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二回もざまぁされる予定の中ボス魔王妃様は自由に生きたい  作者: 明。


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お見合いしてみた

 モフモフ達は有能で、昼過ぎに数人のお婿さん候補を連れてきてしまった。仕方がないのでお相手してみる事にした。


「グルルゥ!」


 一人目は、筋肉ムキムキな狼の獣人さんだった。残念ながら毛並みはパサパサでモフモフではなかった。得意気にジャイアントボア(しとめたばかりで血が滴ってるぅ)を机の上に置いてくれた。絨毯が汚れるだろうが。クリーニング代請求するぞと思ったが、呼びつけたのはこちらなのでやめておいた。


 これをどうしろというのだろうか。とりあえずジャージに着替えて獲物を血抜きし、皮を剥ぎ、トンカツにしてあげた。彼は喜んでたいらげ、残りの肉と毛皮を持って帰った。

 ヤス兄が痙攣している。ナニかを間違ったようだ。どうすれば良かったんだ。


 後に、痙攣がおさまったヤス兄から狼獣人は求婚の際に獲物を贈り、受け取ったら婚約成立らしいと聞いた。




 マジであらかじめ教えといてくれよ!!




 次に、鳥の獣人さんが来た。彼は、奇声を発しながらダンシングしてきた。やかましいわとしばきたおしたかったが、こちらが呼びつけたのでやめてあげた。しかし、この鳥…音痴だな。錬金釜でカスタネットを作り、適当に気分が上々なラップを歌ってやったら気に入ったらしい。超うろ覚えな歌詞をあたしから根気強く聞き出し、カスタネットをお土産に帰っていった。


 YOUはなにしに来たんだYO!


 ちなみに痙攣がおさまったヤス兄によると、鳥の獣人は求婚の際にダンシングして相手がダンシングしてくれたら婚約成立らしい。







 だから、教えようよ!頼むから教えとこうよ!!






 

 次に来たのは………魚?手足がついた魚だった。


「卵ヲ産メ!」

「産めないから無理です」


 残念ながら、相容れない種族であった。卵生と胎生について図解を使って説明した。お魚さんはしょんぼりしながら帰っていった。

 ヤス兄の顔色がヤバい。別に笑ってていいけど、息はしようぜ。ヒッヒッフーって…これは出産時の呼吸法だったな。


 それにしても、人間がいないな。あたし、精霊さんに人外認定されてるんだろうか。




 ようやく人間が来た。


「急に来てって言われたから来たけど…」

「チェンジ」


「会うなりダメ出しされた!??」


 別にお兄さんが悪いわけではない。悪いわけではないが、攻略対象は勘弁していただきたい。ヒロインと無駄に争うつもりはないのだ。


「ダメ出しではなく、色々問題がありまして」


「はぁ……」


「精霊さん達、あたしにお婿さんをつれてきてくれたのは嬉しいけど、あたしは自力でマイダーリンを探し出すからもういいや」


「きゅ…」

「気に入らなかったきゅ?」

「やっぱりモテない男は使えねっきゅよ。流石はボクのマスターっきゅ。万年フラれ男どもをバッサリとヤったできゅ」


 最後の樹たんは大変毒舌でござった。ちなみに来た獣人さん達も嫁探しをしていたそうでちょうどいいから連れてきたらしい。


「ちょっと!ワタシのキョウはモテるわよ!金と権力に目が眩んだ娘達に!!」


 なんというかこう…リスがシャープにカッコよく進化したぜ!みたいな素敵なモフモフが現れた。樹に異議あり!と訴える。


「それ、モテたうちに入らねっきゅ。打算できゅ。しかも打算で寄ってきた女にフラれるってスゲーできゅ」


「キョウはこう…ボンヤリしてるだけなのよ!話を聞いてないのも悪気があってじゃないのよ!空気が読めない研究馬鹿なだけなのよ!!」


 このモフモフ、お兄さんのオカンみたいだな。しかもさりげなく落としておる。お兄さんが涙目だから、そろそろやめてあげなさい。


「ええと…はじめましてかしら?わたくしはユーリフィアン=ヒールよ」

「ユーリフィアン=ヒール!?」


 お兄さんの方が激しく反応した。お兄さん、落ち着いてくれたまえ。


「ユーリフィアン=ヒールってヒール公爵家のお嬢様だよね。社交界に咲く銀月光花とかって言われてる…確かに美人さんだね」


「ありがとうございます」


 確かにユーリフィアンは美人だ。間違いない。


「…でも、なんか波長が…歪み?いや、魂と体が繋がりきってな「お触りはダメですよ。悪気がなくてもダメです」


 ヤス兄に手を叩かれて、お兄さんはまたしても涙目だ。確か名前はキョウ=ビーンボゥル。器用貧乏な苦労人。平民からここまでのしあがった魔術師で、すっごいエリートだけど地味な緑の精霊と契約していたから馬鹿にされてたんだよね。学校にも派遣講師として来ていて、似た境遇のヒロインに惹かれて結婚するんだったかな。確か地雷は緑の精霊を馬鹿にすること。樹がいるからあたしがやらかすのはあり得ないかな。


「そっか、じゃあ君の肩にいるのは昨日グリムワンドに呪いを解かないでってお願いした子か」


「そうよ。それにしても、クセがある子を選んだわね。仲間の中でもズル賢さが抜きん出ている子よ」


「いやいや、ちょっと気が強いだけでうちの樹は可愛い子ですよ」


「え」

「……きゅ?」


「ズル賢い子は正攻法でグリムワンドさん?にお願いしたりしませんから。馬鹿をもっと陥れますよ。それに、グリムワンドさんに頭を下げてお願いしたんでしょ?わたくしを思いやって…ですよね」


「きゅ、きゅうううう……」


 樹は照れているようだ。可愛いんだから!肩にいる樹をモフモフしてやる。フカフカ…モフモフ…。


「つまり、樹はちょっと賢くてマスター思いの可愛いよい子なのです!ズル賢くなんてないのです!」


 でも抜けがけしやがったきゅ……という声は聞かなかった事にした。


「いいコンビね。ワタシが悪かったわ」


 グリムワンドさんが(多分)頭を下げた。


「別に樹は気にしてないできゅ。マスターは樹を美化しすぎできゅ」


「そんなことないできゅ~。樹は世界一可愛いんできゅ~。だから悪く言われるのは嫌なんできゅ~」


 スリスリしてやると、樹もスリスリしてきた。


「樹もマスターを悪く言われるのは嫌できゅ。マスターをいじめる馬鹿は丸ハゲにしてやるできゅ」


「………ほどほどにね?」


 悪口程度で丸ハゲるのはかわいそうだ。首すじにスリスリしてくる樹は可愛い。世界一可愛い。


「本当に、いいコンビね」


「当然」

「当然できゅ」


 グリムワンドさんが笑いだした。仲良しなのはいいことだ。あたしは気にしないことにした。

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