さっきマーケット覗いてたらさ、あの《鍛治女王》作の短剣見つけちまってさ、つい買っちまったよ。」
「はぁ!?おまっ!?《鍛治女王》の短剣つったら攻略組が喉から手が出るほど欲しがる逸品じゃねぇか!?・・お前、よく買えたな?」
「へっへー。まぁ、つっても多分コレ失敗作だろうけどな。性能の割には値段が安かったし。」
「ん?・・ああ、あれか。確か、極稀に失敗作をマーケットに流してるってやつ。」
出入り口に向かっていると、そんな会話が聞こえてきた。
《鍛治女王》こと、キャラクター名:チトセ・・彼女にはよくお世話になっている。私が《銀の死神》と呼ばれる少し前に出会い、普段使いの装備や《滅びの再誕》クリアの最適化をする度に新しく装備の作成と修復を担当してくれた《鍛治剣豪》。・・そして、私の数少ないフレンドの1人だ。
そういえば、初期化したから皆のフレンドコードも無くなってるんだよね。
「・・・・・・あ。」
チトセの話を聞いて私は彼女と交わした約束を思い出す。
〜〜〜テキーラが《滅びの再誕》100階層ボス《輪廻再誕》に挑み始める日のこと〜〜〜
「とうとう100階層に挑むのですね、テキーラさん?」
「・・うん。あとは100階層をクリアするだけ。」
《鍛治女王》の異名で呼ばれる私のフレンドの1人、チトセ。
女王と呼ばれているが、彼女の見た目は黒髪のロングに和装、戦闘だって日本刀を使って戦っている。女王と言うよりは大和撫子と言った感じだ。
「・・ここまで手伝っておいて今更なのですが、本当に初期化する意志は変わらないのですか?」
「・・変わらないよ。私は戦いばかりの今を終わらせて、新しいキャラでLOLを楽しむんだって、そう決めたんだ。」
「・・そうですか。なら、1つだけ約束してください。」
そう言ってチトセは私に抱きついてくる。
「初期化しても、貴女の装備は私に作らせてほしいの。だから必ず会いに来てくださいね?」
「・・・わかった。」
そう、私はチトセと約束をして100階層へと挑み始めた。
〜〜〜
「どうしよう。チトセとの連絡手段がない。」
チトセの工房がある街は今の私じゃまだ行けない。私はチトセとの連絡手段をどうしようか考えながら冒険者クランを出て行った。




