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二回もざまぁされる予定の中ボス魔王妃様は自由に生きたい  作者: 明。


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最強の弊害

 ヤス兄の尊い犠牲により、めでたく魔族領の言語が人族の公用語で統一されることになった。とてもめでたいのだが、今まで好き勝手自分の部族の言語を使っていた脳ミソ筋肉な種族達に言語を教えねばならなくなった。


知能が高い種族は寿命も長いのでそこそこ言語をマスターしていることが多く、趣味で人族と交易する者もいるらしい。しかし、脳ミソが筋肉製な魔族に教えるのは難航した。


「なんでそうなる!?一日で全部忘れんといてや!!」


 それでもヤス兄は頑張った。だから私も頑張って、魔族向け絵本を作ったりした。晶たんのパパドラゴンに武勇伝を聞いていたので、本人の許可を得てドラゴンシリーズを作ってみた。

 竜人族に大好評で、ドラゴンを祀った神殿に飾られていた。読め!!読むための本だからね!?

 内容的には俺TUEEE的な感じで、多分人族受けはしないが魔族受けはいいはず。予想外にモクレンがめっちゃ食いついていて次回作をめっちゃねだってくる。いや、ネタ切れだから無理。晶たんのパパドラゴンがなんか思い出してくれたら書けるかも。

 ちなみにイラストはモルヤシスが担当。なんでかモルヤシスも続きをって言ってくる。いや、だからネタがね?あたしに創作できるだけの能力は……桃太郎とかでもいいのかな。ちょっとこっち向きにしてやれば……後で相談してみっか。


 絵本の読み聞かせや紙芝居は結構好評で、子供にも大人にも受けが良かった。想定外だったのは、人族にもとてつもなくウケただけでなく、モルヤシスが貴文君みたいになったことだ。

 わかった。今度なんとか晶たんのパパドラゴンから面白い話聞いてくるから。キラキラしたまなざしを向けてこないでマジやめろ。


 そして、肝心の文字教育が進まない件。懐は潤ったが、そもそもの目的は文字を教えることだ。


「……ヤス兄ー」


「……なーにー」


「もうさ、教えるんじゃなくて翻訳できるアイテム作りたい」

「そんなんあるんやったらはよ言うてや!!ボクの努力はなんやったの!?ねえねえ、なんやったの!?無駄!?ひどない!?マジでひどない!??」


 ヤス兄がガクガクとあたしを揺さぶる。


「いや、無いよ。これから作ってみようかなって話だよ。あと、ヤス兄がこれまでしてきたことは無駄にならないよ。考えてくれたカリキュラムは、これから作る学校に転用させてもらう予定」


「ならええけどぉ……」


 ヤス兄もお疲れのご様子で机に突っ伏した。さて、持っている素材でどうにかなるといいのだが。できればこう……魔力により作動する永遠に使えるやつがいいな。言語を絞れば消費も少ないだろうし……あれだ。ボケットトークみたいなやつが欲しい。


 錬金釜さんは優秀だった。いっぱいできた。


 そして、ついでに作っておいた万能翻訳魔具をそっとヤス兄に渡しておいた。イヤーカフタイプなので、見た目はただの装飾品だし邪魔にならないだろう。


「こっちはコストの関係上量産できない。とりあえずヤス兄と私とオルネース様だけ持っておこう」


「ふーん……何をつこうたん?」


 黙ってリストを差し出したら、ヤス兄がガクブルしていた。だから三つだけなんだよ。こっちの方が便利なんだけどね。翻訳というか、相手が伝えようとしたニュアンスをこちらの言語に置き換えてくれる。逆に、相手にこちらが伝えたいニュアンスを伝えるものなのだ。


「いや、そんなに怯えないでよ。また素材取りに行くし……これ、いいカードになると思うんだ」


 言語が通じないというのは、こちらにとって不利なことだ。逆に言えば、通じないと思って好き勝手言っている馬鹿の粛清に役立つだろう。きっとオルネース様から褒めてもらえるに違いない。


「ふぅん……なるほどな」


 ヤス兄が悪い笑みを浮かべた。ふはははは。どうやら、ご理解いただけたようだ。


「そんなわけで、これはお揃いのアクセサリーってことでよろ!」


 オルネース様に褒めてもらおうと部屋を出ようとしたらヤス兄に呼び止められた。


「ユアン」


「ん?」


「ユアンのいた世界って、ユアン並に頭がいい人間がゴロゴロおるん?」


「いや、あたし勉強やってなかったから、どちらかっつーとバカな部類」


 認めたくはないが、ボルソマッチョの系統。ノウミソハ筋肉でできていたかもしれない。


「ええ……」


 あきらかにヤス兄がドン引きした。解せぬ。


「マジでマジで。そもそも、識字率がほぼ百パーだし。義務教育とかあって、子供は皆学校行くし。身分制無くて学歴社会だし」

「ちょお待ってや!情報量多い!!識字率……そんなんあり得るん!?」


「あり得るんって……実際にある話だし」


 そこまで賢くないのでうろ覚えではあるが、国民には権利と義務が与えられ、選挙によってトップを選ぶ図式であると説明した。

 ヤス兄はどこか呆然としていた。異世界ギャップってやつかな。あたしにとっての当たり前は、こちらでのあり得ないに相当するようだ。


「そうなんや……そうか、だからユアンは当たり前に学校を作ろうとしていたんやなぁ」


 よくわからないが、とりあえずヤス兄が納得したので良しとしよう。

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― 新着の感想 ―
[一言] 「学校の成績が良い」と「頭が良い」はイコールに見えてイコールではないんだよなぁ。 学校の成績に必要なのは記憶力。社会で求められるのは応用力と臨機応変な対応力。 データが欲しけりゃパソコンでも…
[一言] 脳ミソモ筋肉族とか眼鏡ノモヤシ族とかな!……他にもオ腐レサマ族とかかなー…こっちの世界は見ただけでは解らぬ不思議種族がいっぱいさ! 解んないだろうとイロイロ言っていたであろう連中の冥福を祈…
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