ツンデレは正義
結局、そもそも基礎体力がないご令嬢達が力尽きてボールは終了した。散々走り回ったシルビアは満足げに尻尾を振っている。
「わふ!」
シルビアからボールを渡された。投げろと?仕方なく投げる。座っているから飛距離が出ず、シルビアが空中でキャッチ……するかと思いきや、樹が魔法で蔓を伸ばして横取りした。
「マスターとキャッキャウフフはさせないっきゅ!それはボクの役目っきゅ!」
え?そんなお役目があったの?知らなかったわ。今度から積極的に愛でなくちゃな。
※ありません。
「樹、オイラもマスターとキャッキャウフフしたいでちゅー」
「許可するきゅ!」
キャッキャウフフ係は樹の許可制だったのか。知らなかった。
※違います。
「マスターとキャッキャウフフするでちゅー」
「マスターのお膝は樹と晶のものできゅ!」
あたしの膝で占有権を主張する樹たんと晶たん、でらかわゆす。しかし、そうだったのか!知らなかった!だからシルビアを膝にのせてたら怒ったんだな!
※占有権は樹が勝手に主張しております。
「樹、旦那様にも貸したいのですが」
「それは夫婦だから仕方ないっきゅ。樹と晶はマスターの幸せを邪魔したりしないっきゅ!」
「でちゅでちゅ!」
うちの精霊さん達、可愛過ぎじゃないか?マジで可愛いな!
「我が君の寵を賭けて、勝負だ!!」
シルビアに言われて、樹と晶が黒い笑みを浮かべた。
「ふっ……樹に獣人風情が勝てると思うなっきゅ!」
「樹、毛狩り禁止」
「なんでっきゅ!?」
「なんでも何も、シルビア(もふもふ)が丸刈りになるのは見たくないし、非常時でもないのに脱毛攻撃は不可」
そう言ったものの、シルビアが怯えている。流石のシルビアも丸刈りは勘弁してほしいようだ。あたしがブラッシングするようになって毛並みがツヤツヤになったって喜んでたしな。
「マスター、勝負の世界は非情なものできゅよ?」
樹はやる気だ。そんなところで本気を出さないでいただきたい。晶、そこは頷くんじゃない。
「正々堂々やりなさい。というわけで、ボール遊びで勝負!」
結果として引き分けだった。
「やるな……できゅ」
「ちゅー……もう走れないでちゅー」
「そっちこそ……やるではないか……」
樹と晶は魔法で走路妨害しつつ、ボールを狙った。さっきまで走り回っていたせいか、流石のシルビアも体力が尽きた……いや、魔法に対抗して魔力を使った攻撃をしていたから魔力のほうが尽きたのか。
「我が君?」
そっとシルビアに触れ、少しだけ魔力を流してやった。一瞬樹の流し過ぎでパーンになる話を思い出したから、ほんとに少しだけだ。
「魔力を分けましたわ。シルビアはわたくしの護衛でもあるのですから、遊びで全力を使い果たしては駄目でしょう?」
「はっ!申し訳ございません!!」
シルビアが立ち上がり、ひざまずいた。
「とはいえ、わたくしの精霊達と親睦を深めるのは良いことです。樹、晶、シルビアはわたくしの仲間です。仲良くしてくださいね」
「仕方ないからよろしくするっきゅ!根性は認めるっきゅ!でもマスターの膝は渡さないっきゅ!」
「仲良くするでちゅー」
ツンデレな樹とは真逆の晶。うむ。どっちも可愛い。とりあえず膝に乗っけて両方ブラッシングしてやることに。フカフカだぁ……。
「うむ!我が君をお守りするために、よろしく頼む!」
なんだかんだで真面目なシルビア。とりあえず、これだけ言っておこう。
「樹、シルビアがあまりにもボサボサな時とは、ブラッシングさせてくださいな。いくら護衛といえども、身だしなみは大切ですもの」
ヤンチャなシルビアは、放置しておくと木の葉や泥まみれになる。そんな時は丸洗いとブラッシング必須だ。やや毛が長いので絡まるし、流石に自分でブラッシングは不可能だ。魔族領ではいいが、こちらでもは困る。
「仕方ないできゅ。でも、お膝の占有権を主張するっきゅ」
「うふふ、もちろんよ。わたくし、樹と晶が大好きですもの」
「オイラもマスターだーいすきでちゅ!」
素直に甘えてくる晶たん、カワユス!おや、樹の様子が……??
「…………ボクもマスターが大好きでちゅ」
デレて飛び去ってしまった。
「うちの樹、可愛いと思いませんこと!?はああああ!かわいい!かわゆい!うちの子、世界一ですわ!!!」
樹のプリティ★ツンデレアタックで、あたしのテンションがスーパーハイテンションになり、周囲にちょっとばかりドン引きされたのは、仕方ないと思う。
うちの子可愛い。世界一!ツンデレ正義!!




