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二回もざまぁされる予定の中ボス魔王妃様は自由に生きたい  作者: 明。


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新生ユーリフィアン、始動!!

 この世界にも桜はある。たくさんの桜が咲き誇る学園で、あたしは学生生活を全力でエンジョイしていた。あたしの作戦は大成功したと言えよう。


「ユーリフィアン様、ごきげんよう」


「ああ、おはよう」


「お姉様、おはようございます!」


「おはよう」


 女子は可愛い。素直に慕ってくれているのがわかる。


「お姉さま、今日も凛々しくて素敵ですわ」


「ありがとう」


 微笑むときゃああ!と女子が騒ぐ。皆楽しそうで何よりだね。ユーリフィアン……色々ごめんよ。あたしに完璧令嬢ユーリフィアンは荷が重かったんだよ。

 そう、あたしことユーリフィアン=ヒールは新学期デビューした。






 なんと男装女子にクラスチェンジしちゃったのである。





 何故こうなったのか、説明しよう。そろそろあたしも学校に行かなければならなくなった。婚約破棄騒動で傷心のため療養中とか適当に血縁上の父が誤魔化していたが、夜会に出ちゃったしそろそろ限界だ。出席日数もヤバい。しかし、学校に行けば夜会のようにユーリフィアンの地位目当てな馬鹿貴族に囲まれる。イライラしてそのうち素が出るに違いない。では、どうすべきか。


 あたしは、色々色々考えた。そもそもずっとユーリフィアンを演じるのが無理。考えるのは苦手だが、考えざるをえなかった。ふと、思いついた。演じなくても、いんじゃね?傷心のためにイメチェンしたよ!今まで我慢してたんだよ!と言うの、アリなんじゃないだろうか。


 そうと決まればヤス兄が使っていた制服を改造し、男子と同じ授業を受けられるよう血縁上の父に交渉してもらった。


「君は本当に面白いな」


 血縁上の父は意外にもノリノリで交渉してくれた。


「君の好きなようにふるまいなさい。君が多少無茶をしようと、我が家が揺らぐことはない」


 ニヤリと笑う血縁上の父はこれぞ悪役!って感じだった。なら、遠慮なく好きにさせてもらおう。




 こうして、男装女子・ユーリフィアン=ヒールは誕生した。初日は皆、戸惑っていた。


「ユーリフィアン様!?」


 取り巻きだった女子達に、にっこりと微笑んだ。


「何かな?」


「いえその……」

「かっこいい……」


「ありがとう。私、もう我慢するのをやめようと思ったんだ。この格好はその決意の現れだ」


 決してスカートって気を使うから面倒だと思ったんじゃないよ!


「せっかく婚約破棄したんだ。どうせなら自由に青春を謳歌したいじゃないか!」


 あたしは高らかに宣言した。学生時代は今しかない!ならば、全力で楽しんじゃえ!


「それと、女子の授業は全て単位を取得してしまったからね。男子の授業も受けることにしたんだ。それにスカートは動きにくいだろう?」


 男子は剣術の授業もあるんだって。超楽しみ。女子は刺繍、ダンス、社交、歴史がメインだけど男子は剣術、外交、政治経済がメインなんだ。ヤス兄の教科書で予習したし、問題ないでしょ。


「………………変、かな?」


 わざとらしくしょんぼりして見せたら、女子達の反応はすごかった。


「いいえ!」

「素敵ですわ!」

「美しいですわ!」

「凛々しいですわ!!」


 可愛い女子達が口々にほめてくれた。


「ありがとう、皆」


 和んだところで、荒み系男子こと王太子が来た。女子達が庇うように前に立つ。それを目線で『大丈夫』と伝え、どいてもらった。


「貴様は……ユーリフィアン、か?」


「おはようございます。どちらさまでしたかしら?馴れ馴れしくわたくしの名を呼ばないでいただけますか?」


 サラッととぼけてみせた。樹たん、落ち着いて。あたしは微塵も傷ついてないからね。


「お前は!婚約者の顔すらわからないのか!??」


「………だって、そんな暑苦しい装いではわかりませんわ。浮気したあげく一方的に婚約破棄した元婚約者なんて記憶から抹消したいのが正直なところですわね。名前も呼ばないでいただきたいですし、お前呼ばわりもしないでいただけます?わたくしと殿下は他人なのですから」


 周囲の女子達が明らかに動揺していた。不審者から守ろうとしてくれたのだね。

 王太子は眼鏡にマスク、帽子とカツラ。眉はメイクかな?という装いだ。


「誰のせいだと思っているんだ!この魔女が!!」


「ゆ~る~さ~ん~で~きゅ~!!」


 樹が巨大モフモフになってドロップキックをかました。眼鏡とカツラが落ち、ハゲが露になる。


「え!?」

「本当に王太子殿下なの!??」


「今、キサマの秘孔を突いたっきゅ……」


 樹たんの顔が劇画みたくなってるっきゅ……つか、秘孔って何さ!?


「ぐああ!?鼻が……鼻がああああああ!!」


「秘技・鼻毛ボ~ンっきゅ……鼻毛で窒息したらいいっきゅ」


「喉にまで毛…ゲホッ、ゲホッ!」


 鼻毛が伸びて鼻から出ているだけなら笑っておしまいだったが、喉まで伸びた鼻毛により王太子は窒息しかかっていた。


「い、樹!止めなさい。鼻毛で窒息死とか、珍妙不可思議な殺人は止めなさぁぁい!!」


「マスターをいじめる馬鹿は樹が殺ってやるできゅ」


「絶対駄目!自力でどうにかするから、手助け無用!言うこと聞いてくんないなら、おやつ抜きだよ!!」


「………………きゅ」


 鼻毛が止まり、また王太子は無毛に…………なってないな。鼻毛と脛毛とワキ毛がもっさりしている。樹なりに譲歩したのだろう。


「まぁ、いいか」


「さっすが樹のマスターできゅ」


 リスサイズでスリスリしてくる樹。モフ可愛い。モフ天使だ。


「皆さん、わたくしと契約している精霊様を怒らせないでくださいましね。殿下が目覚める前に退散しましょう」


『はい!!』


 同じクラスなのでまた教室で絡まれたが、また樹により返り討ちにあっていた。薄々思っていたが、この殿下…………アホだな!

いまだかつて、こんなに残念な王太子はいただろうか…………みみっちいの王太子よりはマシ?判断が難しいです。

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