一撃でクリアー!!
ホルソマッチョがテンション高くて地味にうざったい以外は問題もなく、順調に下層へと進んだ。
「僕………役立たず………」
そして、進むたびにモルヤシスの元気がなくなって、暗くなっていく。いや、君はホルソマッチョと違ってたくさん説明してくれたよ。それに索敵もしてくれる。ちなみにホルソマッチョは自ら罠にかかって、ある意味罠を解除している。そんなわけで、ある意味微妙に役立っている。
「そんなことはありませんわ。モルヤシス様の知識があればこそです。ちなみに、索敵はどうすればできますの?」
「ああ、ユーリフィアン様は魔力量が桁外れだから僕より適任かもしれませんね。魔力を網状に放出するんです。人と魔物だと魔力の質がまったく違うので、わかりやすいですよ」
「へー」
魔力を網みたいにして、広げていく………これ、壁とかもわかるな。あれ?なんか広い部屋にものすごーく魔物がいっぱいいる。これ、ヤバくね??
「モンスターハウスだ!!逃げろ!!」
見知らぬ冒険者が叫びながら走ってきた。爆発する奴がいるけど、真空なら燃えないから爆発できないかな?網をそのまま……氷結に変換!!
「凍れ!!」
凍った。フロア全部凍った。
「………うむ。やり過ぎたか?」
でも、人はちゃんと避けた。やはり回数をこなしたから、コントロールも上がったのだろうな。問題なし!
「あ、あは、あはははははは……………めちゃくちゃだあ…………あは、あははははははは……………はぁ」
モルヤシスが白い。いや、元からモヤシみたいに白かったな。でも白目は怖いから、やめて。そして、ため息が重いよ。いや、うん。悪かったよ。悪気はなかったんだ。
「はははははは!!すーべるー!!」
逆にホルソマッチョは楽しそうだ。スケートみたいに滑って遊んでいる。あ、滑りすぎて壁に激突した。ばーか、ばーか。
「もうこの階層に敵は居ませんわ。ちゃっちゃと回収に行きましょう」
「…………………………え?」
固まっている冒険者を放置して、さくさく進む。面倒なんで進行方向の氷は炎魔法で融かした。うむ、楽。罠も凍ったらしい。マジで楽だな!
「モンスターハウスって、魔物がたくさん出てきてしまうものですか?」
「は、はい。一定確率で起こるそうで、異常発生するらしいです。ただ、倒してしまえばそのフロアにしばらく魔物は出ませんし、そのぶんレアな素材を入手できます」
「なるほどー」
モンスターハウスの起点だった部屋には、瀕死の冒険者が数人倒れていた。
「せい」
念のためにとしこたま用意しておいた回復薬をぶっかけると、ちぎれた腕なんかも生えたし、開放骨折も綺麗に癒えた。すげーな、この薬。というか、うちの錬金釜さん。
「モルヤシス様、ホルソマッチョ様、怪我をこれで治してくださいませ」
だが、死んだ者はどうにもならない。二人にも頼んで、さっさと冒険者達を癒していった。
「あら?」
なんだろう。虹色のビー玉を見つけた。氷の残骸からして、巨大な魔物がここにいたようだ。ポッカリと円形になっている。後でモルヤシスに見せてみよう。
怪我人の傷が全て癒えたところで、たくさん落ちている魔石や宝石、宝箱の中身を回収した。宝箱って中身を回収したら消えるのな。ふっしぎー。
うちの錬金釜さんで作ったマジックバックに入れていく。大容量の優れもの!魔石があれば時間停止にアップグレード可らしい。帰ったら作ろう。
「そちらで倒れている方々の分も残すべきでしょうか?」
「いや、回復薬まで使ってもらったんだ。むしろ治療費を請求していいぐらいだぞ」
「え?」
ホルソマッチョいわく、冒険者には冒険者のルールがある。冒険者の登録カードは宿代や交通費が割引になったりする。身分証明書としても使えるが、反面犯罪行為をした場合、裏に記載されてしまう。ちなみに、誰かが倒したのを拾うのはありだが、それを奪った場合は犯罪行為とみなされ、ペナルティを受ける。今回の回復薬使用も、恐らく記載されてしまうそうだ。彼らは回復薬代を私達に返済しなくてはならない。回復薬代を返せず奴隷落ちする者もいるらしい。
「よ、余計な事をしてしまったのでしょうか……」
「いや、ユーリフィアンがいなければ死んでいた。命あってのモノダネ☆って奴だ」
「それを言うなら命あっての物種ですわ」
「それを言うなら命あっての物種だろう」
「はっはっは!細かいことは気にするな!!」
「細かくないですわ」
「細かくないだろう」
「仲良しだな!」
仲良しかどうかは知らんが、モルヤシスは雰囲気が小田郡の兄である貴文君に似ているから、落ち着く。
「それより、これはなんですの?」
虹色のビー玉をモルヤシスに渡した。おっきめのビー玉を渡されたモルヤシスは穏やかに微笑む。
「おめでとうございます。これが吸魔石ですよ!しかも、すごく質がいい!もっと下の階層で、ごく稀にしか取れない石です!!」
「あら」
目的のブツをゲットしてしまったらしい。見た目はただのビー玉なんだけどな。
「では、帰るか?」
「せっかくですから、行ける所まで行きますか?」
ひたすら索敵して進む。宝石がいっぱーい!なんとなく魔力の塊を感知したので掘ったら、ジャラジャラ宝石が出てきたりもした。
「あ、あは、あははははは……………ま、まあ………いいか。欲しかった本……たくさん買えると思えば………うん………ユーリフィアン様、ありがとうございます!」
まあ、お互いの懐も潤ったってことで!あれだな!Win-Winって奴だ!
なんか、ストーカーで常識がなかった彼が普通に見えてきました。気のせい……ですよね?




