人材たくさんゲット予定だぜ!
久方ぶりに家族で食卓を囲む事になった。モクレンとシルビアも誘ったのだが、家族水入らずの邪魔をしたくないとモクレンがシルビアをす巻きにしながら言ってくれた。そんなわけで、久しぶりに家族が揃った晩餐である。
「お嬢様、おかえりなさいませ、何か不足がございましたら、このじいになんなりとお申し付けくださいませ」
「お嬢様、なんでも作りますぜ!食いたいもんはありませんか?」
「お嬢様あああ!!お待ちしておりまし……ぐふっ」
執事のイケおじセバスティアンに声をかけられ、シェフに声をかけられ、専属メイドのシュリスが抱きつこうとしたところをメイド長に見つかり、捕獲されていった。
「……なんか、待遇がよくね?」
最後のはともかく、執事とシェフが。元暗殺者組のメイド達に着替えを手伝ってもらうが、慣れない。ズボンでコルセットもないから自分でできるのにさせてもらえないのだ。
「ああ、お嬢様が居なかったから、旦那様とぼっちゃま達が寂しがってたらしいっすよ。特にぼっちゃま達は実家に寄り付きもしなかったらしいっす」
「なるほど……?帰ってきてよかったってことかな」
首を傾げる。ふと、自分の言葉に驚いた。いつの間にか、あたしにとってもここが家……帰る場所になっていたんだ。母と二人で暮らしていたあの家は、どこか遠く感じる。
「ええ、私達はお嬢様のお帰りをお待ちしておりましたわ」
そんな風に言ってもらえるのが嬉しい。なんとも思ってないはずだったけど、いつも出迎えがないあの家を……本当は寂しく感じていたのかもしれない。
ユーリフィアンは大丈夫なのかな?
「そう。ありがとう」
今夜会ったら聞いてみよう。そう決めてメイド長に微笑んだ。
珍しく全員揃っての晩餐。皆黙々と食べていたが、ヤス兄が話し始めた。
「ボク、ユアンのとこで働くことにしたわ」
なんの前振りもなく、いきなり爆弾を投下してきたので、動揺してめっちゃむせた。
「は?」
「ほう」
メガ兄は驚いたが、血縁上の父は驚かなかった。
「ぐへっぐふっ!」
「大丈夫ー?そんでな、ボク以外にも不遇な平民出の騎士達をめっちゃ引き抜くんでフォローよろしく」
あたしの背中をさすりつつ、ヤス兄はあっけらかんとそんなことを言う。えええ……そんなん聞いてくれるわけ?
「……それはユアン君の案か?」
「違います。あたしはヤス兄を引き抜きたかっただけで……まあ、他にも使える人材が来るならありがたいのでお願いしたい……」
そーいや、やりたいことに協力するって言ってたよな?思い出したので、じっと血縁上の父を見る。
「わかった。フォローは任せろ」
血縁上の父が悪そうな笑顔を見せた。これは、普通にフォローしないってこと??
「ほな、ボク書類仕事できそうで魔族領に偏見があんまない人を確保してくるな!引き抜きまくって騎士団を回らなくしたるわ!はーっははははは!見てろよクソが!目にもの見せてやるわ!ふははははは!!」
高笑いするヤス兄。よっぽどストレスだったのだろう。
硬直が解けたメガ兄は、さっきからずっと何か考えている。
「ユアン」
「はい」
「私も行く」
「………………はい?」
今度はあたしが固まる番だった。エリート官僚コース蹴ってまで来なくていいよ!?
「どう考えてもそっちの方が大変だけど楽しそうじゃないか!!」
「メガ兄!?」
なんでだ……メガ兄に一気に親近感を感じた。この人ってマジであたしの兄ちゃんなんだな……。やべぇわ。わかるって言いそうになった。大変でも楽しい方がいいよな。超わかる。
「いやいや、ボクがたっくさん連れてくるから兄さんは来なくてええよー」
「ふっ……甘いなオコシャス!ユアンが今欲しいのは、優秀な『書類仕事ができる者』なのだ!ゆえに、私を断る理由がない!さらに、私も不遇な目に合っている文官を引き抜いてこよう!」
いや、助かるけどもそれでいいわけ??とりあえずチラッと血縁上の父を見た。血縁上の父は頷いた。いいらしい。
「まあ、ほぼ平民出の者達が大なり小なり酷い目にあっている。いい薬だろう。それに、私の所はそういった不正を許さぬからな。問題ない」
うわあ、そーゆーことねー。もしも引き抜かれたとしても、ちゃんと管理しなかった無能な上司が悪いってことね。なら遠慮なく!
「メガ兄、できたら自分の身は自分で守れるタイプの人がいいな。なるべく気を配るけども、良からぬ輩もまだ多少はいるから」
「わかった。配慮する」
「えー!もー!ユアンと仲良くなるチャンスやったのにー」
ヤス兄がふてくされて、テーブルに突っ伏した。
「……ヤス兄のおかげでいい人材が確保できそうだ。ありがとう」
色々思ったけども、素直にお礼を言うことにした。ぶっちゃけ、どっちの人材も欲しいんだもん。
騎士団は書類仕事だけではなく、警備のローテーションの仕方や穴のない効率的な巡回方法をはじめ、個々の戦力こそ劣るものの、人間はチームワークと創意工夫で魔族にも負けないのだ。
文官には仕事だけでなく、効率的な回し方や困らない処理済書類整理の仕方など、余裕があれば考えてほしい。
そのことを話すと、みんなして呆然としていた。
「ユアン君は、向こうの王族かなにかなのかね?」
「ド庶民ですが何か?」
「いや、文句があるわけではなく、その考えた方が庶民とは思えないのだ」
「……あー、あたしのいた世界は、魔法こそないけど文明レベルはこっちより二百年は先だね。だから、色んな事を効率化するのさ」
「ふむ……私も行っては駄目だろうか」
「「「却下!!」」」
流石にこの国の宰相様まで連れて行く気はないわ!!兄妹3人の心は一つになった。寂しそうな顔をされたが、絶対ノー!!
オルネース様、たくさんいい人材を連れて行くのでほめてくださいね!来週末が今から楽しみだ!




